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2015年8月 5日 (水)

ミナモザ「彼らの敵」こまばアゴラ劇場

<2015年8月4日(火)昼>

インダス川を川下りしていた大学生3人が、誘拐ビジネスを生業とする現地の部族に誘拐される。1ヶ月半経って解放されるが、帰国したら誘拐中にでっち上げられた週刊誌の記事を元にした報道が過熱し、大学生たちに非難が殺到する。その中の一人が就職先として選んだのは週刊誌のカメラマン。

1991年に本当にあった「事件」の当事者が劇団の舞台写真を撮影しているカメラマンという縁あって創られた芝居の再演。客席を上げて下げて引掻きまわして、気分よく帰そうなんて思わせない挑戦的な芝居。観たのは昼公演で元々は千秋楽だったけど、夜公演が追加されてそれも前売完売という勢い。それを納得させる仕上がり。

この事件から20年以上経ったけど、似たような事件が起きたついこの間とおそらく経過は同じ。タイトルの「彼ら」は、まったく誘拐事件に関係ないのに「世間」や「常識」を振りかざして大学生とその家族までをバッシングした匿名の人々。当日パンフではもっと直接に「私たち」と書いて、どうして敵を見誤るのか、と続く。その回答をカメラマンの主人公にかぶせて女性ライターに罵らせて、客に「特定の登場人物に一方的な感情移入なんてさせないぞ」という展開が秀逸。この客席を問詰める感覚は脚本家としての持味なのかな。

終わってみれば6人しかいなかったのか、というくらい主人公以外は何役もやっていて、その主人公は2時間出ずっぱり、というハードな配役だったけど、芝居の統一感は素晴らしかった。個々の場面にもいろいろ見所はあったけど、誘拐中の主人公を励ます男の中田顕史郎と、大学に送られた詰問の手紙を読上げているときの詰問口調がいかにもだった菊池佳南と、喫茶店で問詰められる前の記者のやる気ないそぶりがよかった大原研二を挙げておく。

感想を一言でいうと、観られてよかった。脚本の意図が明確でしかも構成もしっかりしているから、他の演出家にも挑戦してほしい芝居。

ちなみに今回はこまばアゴラ劇場を横長に使っていて、この形は「東京ノート」以来2度目なのだけど(斜めなら「南へ」があった)、客席数が少なめなのとたぶん頭上に余裕があったせいで、満席なのにいつになく開放感のある客席だった。その分だけ出はけの囲いを作って苦心していたけど、この構成はこまばアゴラ劇場を使ういろんな劇団に試してもらいたい。

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