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2016年11月13日 (日)

新国立劇場演劇研修所「ロミオとジュリエット」新国立劇場小劇場

<2016年11月12日(土)夜>

2つの名家が反目を続けて勢力が二分されている街、ヴェローナ。一方のモンタギュー家の御曹司であるロミオは恋に破れたばかり。いたずら好きの友人にそそのかされて、もう一方のキャピュレット家が主催する仮面舞踏会に潜り込む。そこでキャピュレット家の一粒種の娘、ジュリエットと出会う。

一度はどこかで観たはずで、観終わって筋を思い出した。結構期待していたのだけど、窮屈な演技で終わってしまった。これでは合格点はおろか及第点にも届かない。研修所の上演とはいえ、やりたくったってやれないシェイクスピアの、そのまた王道の1本に主要な役で参加できる貴重な機会だったはずだけど、残念。周辺役でちょっといい感じと思ったのは後で確認したら全員卒業生だった。

がんばっているのはわかるけど完全に台詞に負けていて、まっすぐこちらに届く台詞がほとんどなかった。「ロミオとジュリエットは結構恥ずかしい台詞。日本人のメンタリティでは言えない。」って言葉が今になってようやく実感できた。これは難しい脚本。上手にやるかどうかより、ほとばしるエネルギーで芝居をねじ伏せるのが先に必要だけど、エネルギーが足りない。とりあえず大声出しとけって言ったのは野田秀樹だったか。

最後の場面、アメリカ大統領選だけでなく日本を含めた世界中が似たような状況になっているので、そういう意図も込めて脚本選んだのかな。そうすると、世界をねじ伏せるような愛を見せつけてくれないといけない。ますます難しい脚本。

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2016年11月 7日 (月)

劇場では帽子を脱ぎましょう

たまたまと、同じ日に両方ともキャロットタワーで芝居を観たのですけど、開演前の客席で帽子を脱ぐようにお願いしている客席係が目につきました。客席の真ん中まで入りこんでお願いしていたので、本気度は高い。けど全員がお願いしていたわけではなく、昼も夜もたぶん同じ人がひとりだけお願いして回っているように見受けられました。想像する経緯は
・高い帽子をかぶって後ろの客が観えないことがあるので脱いでもらったことがある
・いちいち帽子の高さでお願いを変えるのは面倒なので全員に脱いでもらうようになった
ということではないかと思います。

仕事で必要だったり安全性の問題がある場所でなければ、建物の中で着席する場所では帽子を脱ぐのがマナーと思っていましたけど、最近はそうでもないようで、帽子を脱ぐマナーの根拠まで問われる事態になっているようです。劇場について言えば、10年前にはここまで帽子は見かけなかったはず。ここ数年で帽子がファッションとして一般的になってから、上演中もかぶっている人をよく見かけるようになった印象があります。

ただ劇場に限って言えば、後ろや横の人の迷惑になる可能性があるので、もう一律で帽子は脱いでくださいとお願いしていいと思います。冒頭の客席係が劇場の指示でお願いしていたのか自主的にお願いしていたのかは不明ですが、劇場の公式ルールにしてもらってもいいんじゃないでしょうか。その代り、最近は頭が涼しくなってきたので、冬場は劇場の暖房を適切に設定していただけると助かります。

劇場客席でよく見かける関係者では、いのうえひでのりがいつも帽子をかぶっていて脱いだ姿を見たことがないので、ぜひ脱がせることに挑戦してみてください。

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2016年11月 6日 (日)

劇団チョコレートケーキ「治天ノ君」シアタートラム(若干ネタバレあり)

<2016年11月3日(木)夜>

病気のために執政の期間が短かった大正天皇。父である明治天皇や息子である昭和天皇との不和に悩みながらも全力で生きた生涯のうち、皇太子時代に婚約してから亡くなるまでを、貞明皇后が振返る。

少年期は父から叱責を受け、晩年は摂政の立場を巡って息子と対立。重い話の枝葉を落としてまとめて、一見よくできた芝居だったけど、個人的には合わなかった。

先に良いところを挙げておくと、役者はとてもよい。威厳のある天皇から食えない政治家まで、全体に雰囲気を揃えて宮中のトーンを作っていた。あと狙った配役なのか、皇族役に美声の持主が多くて、それがここ一番の場面を盛上げるのに一役かっていた。その点は観て後悔はない。

もったいなかったのは舞台美術と役者の出入り。玉座から伸びる赤絨毯を置いてしまったために、絨毯をまたいで部屋を移動する場面が多数出た。あれは色に拘らず照明で必要に応じてあらわした方がよかった。あと絨毯の話も関係するけど、役者が舞台から出たり入ったりする位置と部屋の関係が全然頭に入らなくて最後まで場所への想像力が追いつかなかった。あれは何かを意図してわざとやっているのか。だとしても意図がわからない。

個人的に合わなかったのは、扱っている歴史の認識が合わなかったのがひとつ。明治天皇と明治時代が威厳があって、明治への復古を目指した体制が昭和の悪さを構築していった、という流れだけど、そうかなあ。明治天皇と明治時代は偉大ではあるけど本来もっとおおらかだったのを、後付けで威厳があったと昭和時代に構築したんじゃないかな。神棚という台詞はあったけど、明治天皇に現人神という単語を使わせているから、前者のように受取れた。これは趣味の違い。

