ハイバイ「夫婦」東京芸術劇場シアターイースト
<2016年1月28日(木)夜>
職場では手術の名手で関係者の面倒見もよい名医。家では酔って妻や子供に暴力を振るう独裁者。病気で入院するも術後の経過が思わしくなく亡くなった父と、横暴に耐えて連れ添った母の話。
再演と再々演を観た「て」の続編にあたるもので、脚本演出である岩井秀人の父の話。再々演の「て」に続いて父役の猪俣俊明と兄役の平原テツと、前回よかった役者2人が同じ役でキャスティングされているため、ちょうどよい続編感を感じられる。そして母役の山内圭哉が、動きで多少笑いを取りに来たけど台詞は真面目で通していたのが、台詞とのギャップがあってそのほうがむしろ面白かったとはいえ、非常に新鮮。岩井本人役には「て」の母役からコンバートされた菅原永二だけど、次女は今回登場しない。何かあったのかな。
観ていて受けた印象は、公正であろうとする努力。どこまで話が本当かわからないけど、「て」がほぼ実話らしいのでこれもほぼ実話だとすると、殺してやりたいくらい憎んでいる家族の立場から、でもさすがにこれは取上げざるを得ないと思わせるよい面のエピソードを織り交ぜて、適切な按配。狙いしましたラストも含めて、少なくとも芝居として上演するにはよいバランスで、公正な印象は最後まで保たれた。ちなみに前回は葬儀関係で不審なネタが満載だったけど、今回は医療関係で不審なネタが満載で、事実なら医療過誤じゃないかこれは。
病気の話が出てくるので観た回の客席は深刻気味だったけど、笑える場面ももちろんあるので、「て」を観た人も観ていない人も楽しめる。当日券は毎公演発売するようなので、何を観るか迷っている人はぜひどうぞ。あと小ネタとして、「て」を観た人は開演前の曲にも注目。
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