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2017年9月13日 (水)

本番直前の降板騒動

もう寝ようと思ったときにこんな記事を読んだら寝られないじゃないか。こういうのは後でエントリーが消されたりするので、とりあえずJ-CASTの記事からスタート。

 女優の鈴木砂羽さん(44)が初演出を手掛ける舞台「結婚の条件」で、主要キャストを務める予定だった女優の鳳恵弥(おおとり・えみ)さん(36)と牧野美千子さん(52)が、初演直前に急きょ舞台を降板することになった。

 2人の所属事務所が2017年9月11日深夜、公式フェイスブック上で発表した。事務所側は降板の理由について、演出の鈴木さんによる「人道にもとる数々の行為」が原因だと説明している。一方、劇団側は「事実とは違います」と事務所の主張を真っ向から否定。双方の認識が大きく食い違う事態となっている。

(中略)
 2人が所属する事務所の担当者は12日のJ-CASTニュースの取材に対し、鳳さんのブログに書かれた内容について「すべて事実だと認識している」とした上で、

 「鈴木さんが2人に土下座をさせたことは紛れもない事実です。(鈴木さん側が)どのように主張するかは分かりませんが、言い訳はできないと思います」

と話した。

 一方、今回のトラブルについて、劇団を主宰する江頭氏は12日夕に報道各社向けにファクスでコメントを発表。鳳さんらが「(鈴木さんに)土下座を強要された」などと訴えていることについて、「事実とは違います」と全否定した。

 江頭氏はコメントで、自らのスケジュール確認のミスにより稽古場で謝罪したことはあったが、決して鈴木さんから強要されたわけではないと説明。鳳さんが稽古場の床に座ったまま頭を下げたことは事実だが、

 「その場にいた私が断言できるのは、鈴木さんから土下座をするようにとは決して言っておりません」

と真っ向から否定した。

 また、江頭氏のマネージメント担当者は12日夜のJ-CASTニュースの取材に対し、鈴木さんが独断で代役を立てていたことや、それについて江頭氏が抗議したことについても、

 「まったく事実ではありません」

と否定。その上で、鳳さん側の主張を知った江頭氏の様子については「ただただ困惑しているようです」としていた。

これで一次情報を探す。まず劇団

劇団クロックガールズ・第15回本公演「結婚の条件」に出演予定でした鳳恵弥さん、牧野美千子さんが、諸事情のため止むを得ず降板ということになりました。
出演を楽しみにされていたお客様には心よりお詫び申し上げます。
このような直前での発表となってしまったこと、重ねてお詫び申し上げます。

なお、本件のチケットキャンセル、及び払い戻しにつきましては、XXまでメールでご連絡を頂けましたらご対応をさせて頂きます。
お電話の場合は、XX-XXXX-XXXXまでお願い致します。留守番電話での対応とさせていただきますので、ご予約名と公演日時をお知らせ下さい。こちらから折り返しご連絡させていただきます。

劇団クロックガールズ・主宰 江頭美智留

とある。連絡先はとりあえず伏字。客からすれば劇団が一次連絡先としては適切だからまあ普通の対応かと思いきや、降板した2人の所属事務所のFacebookでは

本年9月13日~18日まで弊社の鳳恵弥、牧野美千子が出演を予定しておりました舞台【結婚の条件】で御座いますが、演出鈴木砂羽氏より二人の受けました人道にもとる数々の行為に対しまして、弊社と主催側で検討をしました結果、残念ながらこれ以上の稽古及び舞台への出演をお受けすることは出来ないと判断し出演をお断りする運びとなりました。

舞台をお楽しみにしておられたお客様には、このような結果にならざるを得なかったことを深くお詫びを申し上げますと共に、何卒ご理解を賜りまして、引き続き鳳恵弥、牧野美千子への応援を賜れますようお願い申し上げます。

