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2019年7月17日 (水)

青年団国際演劇交流プロジェクト「その森の奥」@こまばアゴラ劇場

<2019年7月14日(日)夜>

マダガスカルにある研究所。日本主催で猿の進化について調べていたが、資金難につき日韓仏の多国籍プロジェクトとなる。さらに研究を進めるためにスポンサーを求めているが、候補の企業は猿を使ったアミューズメントパークを検討している。その企業の担当者による訪問と、研究員の新メンバーの着任とがたまたま重なったある1日の話。

場面ごとに日本語と韓国語とフランス語を切替えて上演するのかと思ったら、同時通訳機を登場させてチャンポンで上演するという力技。同時多発会話では日本語は声で、韓国語とフランス語は字幕で、字幕画面も1画面中の左上と右上に別々のグループの会話を寄せて区別するというこれも力技。これの何がすごいかというと、チャンポンなのにいつもの青年団とまったく変わらないノリの芝居が観られる。さすが役者にもロボットにも同じ演出をつけるという平田オリザ、多国籍ごときではびくともしなかった。

昔の「森の奥」という脚本を再利用して仕立て直した脚本(だから「その森の奥」とのこと)は、日本を一番格好悪い立場に割当てるところはまあしょうがないけど、韓国もフランスも含めて満遍なく意識でも歴史でも駄目なところを取上げて、その点では平等ないつもの平田オリザ節。この座組に旧フランス植民地のマダガスカルを選ぶところがセンス。スポンサー候補の企業は日系かと思わせて本社が中国というのも今っぽい。歴史に対する意識の場面もスリリングだったけど、猿と人との境目を考えさせる芝居の途中で、まったく関係なさそうに、でも「境目を考えさせる」つながりで、シンデレラの靴がなぜ日付が変わっても元に戻らないかの話を混ぜるあたりの小技もきいている(そしてちゃんと後への伏線にもなっている)。

一番好きだったのは、研究に使う猿を選べないかという話題のとき、全員が会話に集中する最中、決定権を持つひとりである日本人研究者が上手側でうーんそうは言ってもなーという顔をして手を頭の後ろで組んでいた場面。あの迷っていて決めようがない顔と態度がこの芝居の日本人で一番日本人らしいなと思った。

毎度たっぷりの情報量で、90分とは思えないおなか一杯の1本。これならフランス組の「カガクするココロ」でサビの場面がどうだったかも観たかったと悔やまれる出来。ひとつだけ誤算だったのは、同じ日に進化論を観ることになるとは思わなかったこと。どうしてこんな演劇で取上げそうにない設定なのにかぶるかな。

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