On7「ま○この話~あるいはヴァギナ・モノローグス~」神奈川芸術劇場大スタジオ
<2016年7月15日(金)夜>
苦労の末にたどり着いた幸福から、それで一生癒えない傷を負った話まで、女性器にまつわるインタビューをもとにモノローグ形式10本で構成した短編集。
「しいて言うなら"まんこ"だけど、私にとっては呼び名がない」という台詞の通り、今ブログを書きながら確かにパブリックな呼び方に困る女性器の話を、それと付合わないといけなくてもっと切実な当の女性たちが演ずる。そこで演じられる内容は、笑えるものも眉をひそめるものも真剣なものばかり。世界中で上演されているだけのことはある。
10本のインタビューと書いたけど、うち1本は「おまんこ様はお怒りである」という、役者全員がぶっちゃける回。温度差はあったけど、すごかった。これも含めて全体に力強さのあふれる仕上がり。英語のオリジナルでもいろいろな呼名を使い分けているところ、それを日本全国のいろいろな呼名の置換えて、さらにそれに拘らず適宜英語も使っていた翻訳が大幅に寄与していた印象。日本語訳の単語選定はなぜか井上ひさしを想像した。
適切な広さにシンプルな舞台と効果的な照明音響も力強さに寄与。ただ、T字でランウェイ形式の舞台にサイド席を設けた三面客席、距離が近い場所から埋めたためかサイド席がほぼ満席だったけど、演技が場所も向きも正面に寄ることが多くて、あれはサイド席前方は不満が溜まっただろうと推察する。全二面の挟み舞台か、いっそ四面囲み舞台にしたほうが公平だった。以前自分が味わったから書くけど、稽古場の演出家席の場所がわかるような演出を変形客席の舞台でやってはいけない。
« Bunkamura企画製作「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」Bunkamuraシアターコクーン | トップページ | パルコ企画製作「母と惑星について、および自転する女たちの記録」PARCO劇場 »
« Bunkamura企画製作「ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン」Bunkamuraシアターコクーン | トップページ | パルコ企画製作「母と惑星について、および自転する女たちの記録」PARCO劇場 »
コメント