なお、本件につきましてはのチケットキャンセル及び払い戻し、また舞台出演に際しましての既に支払いを済ませてしまった交通費、宿泊費、また鳳、牧野お送り頂く予定でしたお花、贈答品キャンセルによりますご損害に関しましては全て、クロックガールズ様がご対応なさるということで御座いますのでXX又はXX-XXXX-XXXXまでご連絡お願い申し上げます。

となり、チケット代はさておき、交通費宿泊費贈答品のキャンセルまで対応すると記載されており、それが本当なら劇団がその条件で結構ですと言ってもしょうがないくらいの出来事だったと推察される。もっとも、交通費とチケット購入手数料については新国立劇場が払戻したこともある。個人的にはあれはやりすぎだと思うけど、当日すでに客が入って開演時間になってから寝坊で公演中止というなかなかない事情だったので。

その後、劇団からは代役をひとりだけ立てて公演続行するアナウンスが出る。

次。降板した2人のうちのひとりである牧野美千子のブログでは

一生懸命挑んでいた舞台を
本番2日前に降板することに
なりました。
同じ事務所の鳳恵弥さんと共に。


事務所に所属した以上
その指示に従うのは当然ですが、

もし、自分がフリーだったら、、
同じ結論を出さなかったかも。とも。
色んなことを飲み込んで
続行していたと思います。


結果的に
事務所は私たちの立場を守ってくれました。


どちらが正解かはわかりません。


稽古当初から
何ともいえない雰囲気のあった
座組ではありました。

とあるので、何か嫌な目にあって降板したと読取れる。それよりもっといろいろ書いているのが鳳恵弥のブログで、

お約束をしていた時間に稽古場を出る日、まさかの事態、演出家と演出助手が揃ってふんぞり返り劇団の代表者であり、脚本家であり、プロデューサーの江頭美智留先生に頭を下げさせている姿、余りにも常軌を逸していて、言葉がありませんでした。

1回目の通し稽古が終わり、私たちは床に座ってダメ出しを受ける中、準備していたかのようにまた始まる罵倒、『2回通し稽古をしたかったのに誰かのせいで出来ない!』尻馬に乗るように演出助手の方が『みんなも2回やりたかったよね?』、そして名指しにされる私たち、先生が後ろから駆け付けてまた頭を下げる、美千子姉さんが『すいませんでした。』と謝る姿に納得せずに『ぬるいわね』と吐き捨て更に追い込もうという演出、作品の稽古とは全く関係ないところで起こる惨状に、私は床に額を擦り付けて謝ることになりました。

その姿に『私たちだけじゃなくてあちらにも』と他の共演者の方にも土下座をするように砂羽さんから促され、頭を下げました。

この状況に砂羽さんの事務所のマネージャーさんも含め、流石に不味いと水入りになりましたが後の祭り。

事務所に報告が入り、私たちは降板も視野にいれた話し合いになりました。

事務所は、『私たちは役者さん、タレントさんには敬意を持って接しています。物じゃない、一人の欠けがえのない人間なんです。』と普段からそうしてくれていることは知っていてもやはり涙が出ました。
その上で、私たちはどうしたいか?をそれぞれからしっかり聞き取り、最終的には私たちは江頭先生が望む形に全てを呑み込んでしようと決めて砂羽さんに任せますと言われて来た江頭先生とお話をした矢先、江頭先生の電話に代役を頼まれたんだけど?という大友さんの連絡。

余りに酷い、と砂羽さんに抗議する江頭先生に向けられた砂羽さんの言葉は『代役でやるとかやらないとか、皆が揃わないと公演を中止にするとかしないとか、そんなのを決める権利はあんたにはない』とのこと・・・

