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2019年1月 6日 (日)

2018年下半期決算

恒例の年末決算です。

(1)新国立劇場主催「消えていくなら朝」新国立劇場小劇場

(2)DULL-COLORED POP「1961年:夜に昇る太陽」こまばアゴラ劇場

(3)パラドックス定数「5seconds」シアター風姿花伝

(4)キョードー東京企画招聘「コーラスライン」@東急シアターオーブ

(5)パラドックス定数「Nf3Nf6」@シアター風姿花伝

(6)野田地図「贋作 桜の森の満開の下」@東京芸術劇場プレイハウス

(7)松竹製作「秀山祭九月大歌舞伎 河内山」歌舞伎座

(8)遊園地再生事業団「14歳の国」早稲田小劇場どらま館

(9)グループる・ばる「蜜柑とユウウツ」東京芸術劇場シアターイースト

(10)小田尚稔の演劇「聖地巡礼」@RAFT

(11)松竹製作「俊寛」歌舞伎座

(12)シス・カンパニー企画製作「出口なし」新国立劇場小劇場

(13)パラドックス定数「蛇と天秤」シアター風姿花伝

(14)東京芸術劇場主催「ゲゲゲの先生へ」東京芸術劇場プレイハウス

(15)新国立劇場主催「誤解」新国立劇場小劇場

(16)松竹製作「助六曲輪初花桜」歌舞伎座

(17)KERA・MAP「修道女たち」下北沢本多劇場

(18)青年団「ソウル市民」@こまばアゴラ劇場

(19)青年団「ソウル市民1919」@こまばアゴラ劇場

(20)神奈川芸術劇場プロデュース「セールスマンの死」神奈川芸術劇場ホール

(21)M&Oplaysプロデュース「ロミオとジュリエット」下北沢本多劇場

(22)新国立劇場主催「スカイライト」@新国立劇場小劇場

(23)Bunkamura企画製作「民衆の敵」@Bunkamuraシアターコクーン

(24)シアター風姿花伝企画製作「女中たち」シアター風姿花伝

(25)月刊「根本宗子」「愛犬ポリーの死、そして家族の話」下北沢本多劇場

(26)カタルシツ演芸会「CO.JP」スーパーデラックス

以上26本、隠し観劇はなし、チケットはすべて公式ルートで購入した結果、

  • チケット総額は157780円
  • 1本当たりの単価は6068円

となりました。上半期の26本とあわせると

  • チケット総額は316000円
  • 1本あたりの単価は6077円

です。そんなつもりはなかったのにまさかの2年連続50本越え達成です。ここまで本数が増えたのは、長く芝居を観ているなら有名な芝居は一度くらい観ておきたいという発想になったせいで、その分再演ものが多くなりました。チケット単価はここ数年の中では抑えたほうですが、それにしてもこれだけ観ると総額が馬鹿にならず、それ以上に交通費が嵩むのが財布には痛いです。なお数を観すぎたためか、夏以降に断捨離を高い優先度で進めていたためか、上に並べた26本が半年以内に観た芝居という実感が持てていません。3年前くらいの感触です。

下半期の収穫は、劇場提携公演中の(3)(13)、今もって古さを感じさせなかった(8)、繰返し上演される海外古典戯曲の(15)(20)(23)、青年団の代表作である(18)(19)など再演ものが多い中、気合の入った新作で気を吐いた(17)と、笑わされた(26)になります。この中で1本選ぶなら(17)になります。できれば土曜日の昼間で余裕のあるときに観たかった1本です。

通年では、下半期の(17)、上半期に口コミプッシュを出した青年団の「日本文学盛衰史」などを差置いて、パルコ/兵庫県立芸術文化センター共同製作の「テロ」を今年の1本に選びます。セットらしいセットもなく台詞だけで緊迫感がここまで作れると示した仕上がり、多様化した現代の問題をタイムリーに取上げた内容、観客投票で変わる結末など、本来なら口コミプッシュを出すべきだった1本です。その場で判断できなかった自分の不明を恥じます。

そのほか、勝手に一部部門賞になります。

役者部門。主演男優は「アンチゴーヌ」で新王クレオンを演じた生瀬勝久。圧巻の演技で、これ1本で拍手に値します。年明け実質2本目にこれを観たので、今年の観劇ではこれを越える男優がいないかと探すのが裏テーマでしたが、見つかりませんでした。主演女優は2人。カオルノグチ現代演技を立上げて「演劇部のキャリー」で絵に描いたような小劇場2人芝居で楽しませてくれた野口かおると、(15)で圧巻の絶望を演じてのけた小島聖の2人。まったく間逆のベクトルですがあのテンションには甲乙付けがたいです。

