風琴工房「アンネの日」三鷹市芸術文化センター星のホール
<2017年9月16日(土)夜>
大手化学メーカーの女性開発員は新型生理用ナプキン開発の追込み真っ只中。リーダーを務める女性に同じチームの同期の女性開発員から、実は普段は自社のナプキンを使っていない、天然素材のナプキンを開発できないかと持ちかけられる。それどころではないと喧嘩する2人に、今は企画部部長の元上司が、会社の「自由研究プロジェクト」を使えばよいと情報をもたらす。元上司のおぜん立てで集まった7人の女性で発足したプロジェクトの初回に、そのプロジェクトを知って混ぜてほしいと総務の女性が直訴に来て始まるナプキン開発と、それに関わるメンバーの生理についての物語。
15年ぶりくらいの風琴工房は、生理を巡る女性の話を、生理の基礎知識説明まで丁寧にしたうえで、あのアングラスタイルはどこに行ったのかというくらいポップかつ正面から描く。トランスジェンダーで性転換手術を行なった役まで登場させて8人8様の初潮の話から開発への思いにつなげる脚本スタイルは「ヴァギナ・モノローグス」を思い出すけど、それよりはもっと、ナプキン開発というテーマで1本の物語にして進めていく。役者も力みすぎず流しすぎず、真面目すぎず茶化さず、観る側が引かないようなラインで演じきっていた。これは脚本を含めた演出家の調整の賜物だと思う。難癖をつければ、8人の所帯で全員同じくらいのテンションで前向きに揃っている点に若干ひっかかるけど、開発者の物語としては満点の出来。観れば何かしら発見があるはず。
でも開発の物語ではない。チラシに生理用ナプキン「開発」の物語とあったので、もっと開発の話が前面に出てくるかと期待していた。でもナプキン開発を通して生理を描くことを通して生理を巡る女心を描いていた。どちらの誤解になるのかはともかく、そこが個人的に残念。
<2017年9月18日(月)追記>
そういえば最後列に何をやっても笑っているおっさんがいたけど、あれはなんだったんだろう。大きな劇場だとたまに見かけるけど、業界関係者か。一応こらえていたつもりなのだろうけど、あのサイズの客席ではつらい(実はかなり近い席だった)。あれだけ頻繁に笑われてもリズムを崩さなかった役者はあっぱれだけど、観ている側のリズムというか入り込み具合は損なわれた。ライブは難しい。
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