もう、言葉を失いました。
作品に対しての愛はこの人は全くないんだなと確信しました。

いや、自分がセリフが入らないのを脚本のせいにして何度も書き直させていた姿に

いや、稽古場で私はドラマの言うA面の江頭美智留を知っている、舞台というB面しか知らないあなたたちは、と言った時

他にも舞台なんてこんな感じと、稽古場外で自分の味方のキャストを増やすことに終始して、幾度も飲みに誘っては気に入らないキャストや江頭先生の悪口を吹き込んでいる姿

いつでも、気付けたはずでした。
自分が愛する舞台を、ここまで蔑み、悪戯に掻き回しておもちゃにする姿に、何故私は何も言えなかったのだろう。

それは、私だけではない。
今、この時も舞台を愛し、芸能を愛している仲間たち全てへの許されざる冒涜であったにも関わらず、私はこの時、江頭先生に頭を下げさせてしまうまで何も出来なかった。

とあるので、なかなか激しいトラブルがあった模様。なお、鈴木砂羽のコメントは見つからなかったけど、公演日程どおりにやるならコメントを出している余裕なんてないだろう。Instagramに稽古場の写真はあった。ちなみに所属事務所はホリプロだけど、そちらにもコメントはなかった。

で、まだよくわからないので想像を含めて整理したい。

通し稽古の日。稽古場は何時だかまで借りられるので、演出家は2回の通し稽古を行なって仕上げようとスケジュールを組んでいた。が、降板した2人またはその事務所には「お約束をしていた時間」が連絡ミスで短く伝わっており、事務所はその短い時間に従って稽古後に別の仕事をブッキングした。あるいは、その時間の前提でギャラが組まれていた。

それが発覚したのが当日で、いまさら再調整もできず、結果、その日は2人が抜けるため通し稽古を1回しか行なわないことになった。連絡ミスの経緯は不明だが、演出家は劇団主宰者を責め、劇団主宰者はそれを演出家に謝罪した。これは単に頭を下げたのだと思う。

そのうえで通し稽古を1回行なって、駄目出しを実施。写真の通りの稽古場なのでみんな床に座って聞く形になった。が、このタイミングで演出家がスケジュール調整ミスを蒸し返し、駄目出しそっちのけで名指して2人を責める。それをフォローするべく劇団主宰者が自分の責任だと再度謝罪した。これも単に頭を下げたのだと思う。が、劇団主宰者にここまで謝罪させているのを見かねて、牧野美千子が演出家に謝罪。床に座っていたこともあって土下座の形になったが、それでも収まらない演出家を見て鳳恵弥も同じく謝罪。これは額までつけた本当の土下座になった。それで演出家が他の共演者にも謝罪するように言い、少なくとも2人は床に座った形で共演者にも謝罪した。

謝罪に他に言葉があったのかはわからないけど、そこまでされて演出家以外の人間が引いて、そのとき現場にいた演出家のマネージャも割って入ってお開きにした。ここまでが前半。

その後、誰が連絡したかはわからないが(劇団主宰者か演出家のマネージャではないかと推測)2人の事務所に報告し、事務所が2人から経緯を聴取。降板したいところだが劇団主宰者が望むのであればなかったことにする、と方針を決める。演出家は劇団主宰者に一任して、それを受けた劇団主宰者が事務所に来て2人および事務所の社長と話し合う。劇団主宰者は公演中止まで覚悟していて、事務所に来る前に演出家とそういう話を交わしていた。そこで危機感を抱いた演出家が、一任したとは言ったが、代役候補に声をかけた。かけられた側はそんな直前の代役とは何事かと劇団主宰者に電話で問合せて、このタイミングがちょうど劇団主宰者が事務所で話していたとき。

そのとき劇団主催者と事務所との間でどのような話がされていたかはわからないが、一任されていたと信じていた劇団主宰者がその場で演出家に抗議の電話をかけると、「そんなのを決める権利はあんたにはない」と演出家から言われる。電話が終わり、言われた内容をその場で2人に伝える。この時点で2人の事務所の社長が、そこまでされたらさすがに出演はさせられないと決断。その場で劇団主宰者も同意し、2人の降板が決まる。ここからは2人を外して事務所の社長と劇団主宰者との交渉となり、2人に対しては迷惑をかけて申し訳ないと思っている劇団主宰者がキャンセル客への責任分担は劇団側100%、賠償範囲は目一杯との条件を飲む。

