日本の30代「ジャガーの眼2008」駅前劇場
<2015年9月5日(土)夜>
かつての事務所から独立した探偵。路地に転がした林檎の行く先を見届けてほしいと頼んだ依頼主は、自ら探偵の秘書になり探索に勤しむ。その先で見つけたのは、依頼主がかつて愛した男の眼を移植した男。
絶滅寸前のものすごく懐かしい小劇場の香りが漂う芝居。せまい駅前劇場で、力の入った美術と衣装のビジュアルを支えに、飛ぶ唾まで見えるような勢いを2時間最後まで押し通す。
言葉遊びとか登場人物とか、全体にふざけた要素は満載なのだけど、劇団の趣味か演出の方針か、真っ向勝負で役を立ち上げてくる役者のエネルギーがすごい。けど延増静美がほんの少しだけ外してくる場面が2回くらいあったのを観て、もっと遊び心を増やしてもよかったんじゃないかと思う。そうすると2時間では終わらないけど。それはそれとしてこの脚本を演出できる木野花の演出手腕はすごい。
舞台上で、メインで話している登場人物を他の役が取囲んで待機する場面が多くあったけど、男性陣は気配を殺すのに対して、女性陣は眼で演技を続けていて、女性陣のエネルギーに軍配。
何年かぶりの桟敷席で帰りから次の日まで腰が痛くなって、それだけで評価はマイナス200%。次からはぜひ全席椅子席で上演してほしい。
以下余談。エネルギーにあふれて、技術と経験が噛み合ってさらに伸びる贅沢な時期の役者がこれだけ集まっているのだけど、それがいま何で唐十郎なんだろう。小劇場らしい芝居ならそれぞれのホームで出来るだろうに。じゃあどんな芝居がいいかというとそれも思いつかない。古典は次は10年後でもいいと思うし、青年団系の芝居はそちらに任せておけばいいし、ウェルメイドのコメディも違う。新作をやる必要はないけど、せっかくこの年代の役者が揃っているなら、もう少し現代に添った芝居を選ぶか、現代との共通点のある芝居を選んでほしい。30代なんてあっという間に終わってしまうけど、この後どういう路線で行くんだろう。
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