PARCO Production「幕が上がる」Zeppブルーシアター六本木
<2015年5月16日(土)昼>
とある高校の演劇部。地区大会を突破したものの、信頼する顧問が学校を辞めてしまい、動揺する部員たち。体調不良で部活を休む部員もいる中であせる部長が何とか取りまとめるものの、部員の一人が台詞を言えなくなってしまう。その回復を願いつつも試験前の部活禁止期間に突入して稽古はできない。果たして無事に県大会を迎えることができるか。
小説、映画に続いて舞台まで、きっちりと制作側の思惑に乗せられて観劇。アイドルの初舞台だからグダグタになることも想像していたけど、想像の一番上よりもさらに上の出来で仕上げてきた。平田オリザがワークショップを設けたそうだけど、だとしても、もっと広い会場でもっと大勢の観客を相手にパフォーマンスしてきたアイドルをなめてはいけないと一人で反省中。「演技は声派」の自分としては玉井詩織がよかった(腹筋しながら歌うのすごい)。けど周りに見覚えがあって妙に上手いと思ったら、7人中4人を青年団(無燐館経由)で固めていた。それは上手いはずだ。
映画と違って舞台は平田オリザが脚本だけど、観客が小説か映画を見ている前提のようで、いつになく早いテンポの導入部分。けど、やっぱり歌わせないと、という期待に応えてさりげなく歌わせる展開から、そういう繋がりで突っ込むかという舞台オリジナルの話をピークにもっていくところ、さらに最後の展開の飛ばし方は、さすがの手腕。いつもの青年団と違うとしたら音響の使い方で、選曲が映画監督らしかった。そして最後の場面にビジュアル的な美しさを持ってくるところがとても素敵。
客席数が900もある割に、横に長くて舞台までの距離が短いため観やすい劇場にも恵まれて、暴れるようなファンもおらず、好印象の芝居だった。そして普通の芝居ではまず聞いたことがない、終演後の熱烈で切れのいい拍手を聞いて、ああ今目の前にいるのは人気のあるアイドルなのだなと改めて認識した次第。
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