その後、演出家と話した劇団主宰者は、真意はともかく公演続行に同意する。ただし当初の代役候補は劇団主宰者から事情を聞いて、また迷惑が及ぶことを警戒した劇団主宰者が促して、代役を辞退。改めて劇団主宰者も一緒に代役を探したものの、公演直前すぎるのと、噂が千里を駆巡ったのと、少なくとも劇団主宰者は知りあいほど迷惑をかけたくなくて声をかけられないのとで、代役がひとりしか見つからなかった。このため、脚本の一部を書換えて、2人の降板をひとりでまかなって、公演に臨んだ。

って感じではないでしょうか。これならつじつまはあっているはず。そこに至るまでの稽古期間でもいろいろあったようですが、ちょっと情報が少ないのと、演出家側の情報が足りないのと、眠いのとで、ここまで。

<2017年9月13日(水)追記>

もう少し情報が出ていて、不明だった情報も載っていたので追記。まずは「土下座」について日刊スポーツより。

 高橋はこの騒動に「土下座土下座って出てますけど、稽古場っていうのは演出家は大体こういう(一段高い)ところに座っていて、演者たちは床に座って台本を床に置いてダメ出しを聞いてるから、自然と最初から土下座してる感じになる。そういう形になっているのが普通の稽古場の形。それで(演出家から)何か言われて『すみません』って(頭を下げたら)それは土下座に見えると思いますよ」と説明し、“土下座”がクローズアップされるのは大げさだとの見方を示した

真相はともかく、これは自分の想像した内容を補強してくれるコメント。そしてなぜか東スポが詳しい。

 騒動の直接の引き金となったのは、9日に行われた通し稽古だ。この日、2人の女優は夜に収録の仕事が入っていたため早抜けすることを、8月の段階で伝えてあった。ところが前日の8日になって突然、演出助手が当初1回の予定だった通し稽古を「明日は2回やるよ」と言い出した。

 2人は抗議したが、9日になり、1回目の通し稽古が終わったところで「2回、通し稽古をしたかったのに誰かのせいでできない」と罵倒され、謝罪を強要されたという。

 関口氏は「8日に助手が2回やると言い出した際、鈴木さんが『エッ?』とつぶやいたので、助手が自発的に言い出したのだと思う。我々はやる気がないわけではなく、前々から決まっていた仕事を飛ばすわけにはいかず、物理的に2回目の稽古ができない状態。それを承知で嫌がらせをされたのだと受け止めている」と指摘する。

 本筋とは関係ない“嫌がらせ”で追い込まれた2人は降板。そこに江頭氏が謝罪に訪れ、同社は対応を江頭氏に一任した。「江頭さんが『戻ってほしい』と言ってくださったので、当社は『わかりました』と返事をした。ところが、すでに鈴木さんサイドが代役を決めてしまっていた。江頭さんが公演中止を検討すると、鈴木さんが『あんたにはそんな権利はない』と突っぱねた」(関口氏)

 関口氏によると、その後、事態を重く見た鈴木のマネジャーが謝罪に訪れ「鈴木はこれまでトラブル続きで、ウチの“お荷物”だった。本当に申し訳ない。ただ会社として謝罪してしまうと、鈴木を守ることになってしまう。会社としては見放しているので、劇団が鈴木を降板させるなり、どうとでもしてほしい」と伝えたという。
(中略)
また鈴木の所属するホリプロは、マネジャーの“お荷物”発言を「ありえないこと」と全否定したうえで「すべては主宰者である江頭さんのおっしゃる通りです」とコメントした。

これによると、稽古を抜けた理由は生放送の仕事が入っていたことで、それは先月の時点で連絡済み。なのに、騒動の前日に2人の事務所の社長も稽古場にいるにも関わらず、演出助手が2回の通し稽古を突然提案している。演出家も驚いたことになっていて、その場で抗議もしたという。で、翌日は2回稽古できないと演出家が率先して、次いで演出助手が、文句を言う形になっている。

