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2015年4月18日 (土)

小田島雄志「ぼくは人生の観客です」を読んだ

シェークスピア完訳したら人生は舞台じゃなくて観客ですか、と思ったら、ある年は391本観たと書かれていた。過去の年間最多でも50本の壁は越えられなかった自分としては、この数字にめまいがした。金と時間と体力と気力が揃っても届くかどうかわからない数で、そのペースを毎年維持とかお化け。

後半は観客歳時記として、劇評を収録しているけど、千秋楽以降に発表されることも多いためか、モノによっては結構ネタばれしていて、ネタばれを極端に気にしている自分には参考になった。

でも、391本観ている人が紹介する芝居が、自分の観た芝居とほとんど重なっていないことに気がつくと、いったいどれだけの芝居が日夜上演されて消えていくのかに思い至って考え込む。映像技術がどれだけ発達しても舞台は生もので、後に残らない分野に費やされた情熱は、後に残らないからこそより深く届く可能性があるのかも。

ところでこの本で一番気に入った箇所。

たまたまイギリス演劇界の大御所で、演出家という仕事を独立させたゴードン・クレイグが、90歳をすぎてのインタビューに答えて、「自分はいい観客(グッド・オーディエンス)の一人、そう言ってよければ最良の観客の一人だった、と思いたい」と言ったのを知って、ぼくも評論家や批評家ではなく、いい観客の一人になるぞ、と宣言した。反応は3つあった。

一、歌舞伎評論の第一人者・戸板康二さん。「私も同じ思いだな。英語で言えばシアターゴーアーの一人でありたいよ」
二、英文学の先輩・小池銈次東大教授。「ゴードン・クレイグが観客と言うからかっこういいのであって、君が言ってもなあ」
三、演劇記者から演劇評論家になった扇田昭彦君。「観客とは招待状ではなく切符を買って見る人です」

扇田昭彦が好きになった。

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