松竹製作「俊寛」歌舞伎座
<2018年9月22日(土)夜>
平家を相手に謀反を企てたとして同士2人と一緒に島流しにあって3年の俊寛。同士の1人が島の娘と夫婦になると紹介に連れてきて、一同はめでたいと祝宴の真似事をする。そこに都の使者がやってきて、恩赦で3人を都に連れて帰るという。喜んだ3人は島の娘と一緒に船に乗ろうとするが、恩赦で連れて帰るのは3人だけであると使者が断る。押し問答の末に俊寛が取った行動は・・・。
一幕見席で見物。吉右衛門の当たり役とのことで、3年経って娑婆っ気の抜けた俊寛が、都に帰れる望みを見つけたとたんに見も世もなく使者に取りすがる場面の「みっともなさ」のリアリティはさすが。ただ、他がいかにも歌舞伎調な中で、リアルな演技を頑張るほどに吉右衛門が浮いて見えるのが難。これが統一した演出のない歌舞伎の悪いところ。その点、調子は全体に整っていた昼の「河内山」のほうが自分は好ましいと考える。
舞台は一幕で、これは乗り付ける船であったり、最後に盆を回して海を広げて孤島の感じを出したり、花道まで波を敷いたり、美術の出来も転換も「河内山」よりこちらのほうが圧倒的によい。最後の海の広さは1階席より2階以上のほうがより効果的に見えたのではないか。
ちなみに席取りの意味もあって「松寿操り三番叟」も見物。後見の役者が操り人形役の役者を操っている、という想定の舞踊。幸四郎の踊りもよかったけど、操る役の吉之丞が半身で足拍子を取る姿が格好良かった。
今回は昼夜とも一幕見席で観たけど、4階席でもセリと舞台は全部見えるので、いろいろ文句はあってもあの値段なら有名どころの芝居を試してみるのにいいかなと思えてきた。
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