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2018年9月21日 (金)

小田尚稔の演劇「聖地巡礼」@RAFT(ネタばれあり)

<2018年9月16日(日)夕>

大学時代の後輩の結婚式に呼ばれた女性が、青森まで出かける。ドレスの入ったかばんを高速バスに忘れたり散々だったものの、無事に結婚式は終わって、突然思いついた恐山への1日がかりの旅行を強行する。後輩は、先輩との思い出や夫との馴れ初めを語る。

これまでは行き詰った個人が、小さい、けど大事な希望を見つけるような展開につなげていた芝居だったけど、今回はより暗い方向に。トラブルはあったものの恐山の旅を満喫する先輩女性が観察する周囲の旅行客は、様子がただならない人ばかりで、供養を頼んだり、エリック・クラプトンのそっくりさんを見つけたり。一方で後輩女性には学生時代に知り合った夫とのエピソードで社会人になったばかりのころが一番幸せだったと語らせたり。クラプトンの自伝からも引用して、これだけ並べれば分かるだろという状態にして、最後に後輩から幸せな葉書が届いて、今後を暗示して終わる。引出物の風鈴の音を登山の杖につける鈴の音と重ねる見立てが効果的。

後輩女性が青森出身のはずなのにあまり青森に詳しくなさそうな様子とか、ドレスなしで結婚式に参加したはずの先輩女性の様子を描くのを端折るとか、この芝居なら語尾をもたつかせる台詞回しは減らしたほうがいいのではないかとか、ミラーボールの照明を音響が手伝うのはアイディアではあるけど回すのは諦めて転がした照明から照らせばいいのにとか、細かいところで瑕疵はある。けど観終わった感想として、こういう芝居は嫌いではない。暗い話が好きというのではなく、とにかく情報は出すけどつなげるのは客の頭の中でやらせる話。あと「聖地巡礼」とタイトルをつけたセンスも好き。使ったクラプトンの曲が有名すぎる(これまでも有名な曲を使うことが多い)のが難だけど、あの内容ならもう直球でしょうがないかとも思う。

ギャラリーを使った会場で、奥から外を見る形で客席を組んで、役者は正面入口と脇の通用口を使って会場外から出入りするという変則舞台。あれは雨のときはどうするつもりだったのだろう。観たのが夕方の回で外が明るかったため、通行人や車が目に入るのだけど、あれは通行人を恐山の幽霊に見立てたか。夜だともう少し怪しい雰囲気になったかも。

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