2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

« まつもと市民芸術館企画制作「K.テンペスト2019」東京芸術劇場シアターイースト | トップページ | ジエン社「ボードゲームと種の起源・拡張版」こまばアゴラ劇場 »

2019年6月 1日 (土)

演劇集団キャラメルボックスが活動を休止

Yahoo!トップ記事で見かけるとは思いませんでした。2019年5月31日21時発表のようですが、ここはYahoo!よりも本家サイトからのほうが適切。

お知らせとお詫び
キャラメルボックスの活動の休止について

突然のお知らせで申し訳ありません。
この度、私達、演劇集団キャラメルボックスは、諸事情により、
2019年5月31日をもって、劇団の活動を休止いたします。
次回公演に予定しておりました『エンジェルボール』
続編の上演は延期させていただきます。
キャラメルボックス・サポーターズ・クラブを始め、
キャラメルボックスの公演を楽しみにしてくださっていた皆様に深くお詫び申し上げます。
劇団としての活動は休止しますが、
各劇団員はそれぞれの場で芝居作りを継続してまいります。
勝手なお願いで恐縮ですが、
今後も温かく見守っていただけましたら幸いです。

2019年5月31日 キャラメルボックス代表・成井豊

で、成井豊のブログでも触れられている。

本日、5月31日(金)午後9時に、演劇集団キャラメルボックスのホームページで、キャラメルボックスの活動休止を発表しました。
キャラメルボックスの公演を楽しみにしてくださっていた皆様に深くお詫び申し上げます。
申し訳ありません。
突然の話で、驚かれた方も多いかと思いますが、数カ月にわたって、劇団員全員で何度も何度も話し合いをした末に出した結論です。
が、くれぐれも誤解していただきたくないのは、これはあくまでも「休止」であり、「解散」ではないということです。
活動が再開できるその日まで、劇団員一同、精進するつもりです。
私ももちろん頑張ります!

落ちていた本家サイトの一部ページも見られるようになったので確認すると、役者だけでも結構な人数が所属している。最後の公演はこの5月に行なわれた「ナツヤスミ語辞典」で、俳優座劇場で9日間12ステージ。その前の3月の公演「スロウハイツの神様」はサンシャイン劇場だけど10日間12ステージに大阪のサンケイホールブリーゼで3日間4ステージ、しかも「当日券は安全枚数ご用意」という公式案内だった。サンシャイン劇場で夏休みと年末に1ヶ月公演を行なっていた時期からすると隔世の感がある。「芝居の費用を計算する」で加藤昌史の文章を引用しているけど、この公演規模でこの所属人数を回していくのは、まあ厳しいだろう。北村明子は1ヶ月公演あれば黒字にしてみせる、1ヶ月ないと無理、と書いていたと記憶している。

そして有名プロデューサーの加藤昌史がブログもTwitterも削除して今回何もコメントを出していない。制作会社のネビュラプロジェクトのページも今のところつながらない。ただひとつ気になったのは、本家サイトの下端に表示されているコピーライトが1986-2018で止まっていること。こういう細かいところも気にしていたのは2018まで更新していたことからもうかがえて、でも2019に更新がされていないということは「数ヶ月にわたって」とは2018年中からいろいろな話があって、2019年に入るころにはWeb管理の制作サイドがこんなことやっている場合ではない状態になっていたのだと推測される。ちなみにTogetterには「スロウハイツの神様」の3日目までのまとめが本人の手で行なわれたのが最後で、「ナツヤスミ語辞典」は行なわれていない。

ここで個人ブログの超いい加減な予想。最初は劇団が経済的に回らなくなって休止したものと決め付けてこのエントリーもその線で書き始めたのだけど、ひょっとして加藤昌史が2018年中から調子が悪くて、TwitterやTogetterは出来ても当面は(あるいは今後の)制作復帰ができないくらいの状態なのではないか。成井豊名義だけの発表がなんとなく嫌な想像をさせる。加藤昌史はいつも開演前の前説をやっていた人なので、観に行っていれば元気かどうかは分かるのだけど、観に行っていないのでわからない。

まあ推測ばかりしてもしょうがない。自分が最初に観たのは「さよならノーチラス号」の初演で、最後に観たのがたぶん「ブリザード・ミュージック」の2014年版。前者が通路に座布団(たしかこれが最初の通路席経験だったので覚えている)、後者がハーフプライスチケットというのもまた推移を感じさせる。最近は全然観に行っていなかったから、懐かしくはあるけど、自分はいつの間にか卒業していたのだと思う。

個人的には、劇団員が外部客演のチャンスを逃して、新規ファンの集客と役者の成長と両方を逃したという印象があるので、今回のピンチをチャンスに変えるような劇団員個々人の今後の活躍を願います。

