劇団☆新感線「髑髏城の七人(花組)」IHIステージアラウンド東京
<2017年6月2日(金)昼>
豊臣秀吉が天下統一を目指して関東攻めを準備している戦国時代。が、関東では、天魔王率いる「関東髑髏党」が北条一族を滅ぼして関東一円を手中にし、戦に備えて新たに城を築く一方、領内で狼藉の限りをつくしていた。それに対抗して村人を救った若者集団「関八州荒武者隊」と、通りがかって手助けをした正体不明の浪人捨之助。救った村人を送り届けたのは無界屋蘭兵衛が作り上げた、流れ者の色町として名高い「無界の里」。送り届けたまではよかったが、どうやら捨之助と蘭兵衛は知り合いらしい。やがて関東髑髏党の手は無界の里まで伸びてくる。
粗筋は昔のエントリーのコピペ。以前観たときはあんなに楽しんでいたのに、今回はいまいち盛上がれず。客席の動く劇場といっても、多数の場面転換を含む上演はすでに一般劇場で何度も実現していたところで、それを横に伸ばしても目新しさは感じず、むしろ空間が広がって雰囲気が薄まった。横の広さを生かした映像も厳しいことをいえば物語にはあってもなくてもよかった。小栗旬の主役もセンター後方の席からはマイクの声の大きさに比して見た目が遠い。沙霧役の清野菜名はラスト場面でマイクが飛んでいたけど、その時の音量の落差がそのまま劇場の広さだった。天魔王の成河だけ、単体で劇場に負けない演技をしていて、あれは素直にすごい。
関八州荒武者隊が思ったよりもよくて、何でだろうと考えたら、台詞を揃える場面の声の大きさと勢いが、ようやく劇場に釣りあっていたからだった。たぶんこの劇場はどんなに派手でも普通の芝居で頑張っては駄目で、劇場の広さに見合ったアトラクションというか、専用に組立てられた場面がないとつらい。古田新太がローラースケートで登場する場面が少しだけあったけど、青山円形劇場でローラースケートを履いた劇団☆新感線なればこそ、客席と映像とローラースケートを組合せて回す演出はできなかったものか。
おまけを書くと、真面目な場面が多かったためか、古田新太が出てきたら客席が待ってましたとばかり何をやっても笑う状態になっていた。路線変更ならいいけど、規模が大きくなりすぎておバカをやる余裕がなくなったのであれば残念。
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