演出助手の仕事についてはまったく知らないので検索したらこれとかこれとかこれとか見つかった。専門部署でありつつ何でも屋だけど、共通していたのは「稽古のスケジュール管理」が演出助手の仕事になっていたこと。そこには通し稽古日の決定とそこまでの稽古の流れ、そのための出演者のスケジュール調整まで含まれているとのこと。あと立場上は演出家の味方であること。読んでイメージしたのは小屋入り前の舞台監督で、現場によっては創作(演出家担当)と予算(制作担当)以外のすべてを仕切るくらい重要度の高いポジション。

今回の演出助手は松倉良子となっているけど、検索してみたら小劇場出身者を中心に結構いろいろな演出家と仕事をしていて、それなりに大きな舞台まで経験のある人。そういう経験もあればこそ、初演出の助手も頼まれたのだと思うけど、それだけの経験のある人でもそんな風になるものか。

ものすごく前向きに想像するなら。

演出家が初演出なのに主演も兼ねて、にもかかわらず台詞覚えが悪い状態で、稽古場を仕切る余裕も他の演出家に接する際の余裕もゼロで、自然と演出助手の負担が高くなったので、強気に回していた。そこに演出家が甘えたからいよいよ強気で稽古を回していたが、あまりに仕上がりが悪いから独断で通し稽古の回数を増やそうとしたら、負担が高すぎてスケジュール管理が飛んで、スケジュールの埋まったところに入れようとしてしまった。抗議されたのはもっともだからその日の追加通し稽古案は取下げたけど、ミスを認める心の余裕もないしかといって仕上がりの悪さで演出家を責めることは立場上できないから、仕上がりがいまいちなのは演出家のせいではなく稽古に付きあわない2人のせいだと問題すり替えのようにこぼした。頼りにしている演出助手からそう言われてかばう気持ちが出たのと、てんぱっている演出家兼主演女優が意識的か無意識的か責任転嫁でそれに乗る気持ちが出たのとで、演出家が率先して翌日の騒動に及んだ。その後、降板による公演中止の可能性が発生。演出助手は業界の経験上と仕事柄、公演中止なんてありえないと発想して代役の手配にすぐに意識が及んだ。本番間近の時期で、手配は早ければ早いほうがダメージは少ないので劇団主催者のちんたらした交渉なんて待っている時期ではないと演出家に代役探しを勧める一方、公演中止になったら今後の演出家キャリアが遠のくからここは強気の一手とも伝えて、まるで仕切れていない演出家がそれに丸のりした。

みたいな話になるんでしょうか。全部想像なので真に受けてはいけません。

ちなみに本番は無事開幕したようで、これも東スポより。

教師役の鈴木は鳳から「セリフがしばしば飛ぶ」と指摘されていたが、教材のタブレットを手に教壇に立ち、さらには自らの出番が公演時間の半分程度という“大胆演出”で見事にこなしきった。

 鈴木はカーテンコールで涙を流し、劇団員からハンカチをもらって涙をぬぐった。「いろいろ言葉を考えてきたのに、皆さんの顔を見たら感無量で。しっかりしろ(と自分に気合を入れる)。本当にお騒がせしてすみませんでした。この日を迎えることができて、ありがとうございました。いろいろありましたが、こうしてみんなと初日を迎えられたことが何より良かった。皆さんも素晴らしかったと思います」と思いの丈を吐き出した。

 80分の公演予定が110分になるという大熱演。「いろいろありましたので、何とぞ何とぞよろしくお願い申し上げます」とあいさつすると、何人かの団員も涙を流して感動を分かち合った。最後に鈴木は笑顔で観客に手を振り、投げキスをして舞台を去った。

