シス・カンパニー企画製作「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」世田谷パブリックシアター
<2017年11月4日(土)昼>
ある朝、使者に呼ばれて王宮に向かうローゼンクランツとギルデンスターン。呼ばれた理由もわからず、存在意義もわからず、あろうことか自分の名前がどちらかもわからない。錯乱したハムレットを監視する学友として呼ばれたが、ハムレットにいいようにあしらわれる。とにかくよくわからない2人の最後まで。
ハムレットに登場した脇役2人から観たハムレット芝居内の世界と、上演されているハムレット芝居の裏側とを重ね合わせたトム・ストッパードの翻訳芝居。たぶんハムレットの展開を客が全部把握している前提で、ハムレット芝居の進行と重ね合わせて観ないと面白さがわからない。そういうひねった現代翻訳劇はさすがに得意な小川絵梨子で、素舞台に近い美術で劇場機構を見せたり、舞台の準備をしてみせたりすることで開演前から芝居の裏側感を示した演出は、隅々まで把握して隙のなさが伝わってくる。いきなり始める演出は観てのお楽しみで、遊び心と格好よさが両立している。
ただそうは言っても、ハムレットがわからないとそのまま観ても3分の1くらいしか楽しめない。そこを工夫したのが主演の2人に人気者を配したことで、ほとんど出ずっぱりであの膨大な台詞をこなしたのはさすが。おかげで女性多めの客席は立見までぎっしり。
個人的には劇団の座長を演じた半海一晃の、いつもとは全然違ううさんくささが目を惹く仕上がり。そして過去公演で古田新太と生瀬勝久が演じていたのを知って観たかったとの思い。
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