赤坂ACTシアタープロデュース「志の輔らくご」赤坂ACTシアター
<2018年5月26日(土)昼>
なぜ歌舞伎の忠臣蔵は登場人物の名前が史実と異なるのかという疑問から始まって大序から11幕までのあらすじを浮世絵とともに説明する「仮名手本忠臣蔵のすべて」、下積から名代まで引立てられた役者に与えられた最初の役はいい役がたくさんある忠臣蔵の中で斧定九郎の一役のみという嫌がらせを引受けて一世一代の大勝負に「中村仲蔵」。
話だけでは難しいところ、各幕ごとの浮世絵を探してきてビジュアルを駆使して説明する懇切丁寧な前半。抜群に有名な代わりに長いので通しで演じられることの少ない演目を解説されて、始めて理解した。後半の落語のために全体を説明するのは「牡丹燈籠」と同じ趣向だけど、1時間ほどにまとまっているのでまずます観られる。
ただし後半の「中村仲蔵」は今回3回目だけど(1回目、2回目)、よく言えば一番親切悪く言えば一番もたついた。昔は役作りに苦心して最初に披露する仲蔵の緊張と、引立てた団十郎の知ってはいるが見守るしかない立場からの感心と、名人の心情に絞ってテンポよくまとめていた。今回は仲蔵の生まれを足して、仲蔵の師匠の出番を足して、蕎麦屋の浪人とのやり取りを伸ばして、たぶん忠臣蔵のおかるを説明した一環だと思うけど女房とのやり取りも伸ばして、長い。「定九郎はあんなじゃないと思っていた」の説明もご隠居と団十郎とに繰返し説明させたのは工夫か間違いか判別しかねる。もともと5幕は弁当幕で云々と説明を足しているのに、さらに説明が増えて冗長に過ぎる。前半説明していればこそ、あるいは前半に説明を回して、後半は省略と洗練の極みで攻めることを望む。
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