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2016年12月 6日 (火)

KERA・MAP「キネマと恋人」シアタートラム

<2016年12月1日(木)夜>

昭和初期。勤め先の工場が倒産して失業し酒とギャンブルと浮気におぼれて暴力を振るう夫を持つ女は勤め先に内職を掛け持ちして家計を支える。そんな女の唯一の趣味は映画鑑賞。東京から遠く離れた離島の町に1件しかない映画館では東京から6ヶ月遅れの映画が上映されるが、それも毎日観に来る。ある日、上演中の時代劇を観ていると、映像の中から登場人物に話しかけられる。やがて映像から飛び出してきて映画館が混乱すると、その隙に登場人物は女を連れて脱走する。折りしも、その時代劇の続編を撮影するために、役者陣がその島にロケに来ている。

元ネタは「カイロと紫のバラ」という映画だと公言しているけど、未見のためどこまで元ネタに近いかは不明。観終わってみれば、映画の登場人物に主人公の女に妹の話も絡めて、実によく出来たプロットの王道な展開。舞台内映画の映像やプロジェクションマッピングを贅沢に使う割にはアナログな手段も駆使して、それ自体も含めて笑いにするような仕上げ。

周辺の話も存分にネタを仕込んであり、それなりに楽しんだのに、どこか釈然としない。昔の喜劇の知識がないのでそこのネタが分からなかったからなのか、あんな扱いをされておとなしくしている女に緒川たまきが見えなかったからなのか、映像の登場人物が主人公にほれる理由が不明だからなのか、そこに説得力を持たせられなかった妻夫木聡が悪いのか、映像のテンポと舞台演出のテンポが合っていなかったのか、たまたまテンポがずれた回を観てしまったのか、いろいろ可能性を考えるけど、どれも可能性として間違っている気がする。

観ていて、これと間逆のラストを期待していた自分に気がついたので、たぶん自分が疲れていたのが一番の原因だと思う。主人公の幸福感は伝わってきたけど、それを自分の元気に転化しきれなかった。うーん。

それ以外だと、インフルエンザで中止の回があったのも困ったけど、19時開始で3時間20分だとちょっと交通事情も厳しくて。蜷川幸雄がBunkamuraの駐車場が閉まるより長く上演する公演が昔あったけど、それは考えてほしい。KERA芝居で上演時間が長いのは覚悟の上だけど、終了時間まで真似ないでほしい。14時19時を13時18時半の繰上開始にできなかったものか。

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