演劇は恐ろしい
どこまでいっても個人の感想なのだけど。
観た芝居についていろいろ考えた末に「これは描かれるべき何かを隠している」という結論になった先日の芝居。単にお話を書いてそれを上演しただけなのに、そんな印象まで伝わってしまうという生舞台の不思議。
あるいは主役の仕上がりが追いつかなかったと書いた先月の芝居。今さらもっと細かく感想を書くと、引出がまったく足りなくて逆さに振ってもこの役者はこれ以上何も出せないんだろうなというのが伝わる生舞台の不思議。ただこの場合は、空っぽになるまで出し切った役者の思い切りと、そこまで出させた演出家の手腕は凄かったともいえる。
伝えたくないことまで伝わってしまって、でもそのくらい出し切れないと客席まで届かない世界。演劇ってのは恐ろしい表現形態だ。
だからこそ、「演劇は、素晴らしいです」という台詞が成立つのだな。
« 2018年5月6月のメモ | トップページ | 岸田國士戯曲賞の選評が面白い »
コメント