青年団「さよならだけが人生か」吉祥寺シアター
<2017年6月24日(土)昼>
雨の工事現場の休憩所。遺跡が出てきて工事が中断している。発掘の手伝いに来た学生たちや文化庁の職員に建築会社の社員は平身低頭。娘の話題が出て機嫌が悪いおじさんやその日が最後で故郷に戻る人の話題で盛上がる現場のメンバー。休憩所の床は割目が広がっていい加減危なくなっている。見回りした人たちはミイラを見たと言い出す。雨がやまないので休憩所で話すくらいしかやることがないある日の午後の2時間。
遺跡の発掘に頑張る学生たちと早くマンション建てたいので穏便に済ませてほしい建設会社の社員たちの話を縦糸に、結婚したい人たちとまだ結婚したくない人たちの話を横糸にして、遠くに行く人と行けなかった人と行かれてしまった人の来し方行末をいつも通りだらだらとした会話で描く。1992年初演の比較的初期の芝居だけど、すでにスタイルが完成されていて近年の芝居と同じように楽しめる。そこはかとなく色っぽい場面が出てくるのも初期作品っぽい。床の割目に手を入れたら抜けなくなった場面は何の話だったか。
青年団+無燐館で最近観たメンバーも出ていて、出だしはどうかと思ったけど、だんだん馴染んでいた。客席に背を向けて話すのは青年団のたまにやる手法だけど、縄文時代の研究をなぜ目指したのか訊かれて、そのまま突然話が止まらなくなってこれはやばいと思わせる怪演を魅せた文科省の役人、誰が演じたのかと思ったら立蔵葉子だった。手元の過去ログを検索すると「忠臣蔵OL編」とか「サンタクロース会議」とか五反田団の「ふたりいる風景」とか、見た目も声も覚えられない割に出ているといつも気になる演技で魅せてくれる。足場とパイプで組んだ素通しの小屋の舞台、こういう美術もあるのかという発見がある。
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