シス・カンパニー企画製作「三人姉妹」Bunkamuraシアターコクーン
<2015年2月21日(土)夜>
帝政末期のロシア。軍人の父の元でモスクワで育った4人の子供たち。その後田舎町に引越すも父が亡くなり、生活は没落していく。三人の姉妹はモスクワに戻ることだけを心の支えとして日々を過ごし、長男は大学の教授を夢見るも地元の娘に惹かれる。そんなある日、モスクワから赴任してきた軍人が挨拶に訪れ、唯一結婚している次女が恋に落ちる。
「かもめ」に次ぐシス・カンパニーとKERAとのチェーホフ上演企画第2弾で、これも初見。翻訳者は不明も、上演台本はKERAが書いたとのことで、そのせいか、とても古典とは思えない。現代演劇の翻訳みたい。ところどころで笑わせようとしているのはわかるけど、あまりにも陰々滅々たる展開に笑えない。モスクワという希望にすがって没落していく姉妹の痛々しさがまるで今の日本を見ているようで、ところどころに出てくる「生きなくては」という台詞があまりに時勢にぴったりしすぎて、役者が熱演して物語が回るほど、観ている側の気力体力を削るような仕上がり。全力の拍手、でも1回だけですっと終わる、という今までなかったカーテンコール。
役者はこれまでに何回も観た有名どころが揃っていたのだけど、それでも最初の出番では誰だかわからないような、適切な表現かわからないけど、役を持ってくるのではなく役に近づくような演技で揃えていた。それでここまで仕上がったのだから恐れ入る。ただそういうトーンの中でも、宮沢りえだけは、ところどころに女優・宮沢りえが顔を出す。運動神経や反射神経に個性が潜んでいる模様。
笑いは少な目だけど、芝居として観て損はないので、体力のある人はぜひ。
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