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2017年2月25日 (土)

M&Oplays製作「皆、シンデレラがやりたい」下北沢本多劇場

<2017年2月24日(金)夜>

メジャーデビュー前の男性アイドルの追っかけで知り合った女性3人。中の一人が経営するスナックに集まっては男性アイドルの話題で盛上がる。ある日、男性アイドルの寝顔を付きあっている女性アイドルがTwitterに投稿したことで炎上する。相手の女性アイドルが許せない3人は、貶める情報の検索や拡散に努めるが・・・。

役者の根本宗子は観たことがあったけど、脚本演出作品は初見。追っかけ以外は趣味も境遇も異なる3人の違いを、結構ひどいこと言葉でカラッとした笑いに紛れ込ませつつ、追っかけ側の思い込みや妄想論理を明快に描いた1本。今まで見逃していたのがもったいないと思わせる仕上がり。

途中ものすごい早口でまくしたてるのも含めて、いまどき珍しい1時間45分でお腹いっぱいの満足感。このスピード感と誇張感は最近細っていた小劇場のノリと笑いを使いこなしている。小劇場から大きくなった代表的な劇団から腕利き女優を3人集めるキャスティングからして趣味がはっきりしていて、よくぞ集めたという感じ。美術や衣装や音楽が芝居のトーンに揃っていて、目が行き届いていた。最後はあれだけのために人を集めたという思い切りのよさも魅力。

これで出演もやってかなり上手だから、できる人はできるんだなと思い知らされる。チラシに挟まっていたインタビューを読んだら学生時代に年間100本観てメモを残していたのもすごいけど、コメントのいちいちがはっきりしている。この前スズナリでやっていたと思ったらすでに本多劇場2回目だったのも納得の出来。観て損はしない。

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2017年2月24日 (金)

世田谷パブリックシアター企画制作「お勢登場」シアタートラム (若干ネタばれあり)

<2017年2月20日(火)夜>

若くして歳の離れた男性と結婚したお勢。子供ももうけているが、派手に化粧して度々出かけるお勢の浮気が疑われる。このお勢の来し方行末と、お勢に関わりあった人物たちの人生模様。

江戸川乱歩の短編8本を再構成した芝居。お勢の話が続くと思いきや、「二銭銅貨」のようなお勢が一切関係ない話も足してきて、視点がぶれる。原作を尊重したのかもしれないけど、強引にでもお勢を登場させて、話に一本筋を通してほしかった。あの最後で締めるならなおさら。単発で見ればそれぞれ面白い話が、お勢の話とそれ以外とに散るせいで理解が散漫になってマイナスに働く。怪しい雰囲気だけでつなぐのはつらい。

並居るベテランの中でも片桐はいりがピカイチで、真面目に見せる場面と笑わせる場面の両方とも光る。これに食われたわけではないけど、お勢を演じた黒木華が最初の1本とその後の話とでつながらずにもったいない。舞台に写される年から時系列を考えると、最初の1本はすでに十分悪女の時代のはずで、旦那を見殺しにする場面で思い切りのよさを見せて欲しい。遊園地で働く女の演技は好み。

スタッフワークは衣装と映像がよかったけど、その分予算を取られたのか美術がそれらに見合わず安っぽく見えた。多い場面数に対応して転換に工夫を凝らしただけでなく回転木馬まで導入していたけど、シアタートラムだと舞台に近すぎて目立つ。

観てそれなりに楽しんで、江戸川乱歩の怪しい雰囲気も、笑いも味わったけど、同じくらいもったいない点が目立った芝居だった。美術の話はさておき、脚本演出でもう少し持っていけたはず。

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2017年2月23日 (木)

Bunkamura/キューブ企画製作「陥没Bunkamuraシアターコクーン(若干ネタばれあり)

<2017年2月18日(土)昼>

東京オリンピック開幕前の昭和の日本。実業家がホテルの建築を計画していたが、事故死してしまう。後を継いだ一人娘は何とか開業にこぎつけたものの、夫の浮気が原因で離婚し、父がスカウトした会社の同僚と再婚している。プレオープンの日、父の借金のため費用をかけられなかったホテルはアンケートに苦情の嵐。本日は別れた元夫の再婚パーティー開催が予定されており、関係者が宿泊に来ているが、不穏な空気が流れている。死後の世界から様子を見に来た父は何とかしようと奮起し、それを早く連れ戻したい死者の見張り役とトラブルになる。

