« 劇団東京ヴォードヴィルショー「田茂神家の一族」紀伊國屋サザンシアター | トップページ | 平田オリザ「幕が上がる」を読んだ(ついでに映画も観た) »

2015年3月31日 (火)

青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場主催企画制作「高校演劇サミット2014」こまばアゴラ劇場

<2015年3月29日(日)昼夜>

事故で亡くなった飼犬の追悼に来た女性が、鍵を無くしたという老女と通りがかりの美大生に絡まれて鍵を探すうちに「成蹊高等学校『井の頭八景』」。顧問の教師が入院して不在になった文芸部、短歌甲子園への応募を控えて顧問に選歌してほしい部員たちが入院先の病院を目指すが途中で道をそれて「甲府南高校『秘密の花園』」。専務が謎の呪文に凝る運送屋、今度の新人は妙に大人びて訳ありに見える「暁星高等学校『アブラカタブラビリケンケンチャンラミパスラミパスルルルルルー』」。

1日券で3本まとめて観劇。公募制で断るほど応募があった中から選ばれた3本。事前の想像よりもレベルが高くて、あと上演順番にも恵まれて、もっと下手でつまらない団体がいくらもあるところ、これで3000円ならお得と断言できる。

物語に絡めて地元・吉祥寺の名所8箇所の紹介を試みた1本目。今回最多の11人の出演者が、あまり広いとはいえないこまばアゴラ劇場を広く使いこなす。パネルを使いこなした場面転換とスムーズな出入りは見事。ラストの紙を使った演出は好き。ただ、1時間で収めるには登場人物とエピソードが多すぎた感あり。序盤にあと10分使えればだいぶ違ったはず。オペを往復した出演兼音響はお疲れ様。

女子高生の不安な1日を短歌できれいに描いて終わるかと思ったら、道をそれたところから果てしなく話もそれる2本目。どうやって外せば客が付いてくるか、どこまでなら外れても大丈夫かを把握しているベテランの仕事と思ったら顧問創作。どうやら有名らしい。あれだけ外してきっちり話を終わらせる脚本は当て書きか。まったく不慣れな客いじりのオープニングはご愛嬌。

他校を話題に使った軽いつかみから、掛合い、客いじり、ちょっと危ないかもしれないところまで体を張ったネタと、とにかく全力で笑いを取りに来た3本目。慣れすぎ落着きすぎ、間の取り方声の出し方、すでにしてこのまま外に出られるくらいの貫禄。そのネタの合間というか、ネタを転がすためというか、物語も入れて、それがきれいに収まる。一番最後だったけど一番集中して観た。ただ、あれだけネタに走ってあのラストにまとめたのは悪印象。出演者が誰もコミットしていなさそうなラストで話より構成が前面に出すぎたように感じた。わがままな客であることは認める。

すごい雑にまとめると、1本目は事前に想像していたThis is 高校演劇、80年代風味、キャラメルボックス系。2本目は高校生ならではの魅力と高校演劇の枠を壊さずにどこまで拡げられるかに挑戦した高校演劇、2000年代風味、五反田団系。3本目は文化祭で全力でふざける高校演劇のさらにトップクラスのもの、90年代風味、新感線ネタモノ系。応募の数が多いとはいえ、よくぞこれだけバラエティに富んだ3本を揃えたものと関心。これだけよく出来ているならもう1組(3校)くらい出られるように企画してもいいと思うけど、春休みから外れるから無理か。

あと、客席の広さだけなら200人規模くらいほしいところ(今回せまかったので)。こまばアゴラ劇場はやや狭い代わりにどんな芝居でもはまるような懐の深い劇場なので、ただ広いだけの劇場だと幅の広い3本には向かないのが悩ましい。けど東京芸術劇場ならもうシアターイーストとウエスト両方使ってもう1組招聘するという案も成立つのでは。もう少し認知度が高まったらディレクター/プロデューサーにはぜひ御一考を。いつかは東京国際フォーラムで「熱狂の日」みたいに上演できるところまで目指してほしい。

3年越しの念願がかなって、ひとつ満足。

|

« 劇団東京ヴォードヴィルショー「田茂神家の一族」紀伊國屋サザンシアター | トップページ | 平田オリザ「幕が上がる」を読んだ(ついでに映画も観た) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 劇団東京ヴォードヴィルショー「田茂神家の一族」紀伊國屋サザンシアター | トップページ | 平田オリザ「幕が上がる」を読んだ(ついでに映画も観た) »