助演は挙げたらきりがないのでばっさり減らします。男優は「秘密の花園」と(21)で不思議な演技を見せてその理由が解明できない田口トモロヲと、(15)で大ベテランながらほとんど台詞のない役を演じてしかも存在感抜群だった小林勝也。女優は、ハイバイ「ヒッキー・ソトニデテミターノ」で支援センター職員が見事だったチャン・リーメイと、(18)(19)で中心人物を演じて青年団内での出演機会も上昇中の荻野友里。出演した芝居が自分の好みに近かったかどうかも加味してしまいましたが、挙げたらきりがないので、この4人とします。

脚本演出部門では、上半期に劇団公演で「ヒッキー・ソトニデテミターノ」再演と、さいたまゴールドシアターで「ワレワレのモロモロ」新作を作った岩井秀人。再演多めの人ですが、観たら外れがありません。下半期の「て」「夫婦」の再演を見逃したのが悔やまれます。「ヒッキー・ソトニデテミターノ」の当日パンフのコメントも記憶しておきたい見事なものでした。

スタッフ部門は、(15)でシンプルな舞台美術に大きな幕を使って美しかった乘峯雅寛と、(17)のA4仮チラシが単体でも芝居との関連でもきっちりはまっていた雨堤千砂子。この2人を挙げます。

企画は、1年で7本上演という上演計画を立てて今なお上演中のパラドックス定数とシアター風姿花伝。もともと劇場から申し出た提携案なので計画に融通はきくとしても、これを通した劇場の太っ腹もすごい。1本あたりの上演期間が短いのが難です。ここまで5本上演されたうちの4本を観て、事件に絡めた脚本を書く野木萌葱の才能に改めて気がつきました。2019年には新国立劇場で小川絵梨子演出の新作「骨と十字架」が予定されています。

なおその新国立劇場では2019年冬には月刊「根本宗子」が新国立劇場の中劇場に進出することが折込チラシで発表されており、劇団公演か共催かわかりませんが、劇場側が攻めたラインナップを並べようとしている気配が伺えます。目を転じて民間では、三谷幸喜が今さら感ですが6月に歌舞伎座初登場です。新橋演舞場でワンピースを上演するなど、あの手この手でジリ貧に陥らないように伝統芸能もいろいろな企画を立てています。

趣味で選んで偏っているとはいえ、2年で100本も観ると何となくイメージが湧くのですが、いい上演企画には大まかに2種類あります。仮に「現代の風潮を問う芝居」と「徹底的にエンターテイメントの芝居」と名づけます。昔だともう少し文学っぽい芝居も成りたったと思いますが、今は2種類の少なくともどちらかの要素を混ぜないと魅かれません。何故かといえば日本の生活も社会もここ10年で大変になったからです。観客側から見れば余裕はどんどんなくなっています。単によくできただけの芝居に大枚はたくような余裕はなく、ましてや外れ芝居を見守るような余裕もないので、観るからにはその芝居を観てよかったと実感できるような芝居が求められています。大変になった人たちの悩みをすくい取って励ますか、大変になった人たちを楽しませて明日への活力を与えられるか。大げさに言えば、2種類のどちらの要素も含まれない芝居は自己満足と言われても仕方がない世相になっています。

下半期で例を挙げると、かつての不倫相手との一夜の話がメインでありつつバックグラウンドに社会問題を織込んで深みを出した脚本が(22)で、完全エンターテイメントだったのが(26)で、読んだ批評では吉右衛門の演技が絶賛一色でしたが上演企画そのものには継承して育てた芸の披露以上の意味があったのか疑わしいのが(11)です。歌舞伎にとって芸の継承は大げさに言えば生命線ですが、それが今時の歌舞伎マニアでない観客に訴えるところがないのも事実です。これを解決して作り手と観客とをつなげるのは演出家や芸術監督の仕事で、だからこそ古典と古典の間に三谷幸喜を呼んで活性化をはかることになるわけです。なお、現代の風潮をエンターテイメント風に問うのが今時の理想で、だいぶシリアス路線でしたけど新作では(17)が代表です。この話題は独立したエントリーを書きたかったけど間に合いませんでした。できれば改めて書きたいです。

他にも書きたくて書けなかったエントリーはあるのですが、その代わりに「2018年の東京台風直撃の対応の記録」は、長くて読みづらい文章なのが難であるものの、このブログらしいまとめでした。観客として、公演中止の対応にもいろいろあることがわかって勉強になりました。願わくは、少しでも観客に優しい対応が芝居業界で標準化されますように。

2019年は本数が増えるか減るかわかりませんが、引続き細く長くのお付合いをよろしくお願いします。

<2019年2月19日(火)追記>

チラシを発掘して雨堤千砂子の名前が確認できたので記載変更。でもA4パンフ側に宣伝美術のクレジットがなくて、A3パンフにしか載っていなかったのが不思議。

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