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2017年9月 2日 (土)

青年団が豊岡市に移転を検討中

公式ブログにも載っていました。決定事項ではなく検討中ですし、東京公演は引続き行なわれるらしいですが、倉庫機能はすでに移転しているとのこと。

 詳細は、明日以降に連載の形で記しますが、とりあえず概要は以下の通りです。

・劇団青年団は、2019年から2020年をめどに、劇団のいわゆる本社機能を豊岡市内に移すことを計画している。これは決定事項ではなく、あくまで計画段階であり、現在、稽古場などの適地を探している。

・劇団移転に先立って、現在の五反田にある倉庫機能の大半をすでに豊岡市日高地区の新設倉庫に移転した。

・移転の規模は決まっておらず、部分移転か全面移転か、またどのようなスケジュールで移転するかは今後検討する。大きなポイントは、一般の企業の移転と同様で、豊岡と東京のどちらに本社を置き、経営の比率を何対何にするかといった極めてテクニカルな事柄になる。
 いずれにしても、ほとんどの稽古は豊岡で行い豊岡から発信する。

・本社機能の移転が決定すれば、平田オリザは豊岡市に移住する。

・劇団員は豊岡在住と東京在住を選択し、東京在住者は、当該作品の稽古期間中のみ、新たにつくる宿泊施設で短期滞在して稽古を行う。
演出部も同様に移転を希望する者は豊岡に移住する。
 なお、豊岡市内には、演劇人が常勤・非常勤で働ける多くの雇用が存在する。

・本格的な移転が実施できれば、その後、2022年を目処に、豊岡市で国際演劇祭の開催を目指す。

・青年団は移転後も、こまばアゴラ劇場、吉祥寺シアターなどで、年に数回の東京公演を行う。

・こまばアゴラ劇場は、青年団の本格移転完了後数年を経て、平田が芸術総監督の座を退く。その後は、運営評議会を構成し、その組織が公募によって芸術監督を任命するといった持続可能な制度改革を行う。
 アトリエ春風舎も同様に、継続して運営を行う。
 支援会員制度も、当面、継続する。

そこで紹介されている神戸新聞の記事もリンクを張っておきます。

 平田さんは同市城崎町にある舞台芸術の制作施設「城崎国際アートセンター」の芸術監督や同市の芸術文化参与を務めている。平田さん監修の演劇を用いたコミュニケーション教育は、市内の全小中学校に導入されている。

 より創作活動に適した場所を探す中で同市への移転を決意。稽古場をつくる場所の選定を進めており、今月下旬には倉庫を借り既に舞台装置などを搬入した。いずれは平田さん自身も豊岡に居住したいという。

 平田さんは「アートや芸術文化、教育などの施策に市が一丸で取り組んでいる情熱に後押しされた。いずれは豊岡で国際演劇祭を開きたい」と意気込む。

どうなんでしょうね。詳細は近々出てくるとのことですが、この検討を始めた理由の予想を立てましょう。といっても上記引用の整理みたいなものです。

・創作への影響力の確保:東京ではどこまでいっても相対的に凄い劇団のひとつ、どちらかというと地味でマイナーなマニア向けの劇団扱いから抜けられない。小中学校全域で自作の教育が取入れられており、また制作施設の芸術監督も勤めている豊岡市ならば、あと10年したら「俺たち全員の受けた授業を作った凄い先生」扱いされて、やりたい企画が実現しやすくなる。今でもすでにある程度そうなっているかも。

・経済的なメリット(1):芸術監督を務める施設や、小中学校のコミュニケーション教育の講師、またそれらのコーディネートなど、数十人程度の劇団員が生活を維持する一定ラインの収入を見込める職業があり、劇団経営の安定化につながる。

・経済的なメリット(2):すでにブランドを確立して都内では一定以上の集客力も見込める状況において、親から(借金と一緒に)継いだ自前物件とはいえ都内の超一等地に拠点を構える必要はない。何も劇場だけでなく、劇団員の普段の生活まで含めて世界有数のコスト高のエリアから撤退すると大幅に収支が改善する。撤退したスペースまで稽古場なり劇場なりにしてもよい。

・創作に集中できる環境:言っちゃ何だけど、日本の大都市からは離れている。他の誘惑から離れて本業に集中できる。一方、必要な情報はインターネットと通販でかなりあっという間に手に入れられるのでその点に不足はない。

・有名な温泉が近い:ちょっとひとっ風呂浴びてくるのに贅沢なだけでなく、温泉とセットのイベントにすることで集客が見込める。日本人だけでなく海外の人間も温泉には弱い。

・海外まで見据えたアクセス:但馬空港が上手く使えると、伊丹空港経由であんがい全国に短時間で移動できる。伊丹空港から羽田空港や成田空港に行けばそこから海外へも行ける。海外の仕事も多数手がけている模様の平田オリザ。渋谷なら成田エクスプレスが出ているとはいえ、都心から成田空港への遠さ面倒くささを考えると、飛行機慣れしているのであれば、この経路でも別にありなのでは。

・地震対策:いま東京に大地震がきたら劇団存続の基盤である劇団員や劇場や客が壊滅的なダメージを受ける。こまばアゴラ劇場がつぶれたら消防署から嫌がらせを受けながら再建にまた億の借金を背負う可能性がある。拠点を移動していれば、取壊して売ってもよし、単に自宅やアパートに建直してもよし、それで対応できる。

豊岡市の詳細を把握していませんが、基本的には山だらけで平地は少ない。駅と空港が比較的近くにまとまっているかわりに、そのエリアのど真ん中を川が流れており昨今の気候を考えるとゲリラ豪雨でやられないかという万が一の可能性も考えないといけない。あと城崎温泉はそこから10kmくらい離れているのかな、その温泉街の先に芸術監督を務める城崎国際アートセンターがある。地図だけ見ると、(1)城崎国際アートセンターを青年団の拠点にする(2)豊岡短大の近くに稽古場となるまとまったスペースを確保できる、などの案でいろいろ前向きにはかどるのではないかと思います。野次馬として詳細を待ちましょう。

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