サンプル「蒲団と達磨」神奈川芸術劇場大スタジオ
<2015年3月8日(日)昼>
娘の結婚式を終えた夜。娘夫婦はそのまま新婚旅行に出かけ、近隣の友人は二次会に、家族や親類は家に戻ってくる。寝室で休む夫婦だが、つもる話あり、調子が悪い人の介護あり、なかなか落着かない。やがて祝宴の夜に相応しくない出来事が少しずつ積重なっていく。
2日連続で観た岩松了の、こちらは岸田國士戯曲賞受賞作。はっきり見せられる出来事もあれば、それらしくにおわされる出来事もあり。脚本は正攻法で演出されていたけど、そうしたら「三人姉妹」を思わせるような序盤から、終盤にいたるまで、笑うに笑えない、救いのない展開になった。何でもセックス、みたいに見えるけど、セックスが問題だからこじれるのか、問題がセックスの話を通して出てきているのか、わからない。それよりは、登場しないけど、一区切りついた娘と、寝たきりになっている母の両方が、面倒のタネなんじゃないかと思う。
岩松了が演出する芝居は、登場人物には自明だけど観客には隠している情報から漏れるような、どことなく危ないけれど色っぽい雰囲気が漂うけど、松井周が演出した今回は色っぽさ無しで危ない雰囲気が舞台を覆う。登場人物を駆け巡る負のオーラが重い。観終わってもまったくすっきりしない。前日から続けて観る側の体力を吸いとるような芝居を観ることになったのは失敗だったけど、観た回がたまたま客席の笑いが少なかっただけだったのか。
今調べたらバブル突入の1989年が初演で、1989年は、夢の遊眠社が絶頂期で、劇団☆新感線の東京公演がTHEATER/TOPSで、KERAは劇団健康のころで、三谷幸喜は東京サンシャインボーイズ6年目で、大人計画は旗揚げ2年目。あの時代にこんなささくれた会話劇を上演していたのはすごい。ちなみに青年団は「ソウル市民」初演で、これは未見なのだけど、翌年が「南へ」なので、平田オリザもいい勝負。
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