あまりオリンピックは関係なく、スマホも携帯電話もありません、くらいの時代設定。亡くなった父が見張り役に頼んで七つ道具を駆使するあたりからKERA版真夏の世の夢が始まって、その裏で一人娘と元夫と再婚相手とがぎくしゃくするKERA版岩松了が進んで、でもやっぱり要所要所がKERA芝居で、最後は、これもスクリューボールコメディっていうのか、お楽しみ、な展開。

七つ道具で「触ると内心のことを正直に話してしまう粉」がツボで、これを振りかけた椅子に座るかな、座らないかな、のじらし具合はお手の物。それを忘れたころに使うのが実に上手。何と言うか、よくできたベタな笑いがこんなに面白いとは思わなかった。もちろん丁寧な前振があるのだけど、久しぶりに大笑いした。客席のノリもいい日だった。

やっぱり主役の小池栄子が素晴らしくて、社長令嬢の役にふさわしくものすごいきれいだった。「グッド・バイ」もそうだったけど、悩んでも何しても真っ直ぐな役が似合う、華のある人で、脂の乗っている女優という表現がぴったり。それなのにきっちりおっぱいネタもこなす偉ぶらなさがまたいい。あと、山崎一の演技が芝居の軽い側の線をまとめている。何か植木等に似ているように見えてきた。他の出ている役者は複数役を兼ねたり同じ役でも体を乗っ取られたりして忙しいのだけど、それでも楽しんで観ていられるこの余裕のキャスティング。このくらいが標準になってくれるといいのだけど、やっぱり贅沢だよなあ。

芝居初心者にもぜひ勧めたい一本。1階端席で観たけど事前に言われたほどの見切れはなかった。立見ならチケット代はぐっと安くなる代わりにたぶん見切れがひどいのでできるだけ後ろ側で。

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カタルシツ演芸会「生きてる時間」あうるすぽっと

<2017年2月18日(土)昼>

近未来の日本。税金を免除する代わりにすべての健康状態とライフログを市に提供することが義務付けられたモデルタウン。このデータから人間の残り寿命を測定するシステムを開発してしまった医者が自分の寿命を知ったことによる顛末。そのシステムの延長で人間の時間を売買できるようになり、ためしに時間を購入した老夫婦の結末。その情報たまたま知ったフリーライターが進める取材の行方。

今回のカタルシツは落語とのコラボレーション。寿命を知った顛末と老夫婦の結末が落語で、その合間に演劇形式の取材の行方が入る。たぶん、取材の行方が元の話で、その背景で匂わされていた寿命を知った顛末と老夫婦の結末を、落語として追加したと思われる。落語の話で背景が広がり、取材の話がぐっと面白くなる。

ただ、落語とのコラボレーションは実験的な要素もあるので、100%成功したわけではない。まず、イキウメはSF要素が多くて全体にかっちり話す脚本だけど、落語はやわらかく話すのでそこのギャップがひとつ。イキウメの看板で見に来た自分としては、柔らかく語るのではなく、もう少しかっちりした台詞術のような語りが聞きたいし、この脚本なら落語側をもう少し固いほうに寄せたほうがよさそう。

次に、落語側と演劇側との間で、登場人物の関係はあっても場面上の接点はないので、話がつかめるまでが長い。もう少しお互いの共通場面があると助かる。そして、それに関係するけど、落語、演劇、落語、演劇、の順番は反対にしたほうがいい。でなければ、頭に演劇を入れて5幕モノにしてほしい。交互に2つずつは落語のスタイルだけど、それに拘る必要はない。カタルシツだから語る時間が長いのは歓迎だし、真打を呼んでおいてもったいないけど、落語の体感時間がちょっと長い。

あとこれはないと思ったのは、演劇は生声で、落語はマイクを使ったこと。終盤に双方が話す場面があるけど違和感が大きい。あうるすぽっとなら生声で揃えてほしい。

苦情ばかり書いたけど、話は面白いし、この形式は発展の余地があるので、第2弾、第3弾と計画して育ててほしい。

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2017年2月22日 (水)

野田地図「足跡姫」東京芸術劇場プレイハウス(ネタばれあり)

