Bunkamura企画製作「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」Bunkamuraシアターコクーン
<2016年7月9日(土)昼>
中央アジアのあたりと思しき国。ベストセラー作家が、かつて世話になった先輩ジャーナリストが過激派に拉致されたことを知り、救助のため単身現地に赴く。女優である作家の妻は夫の活動を応援しつつ、かつてのマネージャーと浮気し、芸能界への復帰をもくろむ。不穏な現地で頼んだガイドたちとトラブルに巻込まれるなか、男娼として派遣された少年ダンサーと出会う。
ゲイとか怪しいガイドとか生れ変わったヤギとか、中央アジアあたりなのに邦楽で三味線や笛とか、着物で躍る腰の入った寺島しのぶと拮抗して踊る阿部サダヲとか、見終わってしばらく経つと何で納得して観ていられたのか思い出せない設定。少し前にドタキャンをやってしまった寺島しのぶにドタキャン女優を難じる台詞を言わせるような楽屋笑いもあったけど、その実は吹越満の台詞に始まって、最後に頭をぶんなぐるような寺島しのぶの台詞で締まる、結構荒々しい芝居。適当な敵を拵えて観客にストレス発散させるのではなく、散々笑わせて観客側を攻めてくるところがさすがの松尾スズキ風。
寺島しのぶや岡田将生は出番が多いうえにダンスも入ってしまいには脱がされるけど、それも含めて意外なほど馴染んでいた。一番馴染みそうだった割に異色だったのが吹越満で、もちろん上手いけど、はじけて笑いを取る役者だらけの中でひとり粘っこい演技で違う存在感を出していた。あと事前の予想をはるかに上回って漫画のような現地人を演じた岩井秀人は、松尾スズキの脚本をきっちりやるとどれだけ面白い役になるのかを体現していて、もう青年団に全員やってもらえばいいんじゃないかくらいの傑作だった。あれは大人計画の役者の存在意義が問われる。
« 2016年7月8月のメモ | トップページ | On7「ま○この話~あるいはヴァギナ・モノローグス~」神奈川芸術劇場大スタジオ »
« 2016年7月8月のメモ | トップページ | On7「ま○この話~あるいはヴァギナ・モノローグス~」神奈川芸術劇場大スタジオ »
コメント