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2017年7月 8日 (土)

岸田森さま話

岸田國士の甥で岸田今日子の従兄弟、くらいしか知りません。Wikipediaで出演一覧を眺めましたけど、実際に観たのは帰ってきたウルトラマンくらいで、それも昔のことだから覚えていません。で、サンバルカンから付合いのあったらしい小林朝夫が残した岸田森との会話メモのまとめを見つけました。

芸能界というのは変わった人も大勢いるものだとうっすら思っていましたが、一昔前ともなるとまた「変わった人」の質が違う。芝居の参考になりそうな話の合間からただよう、ちょっとこの人大丈夫かという雰囲気と合せて堪能してください。若いうちに亡くなっていますけど、それでも1982年だから、直接知っている人たちもまだまだ生きている。

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2017年7月 7日 (金)

舞台から転落して中嶋しゅうがまさかの死亡

まさかの初日事故。舞台は危ないものではあるけどどんな場面だったんだろう。ちょっとこれだけだと状況がわからないけどスポニチアネックスより。

 6日に東京芸術劇場シアターウエストで上演されていた女優・寺島しのぶ(44)主演の舞台「アザー・デザート・シティーズ」の第1幕上演中に、俳優・中嶋しゅうさん(69)が舞台上から転落、救急搬送され、病院で死亡が確認された。

 この日の公演は中止となった。主催する株式会社梅田芸術劇場が発表した。劇場側はこの日午後10時の時点で、中嶋さんのけがの状況について「詳細が分かり次第、再度、皆様にご連絡申し上げます」とし、「明日以降の公演続行に関しましても、改めてご連絡させて頂きます」とコメントしていた。

 中嶋さんは「劇団NLT」出身のベテラン俳優。妻は女優の鷲尾真知子(68)。

最後に観たのは「ヘンリー四世」だったか。この後「ヘンリー五世」も予定されていたのに。

ありがたいコメントの記録へのリンクを載せておきます。合掌。

<2017年7月7日(金)追記>

もう少し詳しい様子がサンスポに載っていた。

 女優、鷲尾真知子(68)の夫で俳優、中嶋しゅうさんが6日、東京・西池袋の東京芸術劇場シアターウエストで開幕した舞台「アザー・デザート・シティーズ」(26日まで)に出演中、客席に転落し、搬送された都内の病院で亡くなった。69歳だった。警視庁によると、頭を強く打っており、午後10時に死亡が確認された。

 同舞台は女優、寺島しのぶ(44)主演で、中嶋さんは寺島の父役で出演。主催者などによると、この日午後8時10分ごろ、中嶋さんは舞台に地べた座りの状態から立ち上がった際にバランスを崩し、約75センチ下の客席に転落。寺島は役名で呼びかけたが反応がなく、手をクロスさせてスタッフに応援を要請した。

 その後、駆けつけたスタッフや現場にいた医師が心臓マッサージなどの救命措置を施し、都内の病院に緊急搬送。公演はその場で中止になった。7日~9日の公演も中止。その後については後日発表するという。

最初は舞台の奥か袖に段差があったと想像していたけど、正面に落ちたとは思わなかった。落ちた場所は袖のスタッフからは見えなくて、正面からも客席最前列に隠れて後方からはわかりづらいところ。その場で止めた寺島しのぶの勇気(これは勇気と呼ぶべき)、があって、現場にたまたま医師がいて救命措置を施されて、それでも駄目だったのだから落ちた時点で頭を打ってもう駄目だったんだろう。遊眠社全盛時代にはしごから落ちて五体満足で復帰した野田秀樹(ちょうど今はこの上演劇場の芸術監督)のほうが運がよかっただけなんだ。改めて合掌。

<2017年7月7日(金)再追記>

死因は別だったようで、順番としては病気を発症したから舞台下に落ちたとのこと。スポーツ報知より。

 6日に東京・豊島区の東京芸術劇場シアターウエストで初日を迎えた舞台「アザー・デザート・シティーズ」出演中に舞台から転落し、救急搬送先の病院で死亡が確認された俳優の中嶋しゅうさん(享年69)の死因が、急性大動脈解離だったことが7日、わかった。所属事務所が発表した。