歴史の扱い方に疑問があったのがもうひとつ。当日パンフで「この物語は歴史的事実を参考にしたフィクションです」と書かれているけど、それにしては全体を大真面目に作りすぎている。それでいてどこか薄い。設定だけ借りてハチャメチャな芝居にすることは望まなかっただろうけど、事実を押さえて不明なところを埋めたという感じもしない。大正天皇をモデルにした話に専念すればよかっただろうけど君が代まで流してしまったし。

前回もそうだったけど、登場人物がほとんどすべての状況と心情を台詞で説明している。逆に、登場しない人物や外部の状況を伝えるような情報はほとんどない。ただし今回はその説明台詞だらけでバランスが一応成立している。なぜかと言えば、観ているこちら側が必ず何かしらの歴史情報を持っているから、背景を知識で想像できる。その代り、各人の歴史情報に依存するので想像の背景はばらつく弱点があるし、そこに疑問が生じると話が成立しない。この脚本を架空の国の王3代の物語に置きかえたらスカスカになる。だから一応成立していると書いたけど、実は適切なバランスではない。だったらもっと歴史的事実で観客の想像力を方向付けするような脚本にすることが望ましいけど、そうなっていない。そこをフィクションで済ませるのは、重い歴史を扱った割には軽い扱いではないか。なにより、宣伝チラシに引用していた渡辺保の劇評で

「治天の君」は衝撃的な舞台であった。私たちの体験した戦争がどのようにして決定されたかが鮮明に描かれていたからである。

とまで書かれた劇評を引用するからには、フィクションでないと描けない真実があるという意見には賛成するけど、今回についてはフィクションで済ませないでほしかった。そういう色々なことが、個人的に合わなかった理由。ちょうど昼間に観た「遠野物語」がフィクションについて上手に扱っていた芝居だったのでなおさら。

あともうひとつ運営について。今回当日券を買ったらトラムシートしか余っておらず、後ろが立見だったからまあましな席を確保できてよかったと思っていたら、招待券が大量に余ったのか、立見客が椅子席に案内されていた(椅子席が埋まったあとはトラムシート)。席を無駄にするくらいなら直前でも捌いた方がいいのでこれ自体はいい判断。

ただそれならトラムシートの客から案内してほしかった。開演直前でまとまった枚数を急いで処理しないといけなかったのはわかるけど、優先されたのはキャンセル待ちの客じゃなくてすでに立見席を買って入場まで済ませた客ですからね。自分たちで立見席より先にトラムシートを売っていたのだから、どちらが先に並んでいたのかわかるでしょう。トラムシートは当日券金額だったけど、ひょっとして立見席は当日券よりも安く売っていた可能性もあるので、だとしたら割高なトラムシートを買ったことになる。早めに劇場に来て並んでチケット買ったほうが損するのはどうなんだと文句を言いたい。立見より楽とはいえトラムシートでも腰にきつい、そういうときに限って休憩なしの2時間半。芝居の感想と合せて踏んだり蹴ったり。

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世田谷パブリックシアター/エッチビイ企画制作「遠野物語」世田谷パブリックシアター

<2016年11月3日(木)昼>

標準語政策が推し進められて、方言で書かれた書物を出版すると罪に問われ、また迷信や怪談を実際にあったものとして出版すると扇動罪に問われる時代。怪しげな迷信を方言で書いて自費出版した男、柳田が警察に逮捕される。方言には標準語を併記している、内容は事実であると主張する男のために、怪奇現象を科学で説明する教授を事実判定担当者として警察は連れてくる。急いで駆けつけたためまだ内容を読んでいない教授に対して、これは佐々木という男から聞いた事実であると柳田は内容の説明を試みる。

原作の遠野物語自体は未読。この後、柳田が佐々木から話を聞いたり遠野に案内してもらったりする話でつなぎながら、たまにおちゃめな場面を挟みつつも、真面目に遠野物語のいくつかの話(ですよね?)を上演しながら進む。観ていて飽きさせないための構成と適度な方言の取入れでよい雰囲気に引込んで、でもそれだけで終わらせない良作。

単純に遠野物語を観るつもりの観客としては、柳田や佐々木の立場に一方的に肩入れしそうになる、逆に言えばその立場に反発する観客には全然受入れられない仕上がりに偏りそうなところ。そこに、教授がなぜそのような仕事をしているのかの短くも強烈な話を1本入れるだけで、全体のバランスを取りながら、ここで語られるような出来事は現在にもある話だと印象付ける展開がものすごく好み。その地域に伝わる怪談を事実ととるか迷信ととるかで対立する両者の立場を軸に、標準語政策を筆頭とする近代化が進むことで逆に貧しくなっていく地方の現実、たぶんそれらを現代の余裕のなさ、進行形で進む物心両面の貧困化に重ねる上演意図。そう受け取った。

