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2016年2月11日 (木)

野田地図「逆鱗」東京芸術劇場プレイハウス(若干ネタばれあり)

<2016年2月10日(水)夜>

日本の海岸にある海中水族館。イルカのショーが名物だったが、人魚研究者である館長の娘の肝煎りで新たな目玉として人魚ショーの導入が進められる。海中に設けた大きな専用の水槽に、水族館の下に沈んでいる古代遺跡からダイバーたちが人魚を連れてくる計画。このショーの訓練中におぼれたダイバーが夢の中で人魚と出会う。一方、娘の研究を信じていない館長は人魚役のオーディションを開催するが、そこに自分は人魚と言い張る女性が応募してくる。彼女はダイバーが夢の中で会った人魚と同じ女性だった。

粗筋を書いていると一昔前のアングラ芝居と見間違えるけど、「キル」とか「パンドラの鐘」とか、あのくらいの時期の言葉遊びや複数世界の往来がとびかう、いわゆる野田秀樹っぽさが満載の芝居。だけど後半は最近の野田秀樹。そのギャップがものすごく大きいのにぴたりと合わさって、壮大な展開になった。後半で取上げていた内容が最近の自分の興味にハマったこともあり、観終わった後に全力で拍手した。

野田秀樹の芝居に満足するときは役者が少しやり過ぎなくらい前に出てくるところを演出で上手にまとめて仕上げている印象が多かった。だけど今回はこれだけ有名どころを集めたのにアンサンブルというか、池田成志や阿部サダヲがどれだけ前に出てきても、脚本の世界観を豊かにするだけになるという不思議な感覚だった。ちなみに後半の阿部サダヲは多分今まで観た中で一番献身的な演技。

唯一目立っていたのが人魚役の松たか子で、主役なだけに強い台詞や詩的な台詞が他より集まっていたけど、その強さに負けない台詞回しで芝居を牽引して、主役を張る役者はかくあるべしというのを体現していた。野田秀樹といえば最後は主役の長台詞と思っていたら、今回それはそれは美しい詩を冒頭に持ってきて、ラストは比較的短く締めていた。そのラストの松たか子の「声」が短さを気にさせない声で、演出のすべてがそこに集約するような声だった。

あと今回はコロスが美しくて、体がよく動いてぴたっと止まれるメンバーが揃っているのに加えて、振付の井出茂太、衣装のひびのこずえと、美装の柘植伊佐夫あたりが決まった感がある。人魚の衣装に限らず他の出演者の分も含めて、あの衣装はよかった。

チラシにもサイトにも「全公演、当日券を販売します!!」と明記していて、当日券も立見込みで平日夜で50枚くらいは出ている模様なので、ここは挑戦してほしい。休憩無し2時間15分だけど、立見だとぐっとチケット代は安くなるので、体力のある人はそちらを狙うのもあり。素舞台に近い美術だから、役者が後ろ向きになってしまうことはあるけど、見切れらしい見切れはないので、買えるならどの場所でもいいから買っておくのが吉。センターが当然いいのだけど、左右で選ぶことになるなら下手のほうが親切。

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