<2017年2月11日(土)昼>

江戸初期、裸も見せる女の踊りで人気を博す興行の一座。役人の取締りをごまかすための男衆もおり、看板娘の阿国の弟サルワカもその一人だが、地球の反対側に行けないかといつも穴を掘っている。ある日、穴掘りの不始末で座長の不興を買って一座から追い出されそうになったところ、弟をかばう姉が、面白い物語を書かせると宣言する。詩的だが抽象的な話しか書けない弟に代わって、一座にいつの間にかもぐりこんでいた男が代筆した脚本が大当たりを取る。だがこの大当たりが仇となり、役人の取締に合ってしまう。妹分の踊子が身代りで捕まり、阿国とサルワカは逃げられたが働き口がない。かねてから裸以外にも客を喜ばせる表現があるはずだと考えていた阿国は、踊った足跡が絵になる足跡姫の演目を思い立つ。

時間が経ってしまったので粗筋が微妙に間違っているかもしれないけど御容赦。勘三郎の弔辞で三津五郎が語ったという「肉体の芸術ってつらいね、死んだら何も残らないんだものな」に対する野田秀樹のオマージュがこれ。踊子がいなくなっても足跡(あしあと)が残るという筋を、足跡(そくせき)が残ると掛けて、何も残らないわけじゃない、その先まで続いていく足跡を残したんだと実に明快な回答。

劇中では、芸能に生きるものの表現欲を描きつつ、そのあちらこちらに勘三郎ネタあり。代筆された脚本に仲のよかった仁左衛門の名前を出すくらいはご愛嬌のうち。倒れた阿国に救急車を呼ぶか呼ばないかという場面は宮沢りえの「すったもんだがありました」事件のパロディだけど、それを宮沢りえにやらせる野田秀樹も野田秀樹だし、やる宮沢りえも宮沢りえ(褒め言葉)。最後の場面が満開の桜なのは、反骨の先祖が桜の下に埋められたという劇中の展開もあるけど、太地喜和子の舞台の千秋楽に小道具の桜の花びらを差入れしたエピソードからなのかな。知っている人にはもっとわかるネタがあるのかも。助平な伊達の十役人という役もあるけど、モテた勘三郎のことだったりして。

前半のラスト、死の間際の阿国の母が言葉が上手に話せず「いいあい」と言っていたのは「死にたい」と言っていたのだと思い込んでいた阿国に対して、それは「生きたい」ではないかと返したサルワカに喜んで「だからお前は天才よ」と返す場面。野田秀樹が実際に似たようなことを言われたんじゃないのかな。それがラストでは、生きたいではなく行きたい、踊れない踊子がもっとも行きたかったのは死の床からもっとも遠い反対側、つまり舞台だと繋げて、ああそれは病室で見取った勘三郎のことかと思わせる。この時点ですでに感動しているところ、あの美しい長台詞でこの足跡は十八代までは続くだろうという締め。全然違う話でここまで上手に勘三郎を称えるのだから野田秀樹は天才だけど、この天才をそこまで心服させた勘三郎の魅力ってなんだったんだろう。

脚本ばっかり書いたけど、もちろん仕上がりはよい。宮沢りえが一番だったけど、池谷のぶえが張りきっていて、古田新太は比較的おとなしくしていた。コロスのメンバーが、踊りもいいし、武士集団の動きも切れがある。スタッフワークは言うに及ばず、簡素な美術の割に貧弱さも感じず。全体に質が高い。これは再演されないか、それとも十九代目の襲名があったら再演されるか。もう一度観たい。

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2017年2月14日 (火)

青年団の追加公演パズルに興味津々

最近恒例の青年団+無燐館の公演ですけど、今年は「南島俘虜記」とのことで未見なので楽しみにしています。

で、トリプルキャストでスケジュールが組まれているんですけど、トリプルキャストなのに休演日あり。いやー4月はみんな忙しいし、なんてことはなくて、いつも人気の青年団ですから追加公演予定日でしょう。一応同じ曜日の同じ時間帯に同じチームが当たらないように工夫していますけど、各チーム7公演ずつだから追加公演はどのチームが、何てことにならないように、1公演ずつ充てるんでしょう。

販売して間もない最初の週を飛ばすとしたら、4/11(火)昼以降が対象。いやいや、そんな順番は関係ない手堅く日曜夜に3チーム突っ込む、いやいやいや、各チーム2公演の計6公演を一気にあるいは二度に分けて追加するならきれいにABCが並ぶじゃないか、などと興味は尽きません。

チケット発売は2/25(土)なので、どの日から売れるかを観察しながら、どの組合せで追加公演やるのかを決めていくのでしょう。最近は昼間公演が人気で夜公演の人気が薄いから、特に平日は先に夜から売るのでしょう。

私の予想は、素直に4/11(火)昼、4/13(木)夜、4/18(火)昼を売出しだと思いますが、皆様の予想は如何。

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