加藤健一事務所「喝采」下北沢本多劇場
<2019年3月14日(木)昼>
1950年のアメリカ。初演を3週間後に控えている舞台が、契約上の手違いで主演俳優が映画撮影のため離脱してしまい、制作者、演出家、脚本家が代役に頭を悩ませている。アンダースタディのベテラン俳優の起用を主張する演出家に対し、新しい役者を手配しようとする制作者。かつて彼の舞台を観た演出家にはその実力が忘れられないが、アルコールによる失敗を懸念する制作者は反対する。不安定な契約ながらも主張を通した演出家。だが当の俳優自身が不安を抱き、その妻はそれ以上に心配する。
加藤健一事務所は初見。いまどきこんなバタ臭い芝居があるかと思いきやよくよく見ると、バタ臭いベテラン俳優の加藤健一、バタ臭さに付合うけど一線は守る演出家の小須田康人、最初からバタ臭さに付合うつもりのない妻の竹下景子、バタ臭さに付合うことで見せ場との落差を作って盛上げるプロデューサーの奥村洋治など、役者によって微妙に違うスタンスに興味をそそられる。小須田康人がとてもよい感じ。
舞台は1950年のアメリカ・・・と始まるナレーションで舞台設定を説明しながら開演するのは脚本の指示なのか演出の工夫なのか、芝居初心者へのハードルを下げる工夫として感心。ただ、最初はベテラン俳優が主役だったのが、途中からその妻が主役の話に移ってやや困惑。有料パンフレットでは、原題が「The Countory Girl」で、そこに作家の思いが込められていると演出家が文章を寄せていた。そこまで考えていてなぜこういう演出になる。それと、どこかつながりの悪さを感じる脚本で、特に演出家がそこまでベテラン俳優に拘る理由が、昔観て感激したという説明はあっても希薄だった。時間短縮のために一部場面をカットしていたのかもしれない。次回も翻訳モノだけど今回に増して文学座のエースが集結する座組なので、もう一度観たいところ。
あと細かいところで、開演前のアナウンスが、他所では「携帯電話やスマートフォンをお持ちのお客様は・・・」と流すところ、「スマートフォンや携帯電話をお持ちのお客様は・・・」と流していた。この順番で聞いたのは自分は初。今のスマホの普及率を考えると他所もこの順番に直したほうが時勢に合う。
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