 <HPに掲載された文は以下の通り>

「中嶋しゅうを応援して下さった皆様へ」

 既に報道等でご承知の事と存じますが、7月6日に初日を迎えました「アザー・デザート・シティーズ」の上演中、弊社所属俳優、中嶋しゅうが、舞台下に転落した原因につきまして、検視の結果「急性大動脈解離」を発症していたことがわかりました。

 昨日の舞台初日に足をお運び下さり観劇いただいていたお客様、また観劇を心待ちにして下さっていたお客様、共に舞台上で共演させて頂いたキャストの方々、そしてスタッフの方々に於かれましては、多大なご心配、ご心労、ご迷惑をおかけしてしまいましたことを深くお詫び申し上げます。このような結果になってしまい、まだ気持ちの整理がつかずにおりますが、今後のことにつきましては、また改めてご報告させて頂きます。

ちなみにこの再追記時点では、公演は7/11までは中止払戻し決定、7/12以降の公演は7/10正午発表とのこと。ショー マスト ゴー オンの世界とはいえ大変だ。神様に愛される代打は見つかるだろうか。

<2017年7月10日(月)追記>

代役は斎藤歩に決定。7/12までの公演を中止して払戻し、7/13から再開。前売チケットは7/11から販売再開。梅田芸術劇場公式サイトより。

 『アザー・デザート・シティーズ』につきましては、東京芸術劇場シアターウエストでの公演初日である7月6日(木)に、出演者の中嶋しゅうさんが亡くなられたことを受けて、当該公演初日から7月11日(火)までの公演の中止をすでに発表しておりますが、故・中嶋さんのライマン役として斎藤歩(さいとうあゆむ)さんにご出演頂き、7月13日(木)より上演することとなりました。

 急逝された中嶋さんの生前のご功績を偲び、謹んで哀悼の意を表しますとともに、キャスト・スタッフ一同は今後の公演に向けて尽力して参りますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

 なお、中止を発表しております公演に加え、7月12日(水)の公演につきましても中止とさせて頂くこととなりましたので、併せてお知らせ致します。公演を楽しみにお待ちいただいておりましたお客様には、大変なご迷惑をおかけすることになり、深くお詫び申し上げます。

中止となった公演のチケットの払い戻しにつきましては、下記のとおり対応させていただきます。
大変お手数をおかけいたしますこと、重ねてお詫び申し上げます。

 また、7月13日(木)以降の東京公演の座席券につきましては、7月11日(火)午前10時より販売を再開させていただきます。(大阪公演は販売中)

(後略)

さて公演が成功するか。

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2017年7月 3日 (月)

世田谷パブリックシアター企画制作「子午線の祀り」世田谷パブリックシアター

<2017年7月1日(土)昼>

源平合戦の末期、一の谷の合戦で義経に奇襲をかけられた平家軍が大敗し、阿波民部重能を頼って落延びるところから、源平双方が総力を挙げた舟戦である壇の浦の戦いで、平家が敗れて一族が入水または生捕りにされるまで。平家物語の巻の九後半から巻の十一の源平双方の努力と運命を描く。

初日プレビュー観劇。格好良いタイトルだけ知っていてどんな話かと思ったら、登場人物の心理描写を台詞に託して現代劇風(もう少し古くてシェイクスピアくらいか)にした直球の平家物語。壇の浦の戦いを分けた潮の満ち干きを月の運行から眺めて、併せて世の移り変わりの潮目を描いた大作。堪能した。

片や後手を踏んで講和の道を断たれて追いこまれるも阿波民部重能の助けで最後の一戦までこぎつける平知盛、片や戦上手だが政治に疎く梶原景時と衝突して軍をまとめられない源義経。まだどちらに転んでもおかしくないところを、敗北に転がる平家の下り坂を描いて無駄のない脚本。これを、伝統芸能からも現代劇からも大勢の芸達者を集めることが前提の、ぴたりと決まる構えや迫力ある台詞回し、平家物語の文体をそのまま生かして全員で読む郡読などで魅せつつ引張る。カーテンコールまで入れたら3時間50分の超大作で、キャスティングまで考えると公共劇場でないと演じられない規模。