<2019年6月4日(火)追記>

理由は制作運営のネビュラプロジェクトが破産したからでした。東京商工リサーチより。

 当社はキャラメルボックスの公演企画、ノベルティ製作、俳優マネジメントを手掛ける運営会社として2006年1月期は売上高10億1000万円をあげていた。
 しかし、その後は観客動員の伸び悩みなどから売上は減少に転じ、2018年1月期は売上高約5億円に落ち込んでいた。こうしたなか、5月31日にはキャラメルボックスが公式サイトで活動休止を発表し、注目を集めていた。

ところが帝国データバンク(のYahoo!記事)だと以下の記載になります。

1万7000名内外のサポーターズクラブ会員も抱え、2007年1月期には年売上高約9億3200万円を計上していた。

 しかし、個人消費の低迷を受け、2008年1月期の年売上高は約7億4800万円に落ち込み、最終赤字を計上、債務超過に転落していた。

両方合せるとこうなります。短期間で売上がピークから3割落ちたら普通は死んで、実際債務超過に転落したのですけど、そこからよく10年持たせたと逆に感心しました。

・2006年1月期 10億1000万円
・2007年1月期 9億3200万円
・2008年1月期 7億4800万円
 ・・・
・2018年1月期 5億0000万円

2008年の落込みもすごいのですが、2006年から2007年で1割近く落ちているのが注目です。1月期決算なので公演は2005年2月からの分が反映されます。上川隆也が久しぶりに出演した「TRUTH」が2月初日で東京大阪神戸をツアー1ヵ月半、5月からハーフタイムシアター「広くてすてきな宇宙じゃないか/僕のポケットは星でいっぱい」2本立てで東京神戸を1ヶ月、夏は東京福岡大阪で「スケッチブック・ボイジャー」が1ヵ月半、年末は神戸東京から何と1月に横浜でも公演という2ヶ月公演の「クロノス」。ちなみに東京公演は5月がシアターアプル(懐かしくてちょっとキーボードを打つ指が止まった)、他はサンシャイン劇場、大阪神戸福岡もそれに準ずる規模の劇場という超効率のいい4公演です。今どきこの規模で上演できる劇団はありません。今どきこの規模で年間通じて上演できるのは劇団☆新感線くらいなものです。

ほぼ10年このペースで続けてきたので、チケット代が上がった分だけ売上も上がって、2005年がピークになったということでしょう。ただ、このころのチケット代がだいたい5000円で、グッズなしの全部チケット代だとして単純計算で20万人を集客したのですが、それだけ集客してもこの売上というのは、泣けるものがあります。ちなみにこの翌年から、育成目的と思われる小規模公演が混ざってきます。

それと上川隆也の退団。退団自体は2009年ですが、その前から売れっ子になったため、ほとんど劇団公演に出ていません。2010年は退団記念公演にして客演出演です。劇団の記録から拾ったのが、見落としていなければ以下の通り。

・2001年 「風を継ぐ者」
・2005年 「TRUTH」
・2008年 「きみがいた時間 ぼくのいく時間」
・2010年 「サンタクロースが歌ってくれた」

効率がよくても客が来てくれないと、大規模劇場の公演も逆に赤字幅が増えることになります。キャラメルボックスはハーフプライスチケットという当日半額券を導入していた珍しい劇団で、少なくとも2005年時点では導入していたはずです。逆に言えば空席に危機感を持っていたということでもあります。海外に範を取ったとはいえ日本では珍しい制度で、攻めの姿勢で取扱っていたと記憶していますけど、追随者は知っている範囲では現れませんでした。

その「サンタクロースが歌ってくれた」は観に行ったのですが、エントリーで結構示唆的なことを書いていました。自分がそんなことを書いていたという事実に驚いて、あまり昔と書くことが変わっていないことにもう一度驚いた。

上にも書いた役者の実年齢と役の年齢とのギャップネタも、よくよく考えれば役者と役の年齢は一致している必要はないわけで(そんな芝居は無数にある)、劇団に馴染がない人からすれば「え、それは笑うところなの?」というネタのはずなのにドッカーンと笑いが取れるというのは、私にしてみれば不健全。まあ劇団の寿命がどこまで続くかは神のみぞ知るということで。

いろいろ書いたけど、今回見つけて一番共感したのは以下のコメントです。ひどいことを書いていますけど、それと並行してこういうことも思っています。

実のところ理由が「破産」でちょっとホッとしてしまった、あまりに急で説明のないままの休止だったのでもっと取り返しのつかない理由かと思ってた。

<2019年6月5日(水)追記>

劇団☆新感線のことを忘れていたので修正。

« まつもと市民芸術館企画制作「K.テンペスト2019」東京芸術劇場シアターイースト | トップページ | ジエン社「ボードゲームと種の起源・拡張版」こまばアゴラ劇場 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« まつもと市民芸術館企画制作「K.テンペスト2019」東京芸術劇場シアターイースト | トップページ | ジエン社「ボードゲームと種の起源・拡張版」こまばアゴラ劇場 »