 関係者によると「実はチケットの売れ行きがあまり芳しくなかった」というが、本紙をはじめとしてメディアの報道で話題を呼び、さらには報道陣が公演を観劇したことで客の入りは約9割の大盛況だった。

 劇場外にはテレビ各局の有名リポーターがずらりと勢揃い。50人以上の報道陣が詰めかけ、鈴木の人気を見せつけた。

タブレットは台詞でも表示していたんでしょうか。80分が110分とか、どれだけ直前で手が入ったのか不明ですが、まあ幕を開けて初日を無事に終わらせたうえに、チケットの売行きが伸びるというおまけつき。創作水準は不明ながらも、公演続行に賭けた側は、ピンチをチャンスに変えてみせて、興行だけなら文句なしの成果です。

今回の騒動は実に難しいところで、長い仕事なら一度ご破算にして練り直すほうがいいケースもあるけど、芸能界で週末公演一発勝負なら誰が何と言おうとショーマストゴーオンを実現させたほうが偉いという見方もできる。むしろ後者の評価をする人のほうが業界には多くて、初日にこぎつけた人たちが予想外の評判を取るかもしれない。

でもそこは間違ってはいけない。燃やして全焼はさすがに駄目で、燃やした火を自力で消せるのはある種の実力ですけど、一番いいのは燃やさずに仕事を終わらせること。そこの優劣は崩してはいけない。煙が立たないと注目されないのはよくあることで、燃やさずに片付けられる人にとっては不幸ですけど、注目されないことに不幸を感じるような人はそもそもそういうポジションにはいないと思うので、これからも火気厳禁に勤しんでほしい。

双方の立場が何となくわかった気になったのでここまで。あと知りたかったのが、初日に間に合わせるためにスタッフがどのくらい忙しかったかだけど、まあ表に出てこないだろうからそこまでは探らない。

<2017年9月15日(金)追記>

事務所の社長から終結宣言が出ました。スポニチより。

 問題となっているのは、鈴木から2人の女優への土下座の強要や罵声があったのか。13日の初日終演後に鈴木が涙ながらに全面否定したが、関口社長は「2人が床に座って謝っているように見えたと複数の人間が証言しているのが根拠」と主張した。

 もう一つの問題は鈴木が怒ったとされる理由。2人が仕事の都合で通し稽古に参加できなかったのが原因とされているが、関口社長は「スケジュールは事前に主催者へ報告していた」と改めて主張した上で「演出上の問題でうちの女優が何を言われても何の文句もないですが、演出と何も関係のないところだったのが降板を決心した理由」と説明した。

 ただ「私は現場に居合わせてはいなかった」と言い「双方の見解の相違ということもある」と対立を回避する意向も初めて示した。

そう、そもそも上で引用した当人のブログに自分から謝ったと書いてあるので、土下座を強要されたという主張は事情を聞いた社長の勇み足だと思われる(ブログは日本語がわかりづらい箇所があったので、勢いに任せて推敲されずに書かれたものと推測され、そのぶん内容は信用できると判断している)。当日の現場にいたのは演出家のマネージャで、それが止めに入ったくらいだから、よほど理不尽に罵られたか時間を越えて詰られたか、それはあると思うけど、自分から土下座して謝ったのと強要されて土下座したのとでは大幅に違う。

それで演出家の事務所から土下座を強要した事実はないと反論されたり、劇団主宰者側から話し合いの場できっつい様子で判断を迫られたという記事が出たり、旗色の悪い泥仕合になりそうだったので、ここで撤収に切替えたのは妥当な判断だと思います。

おまけで書くと、社長がこの騒動の中で、勇み足はしょうがないかもしれないけど、演出家の事務所のマネージャが謝罪してきたことだけならともかく、謝罪の内容までマスコミに公開したのは悪手。大手から高飛車に出られたら小さい事務所がマスコミを巻きこむ戦法もあるけど、本気なのかその場しのぎなのかわからないあんな内容を公開されたら相手だって反論しないわけにはいかない。

まあ芸能界は大変ですね。

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