いい役者ばかりだったけど、その中でも、何と言っても、義経の成河が出色の出来。身軽な身体能力で躍動感を見せてくれるだけでなく、才能が走りすぎて衝突してしまう良くも悪くも若いところを絶妙に演じてくれた。これが今井朋彦の梶原景時と火花を散らす場面とか、長らく小劇場を観てきたこちらの贅沢気分をくすぐることったらない。阿波民部重能の村田雄浩とか、二位の尼の観世葉子あたりも、このまま大河ドラマに投入して活を入れてほしいくらい。声も思慮も余裕大きく貫禄あるところを演じた弁慶の星智也とか、あと名前を確認し忘れたけど、揉める義経と景時を仲裁する三浦介義澄のすっとぼけた味とか、補佐したり諫めたりしながらも地位の上下を固く守って演じた船所五郎正利とか、いいです。とにかく全員声が出るので、群読の場面だけでなく、声を揃えて応じる場面だけでも劇場を声が揺らして気持ちがいい。

惜しかったのは、結構な場面数だけど、野村萬斎演じる平知盛が出る場面。前半は節回しが粘りすぎて重くなってテンポがそがれた。後半はなぜか一人だけものすごい声が小さくなって、他が大きいだけ聞き劣りがひどかった。あと語りの録音は野村萬斎と若村麻由美だけど、低くて篭りがちな言い回しで、二人とも聞取りづらい。子午線の説明が出るのは語りの部分なので、そこが聞取りづらいと芝居の魅力が減る。録りなおすのが理想だけど、それが無理なら音響でもう少し調整できないか。若村麻由美もそうだけど、野村萬斎が自分を演出する場面が全般に他に追いついていなかった。前から思っていたけど、野村萬斎は自分が出演するときは演出を兼ねないほうがいい。

ちなみに潮の流れについては大正時代の調査を元に説明している説がある。自分は海音寺潮五郎を読んで知っていたけど、木下順二も読んでいたかも。

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2017年7月 1日 (土)

2017年7月8月のメモ

数は少なくても押さえておきたい芝居は多目。うっかりしていたらすでに観始めています。

・世田谷パブリックシアター企画制作「子午線の祀り」2017/07/01-07/23(07/01-07/03プレビュー公演)@世田谷パブリックシアター:舞台に直した直球の平家物語のクライマックスを伝統芸能から現代劇まで多彩な役者で描く、すでに観たけど堪能した

・鳥公園「すがれる」2017/07/06-07/12@こまばアゴラ劇場:この前がよかったので

・燐光群「湾岸線浜浦駅高架下4:00A.M.(土、日除ク)」2017/07/06-07/19@ザ・スズナリ:早くに亡くなった深津篤史の脚本を坂手洋二演出で

・キューブ企画製作「魔都夜曲」2017/07/07-07/29@Bunkamuraシアターコクーン:マキノノゾミ脚本に河原雅彦演出の音楽劇

・シス・カンパニー企画製作「子供の事情」2017/07/08-08/06@新国立劇場中劇場:三谷幸喜の贅沢役者企画だけど、シチュエーションが事前に決まっている三谷幸喜芝居は当たりの予感

・新国立劇場製作「怒りをこめてふり返れ」2017/07/12-07/30@新国立劇場小劇場:労働階級を描いた1956年初演のイギリス芝居、にしては美男美女が多い

・ホリプロ企画制作「NINAGAWA・マクベス」2017/07/13-07/29@さいたま芸術劇場大ホール:これを見逃してはならない

・TRASHMASTERS「不埒」2017/07/15-07/23@下北沢駅前劇場:気になってまだ観られていない団体のひとつ

・東京芸術劇場企画制作「気づかいルーシー」2017/07/21-07/30@東京芸術劇場シアターイースト:2年前に上演した松尾スズキ絵本原作の音楽劇を同じ主役で再演

