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2019年3月24日 (日)

パラドックス定数「Das Orchester」シアター風姿花伝

<2019年3月22日(金)夜>

 

ナチスが政権をとった直後のベルリン。世界を代表するオーケストラと、最高の音楽を要求してオーケストラに君臨する指揮者。民族の優秀さを示すため、またユダヤ人の追放を画策するため、オーケストラを支配下に置こうと工作を進めるナチス。最高の音楽のためには民族など関係ないと一蹴する指揮者だったが、時代の流れはそこまで迫っていた。

 

1年間7本公演の最後。固有名詞を出さないあたりが一種の作劇術なのかもしれないけど、オーケストラはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団で、みんなからマエストロと呼ばれる指揮者はフルトヴェングラー(ここは「ヴ」を使いたい)。大学時代の初脚本をリライトして上演とのことだったけど、新作と言われてもわからないくらいこれまで観た事件モノの芝居とまったく同じ雰囲気。脚本家としての趣味はまったく変わっていない模様。

 

大勢の楽団員を率いる指揮者と国民を熱狂させたヒトラーを重ねたり、楽団員がいないと何もできないという指揮者のありようが演劇の演出家に重なったり、演劇は言葉を扱う芸術だからか簡単に扱えましたよというゲッペルスの言葉は日本も似たようなものだったり、音楽は抽象的であるがゆえに直接的であるという(元ネタがあるのかわからないけど)切れる台詞が出てきたり、扱っている話題がかなり奥行きを持っていてしかも狙ったものかどうか今の日本にタイムリー。国立つながりで、6月に予定されている新国立劇場の脚本にこれをぶつけたら面白かったのではないか。

 

その一方で直接的な表現かつヒロイズムに満ちた台詞が多い。これなら演技をもっとクールに振ってバランスを取ってほしかったところ、そこに付き合って甘めの演技が多かったのが残念。そんな中で指揮者の秘書を演じた松本寛子が気丈なところから絶叫まで見所を体現。ちなみに野木萌葱の芝居で女性登場人物を観たのはこれが初めて。今後も出てこない気がする。

 

今回も面白いけど、これは演出家が違うと化ける脚本なので、将来どこかの団体で上演してほしい。シス・カンパニーあたりでやってもらえないものか。

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