パルコ企画製作「母と惑星について、および自転する女たちの記録」PARCO劇場
<2016年7月16日(土)夜>
気性激しく奔放に生きた母の死をきっかけに、母が行きたいと言っていたイスタンブールに散骨を兼ねて旅行に来た三姉妹。散骨に相応しい場所を探して旅しながら、貧しい母子家庭で育った三姉妹が母と過ごして喧嘩した日々の思い出と、三人それぞれの現在の悩みとが交差する。
PARCO劇場改築前の最後の新作。正直なところを言えば設定に難がある芝居。舞台設定がトルコだけど、途中にテロが発生する場面は旅行から帰らない理由を無理矢理補強した感じだし、ラマダン中の三女の飲食も後半の伏線には弱くて単なる無神経に思える。ちょうど本当にトルコのクーデター未遂が起きた日に観たのもあるけど、この物騒なご時勢で、物騒な地域を舞台にして、それが物語の骨格に絡んでいる感じがしない。架空のアジアの国で漫画っぽい設定をいじり倒した松尾スズキのほうがよほど必然がある。
けど、斉藤由貴演じる母親と絡む三姉妹は生き生きしていて、特に1対1で丁々発止やりあう場面は魅力的。モノローグやスマホを駆使して独白させる三姉妹に対して、あくまで三姉妹から見た姿で奔放さや影や過去の重さを想像させて魅力十分な斉藤由貴の偉大さを再確認する。それに一番拮抗していたのが三女の志田未来というのがまた意外。後半はぐっと面白くなって最後の急展開は、改築になるPARCO劇場の行末を称えるような、むしろ最初にそれをイメージして脚本を書いたんじゃないかと思われるような祝祭感。重い展開をすっぱり切るいい後味だった。
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