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2017年12月13日 (水)

新国立劇場制作「かがみのかなたはたなかのなかに」新国立劇場小劇場(ネタばれあり)

<2017年12月9日(土)朝>

海兵である「たなか」は、出発待機の間、海辺の部屋で暮らしている。この部屋で過ごしていると、やや不真面目な「かなた」が現れて、鏡合わせに暮らしだす。ある日、話し相手のほしくなった「たなか」がピザの配達員の「こいけ」を部屋に連れ込むと、鏡合わせの向こう側には「けいこ」が現れる。ごついのに自信満々であつかましい「こいけ」と、きれいなのに卑屈な「けいこ」を巡って、「たなか」と「かなた」が恋の鞘当を始める。

キャスティングはよくぞこの組合せが集まったという4人。子供向けの話で鏡合わせのダンスを見せて楽しませるこっけいな話、かと思いきや、「こいけ」を邪険にして「けいこ」の取合いから不穏な話に。「こいけ」のいなくなった「けいこ」が、紆余曲折を経た挙句身動きが取れなくなる展開は、いかに自己評価を高くするか、いかに無条件で自己肯定を強く持つか、という心理学の問題を絵本的な物語で描く。子供向けと銘打っているけど十分大人向け、むしろ大人メインでもいい芝居で、自己評価の低いところがある自分にとっては好みの分野。物語だけならごく単純な内容で上演も1時間半を切っているのに、観終わって十分だった感じるのは、こちらが気付いていない工夫や洗練を凝らしているからだと推測。

鏡合わせという設定の割りにそこまで細かくあわせようとしていない動きがやっぱり興味深い。首藤康之はやっぱり一番動きが大きくてきれい。じゃあ近藤良平が見劣りするかというと、説明が難しいけど動きに愛嬌というか色気みたいなものがあって、これはこれで別の魅力がある。でも何といってもきれいなのが松たか子で、単純に見目麗しいし、日舞で鍛えているのかそこまで激しい動きではないけどダンスも負けていないし、あと裾の長い衣装の捌き方が上手なのはさすが。ちなみに松たか子は微妙にお仕事だから頑張っています感の残った演技をするのだけど、それが困っている感じの役をやらせたときには妙なはまり方をして目を引かずにはいられない不思議な役者。長塚圭史は最初からきれいに見せない役どころだから動きは割愛するけど、でも台詞はさすが役者も長くやっているだけあって確かなもの。

再々演があったとして、このメンバーでもう一度かというとさすがに集まらなさそうなので、興味がある人は今回観ておいたほうが吉。日によっては朝公演があるので、そこから他の芝居の昼公演に流れると1日が有効活用できる。

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