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2016年6月22日 (水)

新国立劇場の演劇部門次期芸術監督は小川絵梨子

初代が栗山民也、2代目が鵜山仁、3代目が宮田慶子と来て次も新劇に近い演出家になるかと思っていたのだけど、一転アクターズスタジオ出身者。翻訳ものを中心に新国立劇場を含む公立劇場での演出も多かったし今も世田谷パブリックシアターで「コペンハーゲン」をやっていますけど、第一印象は抜擢人事ですね。公式より。

1978年、東京生まれ。2004年、アクターズスタジオ大学院演出部卒業。

06-07年、平成17年度文化庁新進芸術家海外派遣制度研修生(在ニューヨーク)。

主な受賞歴に2010年第3回小田島雄志・翻訳戯曲賞、12年第19回読売演劇大賞(杉村春子賞・優秀演出家賞)、13年第48回紀伊國屋演劇賞個人賞、第16回千田是也賞、14年第21回読売演劇大賞(優秀演出家賞)、15年第41回菊田一夫演劇賞などがある。

演劇部門のいろいろな劇場の芸術監督を眺めるに、求められるスキルとしては現場を納得させる演出技術と、今の時流を見極めてラインナップを決めて予算を配分して名実ともにあるキャスティングを実現する制作に近い技術と、それを偉い人たちに納得させてあわよくば追加の予算を取って周辺企画まで展開させる折衝能力の3つ、加えて客を呼ぶところまで面倒見ろよってあたりでしょうか。

歴史の転換点になるような出来事が連発して、日本だけに引きこもっているつもりでも自然と海外とつながりができてしまうから常に外も見なくてはいけないこの時代に、海外の現場を実地に知っているアドバンテージと、そこで培われた異文化相手のコミュニケーション能力とで、目的意識を正しく説明しつつ物事を引張っていくだけの馬力を、働き盛りの演出家に賭けてみた、みたいなもっともらしい推測ですけど、どうなんでしょう。

昔は芸術監督なんて肩書きを聞いたときは何やるんだと思ったけど、長く見ているとかみ合った事例にも出会えます。最近だと東京芸術劇場は野田秀樹が芸術監督になってから観たくなる演目が確実に増えました。中劇場は自分や他所で集客力のある演目が出てきて、今では貴重な200人規模のきれいな小劇場2つは上演団体の顔ぶれががらっと変わって、オペラまで翻案している。あの地味だった劇場と同じとは思えない。遊眠社コンビの面目躍如という感じです。新国立劇場は翻訳ものが多い劇場ですけど、そこがどう変わっていくのか注目です。やっぱり組織はよくも悪くもトップのカラーと器の大きさが反映されるので。

もうひとつ。芸術監督を設けている最近の公立劇場は、魅力的なラインナップで客を呼ぶことに重きを置く劇場と、キャストやスタッフの育成に重きを置く劇場とに分かれています(独断)。新国立劇場は研修所を持っているのもあって育成重視だと思っていますけど、これがどうなるかにも注目です。経験者としてはあの有益な研修資源がもう少し開放的になってほしいのですけど、さすがにそれは無理か。

準備期間の参与2年、その後4年なので、オリンピック前後ですね。海外はともかく、国内はそこが一番反動の予想される時期なので、どれだけ時代感と存在感を出せるかに期待。

追記。書いてから見つけましたけど、準備期間すら始まってもいないのにいきててよかったとかいくらなんでも大げさな。芸術監督になったか(Be)じゃなくて芸術監督としてこれから何をやるか(Do)でしょうに。お茶飲んで落着かれたし。

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