渡辺源四郎商店シェアハウス「過ぎたるは、なお」こまばアゴラ劇場(ネタばれあり)
<2019年2月11日(月)朝>
青森県の、とある施設。かつて2人の息子を育てた母が入居している。入居している人たちは、仲よく過ごす人もあり、部屋で引きこもる人たちもあり。そこに新しい入居者がやってくる。
実にあらすじの書きにくい話だけど、重い話を別の話で包んで、1時間半ないと思えない密度。さすが長年やっているだけのことはある仕上がり。
実は早くになくなった母の代わりに導入されたロボットで、プルトニウムを燃料に半永久的に動くはずだったのに、エネルギーに欠陥が見つかり処分されるところを施設に入り、という背景はそのまま原発事故の敷衍。それを、少しずつひっかかる情報を提示しながら引張り込む。そこに、他のロボットが待つ恋人の話とか、育てた息子達が思惑をもって面会にやってきてからのいきさつを混ぜて、人間とロボットの「人間らしさ」の話に一気に振る幅の広さ。さらに、災害の話とか、ロボットの扱われ方の話とか、ガリガリ君の歴史(笑)とか、情報をちら見せして世界の奥行きを広げる手腕。青森は処理場があるだけにより実感のある話題だろうけど、重い話への重い抗議も間接的に示して芝居らしさも失わないバランス感覚は、さすが長年やっているだけのことはある。
終演後の話だと、畑澤聖悟と工藤千夏が交互に書いて、相手が書いた部分も勝手に書き直して、という手法で書かれたとのこと。どこがどちらの書いたものなのか気になる。役者はひとりくらい青年団出身の人が混ざっていると思ったけど、全員地元の人らしい。大千秋楽だったとはいえ至近距離に耐える演技。凝っているようでいてシンプルな舞台を飽きさせずに使って、まったく文句なし。もっと早くから観ておけばよかった。
遠征の都合で連休のときにしか上演できないとはいえ、東京では追加含めて4日間6ステージしか上演しないのだから、贅沢な話。ただし次回はGWを使ってスズナリで6日間8ステージ。<2019年2月13日(水)>
感想を清書。
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