天井も高くてスペースも広い劇場に簡素なセットだったけど、その雰囲気を一変させる背後のボードがよい効果。上手な役者があつまる中、佐々木の祖母を演じた役者が方言を使いつつひときわ上手な演技が明らかに一段上で、雰囲気づくりを含めて芝居を引張っていた。忙しすぎて事前に出演者を調べていなくてどこで探してきたんだこんな役者と終演後にポスターを見たら銀粉蝶でしたごめんなさいごめんなさいこんなに上手い人だとは知りませんでしたと反省した。この劇場では反省させられる

周りを見渡すと年齢の高い客層だった。確かに演目は渋いしチケット代は高いしで学生が気軽に来るような演目ではないけど、かといって芝居慣れしている人たちばかりではなさそうだった。あれはどういうチケット販路で来た人たちなんだろう。

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2016年11月 5日 (土)

2016年11月12月のメモ

やっぱり年末は押さえるべき芝居が多い激戦区、なんだけど今年は11月のほうが詰まっている。

・青☆組「パール食堂のマリア」2016/11/01-11/07@吉祥寺シアター:よさそうな演目に思えるのに見逃している

・松竹製作「三婆」2016/11/01-11/27@新橋演舞場:強烈な3人を集めた芝居

・てがみ座「燦々」2016/11/03-11/13@座・高円寺1:北斎の娘が主人公の話、チラシがよい

・阿佐ヶ谷スパイダース「はたらくおとこ」2016/11/03-11/20@下北沢本多劇場:男性陣がまさかのオリジナルキャストで再演

・Bunkamura企画製作「メトロポリス」2016/11/07-11/30@Bunkamuraシアターコクーン:串田和美演出で松たか子がどんなものか

・新国立劇場演劇研修所「ロミオとジュリエット」2016/11/09/-11/13@新国立劇場小劇場:直球のロミジュリを見せてくれそうなので一度ちゃんと観ておきたい

・KERA・MAP「キネマと恋人」2016/11/15-12/04@シアタートラム:去年ベストのKERA・MAPなので今回も期待度大

・演劇集団円「景清」2016/11/17-11/27@吉祥寺シアター:橋爪功が主役

・燐光群「天使も嘘をつく」2016/11/18-11/27@座・高円寺1:竹下景子を迎えてよさそうな雰囲気

・東京芸術劇場主催「三代目、りちゃあど」2016/11/26-12/04@シアターウエスト:野田秀樹の翻案がシンガポールとの合作で再演

・新国立劇場主催「ヘンリー四世」2016/11/26-12/22@新国立劇場中劇場:一部と二部の両上演なのでぜひ観たい

・シス・カンパニー企画製作「エノケソ一代記」2016/11/27-12/26@世田谷パブリックシアター:三谷幸喜の新作は相変わらず豪華なキャスト

・りゅーとぴあプロデュース「オフェリアと影の一座」2016/11/30-12/04@プレイハウス:ミヒャエル・エンデ原作でなんとなくよさそうなのでピックアップ、白石加代子が主演

・城山羊の会「自己紹介読本」2016/12/01-12/11@小劇場B1:癖のあるキャスティングはいつも気になるけどまだ観られていない

・月影番外地「どどめ雪」2016/12/03-12/12@ザ・スズナリ:高田聖子が長く続いているプロデュース公演

・さいたま芸術劇場主催「1万人のゴールド・シアター2016」2016/12/07@さいたまスーパーアリーナ:香典代わりに観たいけど平日昼間で大宮は遠い

・Bunkamura企画製作「シブヤから遠く離れて」2016/12/09-12/25@Bunkamuraシアターコクーン:もともと蜷川幸雄向けに書下ろした芝居を岩松了本人の演出で

・東京芸術劇場企画制作「ロミオとジュリエット」2016/12/10-12/21@プレイハウス:こちらはマームとジプシーのひねったロミジュリになりそう

・直人と倉持の会「磁場」2016/12/11-12/25@下北沢本多劇場:粗筋を読んで面白そうなうえにキャスティングもいい感じ

・iaku「車窓から、世界の」2016/12/14-12/19@こまばアゴラ劇場:前作が評判よかったのと、チラシがよいのでピックアップ

・Q「毛美子不毛話」2016/12/16-12/19@新宿眼科画廊スペース地下:武谷公雄が出演する2人芝居

・神奈川芸術劇場プロデュース「ルーツ」2016/12/17-12/26@神奈川芸術劇場大スタジオ:脚本が松井周、演出が杉原邦生なんだけどまだ中身が想像付かない

・青年団国際演劇交流プロジェクト「愛のおわり」2016/12/22-12/28@こまばアゴラ劇場:フランス芝居を平田オリザが日本語脚本化して、青年団の手練れ2人がいどむ

他に世田谷パブリックシアターとあうるすぽっととシアターXとでイプセン上演をしているけど、どうもひねった演出で来そうな予感がするので敬遠。有名なわりにちゃんと観たことがない芝居を王道の演出で一度観ておきたいという欲求が最近はあって、それに応えてくれそうな上演があるのだけど、どこまで観られるか。

<2016年11月5日(土)追記>

1本書き忘れていたので追加、急ぎすぎて言葉不足な箇所があったので修正

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