Bunkamura/こまつ座企画製作「ひょっこりひょうたん島」Bunkamuraシアターコクーン
<2015年12月23日(水)昼>
ひょうたん島の住人たちの日常だったり、島の外からやってきた様々な人たちとの邂逅だったり。
オリジナルのテレビ番組を観たことはないけど、登場人物だけ借りて、あんまりオリジナルっぽい要素はなさそう。長短いくつかにわけた場面は不条理劇あり東京を舞台にした語りもあり、ごった混ぜ感がいかにも串田和美という感じの舞台。雑にまとめると日常の愛おしさと戦いの悲惨さとについて。
今回も引きが強いというか、他に候補だった芝居が戦争物だったから続くのを避けてこっちを選んだのに、前回から3連続でやっぱり戦争の影というか今時の世間の余裕のなさを描くような内容になっていた。最後の場面は希望と絶望とどちらとも取れる内容だったけど、観客としては一縷の希望を描いたのだと思いたい。
ごった混ぜはごった混ぜなりに全体で筋は通っているのだけど、「ひょっこりひょうたん島」と冠しているからには、やっぱりもう少し登場人物や場面設定をひょうたん島に寄せて統一感を出してほしかった。脚本が原因かもしれないけど、だとしてもそれを許した串田和美の、真面目に不真面目な面が悪い方向で出た。
ほとんどの役者に複数の役が当たっていてもベテラン揃いで安心して観ていられる。その中でも白石加代子が一頭抜けていた。あと数少ない若手の山下リオが声よし見目良し切れよし、もっと舞台に出てほしい。カーテンコールの歌のノリにその人の出自がうっすら見えるのは楽しい。
ひとつだけ不思議だったのは舞台美術。小道具や衣装は多くあったし、床こそ回転していたけど、後ろのパネルは半透明のものを並べただけのようで、公演の移動も考慮したのかまあ簡素な美術だった。その割に貧乏臭くないし、スカスカした感じもなく舞台が埋まっていた。役者の数の違いはあっても、もっと狭い劇場でスカスカしていた芝居と比べて、あれは美術の力なのか演出の力なのか予算の力か劇場の力か、いったい何が違うんだろう。
« 劇団チョコレートケーキ with バンダ・ラ・コンチャン「ラインの向こう」東京芸術劇場シアターウエスト | トップページ | 2016年1月2月のメモ »
« 劇団チョコレートケーキ with バンダ・ラ・コンチャン「ラインの向こう」東京芸術劇場シアターウエスト | トップページ | 2016年1月2月のメモ »
コメント