・コムレイドプロデュース「鳥の名前」2017/07/22-08/13@ザ・スズナリ:赤堀雅秋が癖のある役者を集めたプロデュース公演

・ハイバイ「ハイバイ、もよおす」2017/07/29-08/12@神奈川芸術劇場大スタジオ:中編4本の再演に一人芝居を足して上演予定

・Bunkamura企画製作「プレイヤー」2017/08/04-08/27@Bunkamuraシアターコクーン:前川友大脚本の長塚圭史演出

・FUKAIPRODUCE羽衣「瞬間光年」2017/08/18-09/05@こまばアゴラ劇場:この前は見逃した

・松竹製作「野田版 桜の森の満開の下」2017/08/09-08/27@歌舞伎座:野田秀樹の久しぶりの歌舞伎座公演は夢の遊眠社時代から

・日本総合悲劇協会「業音」2017/08/10-09/03@シアターイースト:再演したくても主役の引受け手がなかった芝居、らしいのを今回は平岩紙で

・シス・カンパニー企画製作「ワーニャ伯父さん」2017/08/27-09/26@新国立劇場小劇場:KERAのチェーホフ四大悲劇上演企画の第3弾

劇場や芸能事務所の企画製作/企画制作がずらりと並んで、劇団の衰退か自分の趣味の偏りか。

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ここにも後で何かを書きます。

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文学座「中橋公館」紀伊國屋ホール

<2017年6月30日(金)夜>

早くに中国に移住して、子供はみな中国で生まれた中橋家。医者として中国全土を回っていた父は家庭を顧みず、長男が一家を支える。北京の自宅で終戦の報を聞いた中橋家に父が帰宅するが、敗戦よりも次の医療奉仕に気が向いて相談相手になれない。敗戦によってデマが飛びかい安全におびえる中、残るか、日本に行くかで揺れる中橋家一族の葛藤。

初日観劇。戦後間もない1947年初演の芝居。敗戦に臨んだ登場人物の良し悪しをこれでもかと描く3時間。「シニカルな喜劇」と宣伝されていて、初日でやや客席が固かったのもあるけど、自分の感想は純粋にシニカルな芝居だった。外れなしの役者を揃えて質は高いけど、こんなに感想に困る芝居は久しぶりだ。

敗戦に当たってじたばたしてもしょうがないと落着いた登場人物と、慌てふためく登場人物と、両方でてくる。でもよい面でも悪い面でもどちらも「日本人なんだから」というくくりに自分たちを当てはめて出処進退を決めようとする価値観は、初演の時代には自然に受止められたんだろうか。それとも自分がひねくれているだけで、むしろ今のほうが自然に受止められるんだろうか。かといって、敗戦なんて気にしないと行動しようとする父は家族の今後をまったく考えられておらず、個人主義が行き過ぎて自分勝手になる。内輪で交わされる会話の端々に、国と家族と個人との関係の「整理されていなさ」を、ものすごく正確に描いている。

それが外に向かうとき、中国人に家が襲われたのは横暴な態度を取っていた日本人の家だけだだとか、会社接収で鉢合わせた中国の軍隊を本社に行けと追いかえした中国人のボーイを日本人の社員が突然あがめだしたとか、いかにもあったようなみっともない日本人のエピソードを会話に織り交ぜる。特定個人の中国人への感謝をはっきり台詞にしている一方、大勢が引揚げた後の市場で見た日本の着物が乱暴に扱われる場面に表明する集団の中国人への嫌悪も描く。

大陸で生まれて育ったら日本は祖国ではないし行く当てもないのに引揚げるってどういうことかとさりげなく重要な台詞が出てくるけど、その台詞をいう姉妹たちは、以前日本に旅行して日本が嫌いになったと日本語で話合う。それを日本育ちの母親が、出征している孫の無事を願うというごく素朴な感情を吐露することで家族の方針が揃う当たり、父性よりも母性というか、日本的なまとまりかたというか。

めでたいエピソードや前向きな場面もたくさんあったのだけど、シニカルと呼ぶにはきつい面ばかり覚えている。それはラストで言った「島国根性」なるものを追い求めて描いた脚本だからに思える。脚本家がどのくらい意図的にエピソードを盛りこんだのか気になるけど、それぞれのエピソード自体は当時の同じ経験をした日本人の自然な行動や感情に思える。だから、何と言うか、別に興行を邪魔したいわけではないけど、この芝居に入り込んで自然に親和してしまうような人間では駄目というか、どんなに立派でも田舎者は田舎者というか、精神の安定を他に依存するようでは一人前ではないというか、異なる文化と付き合える人間と付き合えない人間とを分かつものは何かとか。なんかひどいことを書いている気がするけど、上手い言葉が見つからない。これを言葉で表現できないと感想として成立しないのに見つからない。

全然まとまっていないうえに、実は人生初の開演時間遅刻をやってしまい冒頭を見逃したせいで肝心のポイントを理解していない気がしている。御容赦。

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