ホリプロ企画制作「ムサシ」Bunkamuraシアターコクーン
<2018年2月24日(土)昼>
巌流島の決闘で勝利したものの、止めを刺さずに去った宮本武蔵。6年後、鎌倉で武蔵が建立を手伝った寺開きの最中に、怪我が癒えた佐々木小次郎が乗込んできて果合いを申し入れる。その日が修行の初日でもあったため、修行が終わる3日後に再度決闘することが決まったが、武蔵が策略を行なわないか見張るとの名目で小次郎も修行に参加して寺に泊まることになる。その3日間に起こる、さまざまな事件、そして決闘の行方。
2014年に観て以来2度目。前回とまったく同じキャスティングで実現。もともと上手な人たちばかりのキャスティングだけど、全員全然緩んでいなかった。他の舞台だと暑苦しさを感じなくもない藤原竜也の熱演もこの舞台だとしっくりする。今回は観てわかるくらい振付全般で動きがきれいと思ったら、殺陣(國井正廣、栗原直樹)だけでなく振付(広崎うらん・花柳寿楽)、能指導(本田芳樹)、狂言指導(野村萬斎)と動きをつけるだけで4パートもあった。狂言指導が野村萬斎とか、贅沢な布陣。さすが蜷川幸雄の舞台。
脚本全体への感想は初演と同じ感想。強者の立場の振舞を示唆して、弱者は納得いかないだろうと思う。けど芝居としてはこの上なく上手にできている。3時間の長さも苦にならない。全体にネタも快調な脚本だけど、すでにネタばれしている観客が多かったようで、剣術指南の場面は「ああこれこれ」みたいな中途半端な雰囲気になっていたのが残念。吉田鋼太郎が他の場面でネタを入れて飽きさせないように客席を転がしていた。スタッフワークも含めて仕上がりは文句なし。前回より磨きがかかってさらに上を行っていた。
もしもう一度上演するなら蜷川幸雄七回忌で4年後だと思うけど、やや高齢のキャストから同じキャスティングで観られるかどうか考え込むところなので、場所が苦にならない人は3月上旬さいたま芸術劇場の当日券を狙ったほうがいい。蜷川幸雄の演出からほとんどいじっていないし(音響を若干分かりやすくしたくらいか?)、キャスト全員がノっているので、蜷川幸雄を観たことない人には特にお勧めしておく。
なお音響オペの椅子には蜷川幸雄の写真が待機。この劇場で本番中に演出家がよく座っている位置ですね。
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