城山羊の会「相談者たち」三鷹市芸術文化センター星のホール(若干ネタばれあり)
<2017年12月9日(土)昼>
娘一人がいる夫婦の自宅。夫が妻に別れ話を相談しているが、夫が不倫していることを知っている妻は離婚を拒否する。そこへ両親は離婚したほうがいいと考えている娘が会社の先輩を連れて帰ってくる。結婚を前提に付合っていると両親に紹介するが、夫は社会人一年目の娘が早々に結婚することに反対する。気まずい先輩が帰りそびれているところへ、さらに夫への来客者がやってくる。
初見の城山羊の会。離婚したい人と結婚したい人が入混じって、きっかけごとに主導権が入替わって立場が逆転しながらすすんでいく喜劇。似たような経験をした人が観たら身につまされるんだろうか。愁嘆場から修羅場までの見事な展開。小声で演じる芝居と事前にアナウンスがあったが、劇場の規模を考えても本当に小声で演じられて、でも十分聞き取れてしかもぐっと雰囲気が出る。人気劇団になるのもうなづける出来。
全体に夫を中心に描いていて、確信を持って妻を説得するところ、いろいろばれて気まずいところ、自分を棚に上げて娘の結婚に反対するところ、でもおっさんの本気のエロさがかもし出す色気のところ、のそれぞれを演じてぴたりとはまっていた吹越満のキャスティングが成功の第一。両親が席を外した隙にいちゃつこうとする娘と先輩の場面を見せておいて、でもキスだけで親父はもっとエロい、という構成を吹越満が大成功させていた。そのほか全体、役者も脚本も練られていた印象。スタッフワークではモダンな一軒家という印象を持たせつつ椅子やテーブルの配置で立ち位置のバリエーションを増やせる美術がよい感じ。
ひとつだけ気になったのは前説。小声で演じる芝居というアナウンスを含めて劇場の職員が前説をやっていたのだけど、この劇場で上演する場合にはいつも同じ人に小芝居をさせるのが城山羊の会のパターンらしい。適度に話が上手い上にどことなくいじりたくなる雰囲気を持った人なので、前説を依頼したっておかしくないのだけど、自分の勝手な妄想では何となく劇団から劇場関係者への接待のように見えてしまった。何でそんな印象を持ったのか思い返すに、開演前の客入れでこの職員が走り回っているのを見たときの雰囲気と前説での雰囲気とにギャップがあったからだった。ひょっとしたら過去に役者をしていたような頼みがいのある人かもしれないし、そもそも意味不明な妄想と言われてもしょうがないのだけど、個人的な印象としてメモ。
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