名取事務所「ベッドに縛られて / ミスターマン」小劇場B1
<2019年3月14日(木)夜>
10年間ベッドに寝たきりの若い女性の元に父親を名乗る男がやってきて2人で交互に語りつくす「ベッドに縛られて」。母と2人暮しで信心深い息子が、その信心深さから孤立していく「ミスターマン」。アイルランド芝居の2本立て。
後で気がついたら昼も夜も小田島恒志の翻訳という1日。2人芝居と1人芝居(声だけの出演あり)で登場人物が少なく、セットも固定で、勢い多い台詞への比重が高くなる2本。
これでもかという早口で全編通した「ベッドに縛られて」は、早口に囚われて起伏の付け方に失敗。様子がわかってくる後半はまだしも前半はつらい。その点は時間の短い「ミスターマン」のほうが1人芝居ということもあってまだつけやすかったようだけど、これでも起伏は不足している。2本立てで時間が足りなかったか、全体に、演出がHowにこだわってWhatやWhyを掘下げきれなかった印象。「ベッドに縛られて」の寺十吾と小飯塚貴世江、「ミスターマン」の斉藤淳とも適材適所だったのにもったいない。ただ斉藤淳はこいつヤバイ感が全開の怪演で、探せば名手はいるものだ、の感を新たにした。
それにしてもネタばれだけど、2本立ての両方とも殺人が起きる。マーティン・マクドナーといい、このエンダ・ウォルシュといい、苦しい環境で精神に異常を来たして人を殺す以外のアイルランド芝居はないのか。
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