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2019年7月17日 (水)

新国立劇場主催「骨と十字架」@新国立劇場小劇場

<2019年7月14日(日)昼>

イエズス会の神父にして古生物学者でもあるシャルダンは、カトリックの教義に反する進化論の論文発表や講演を通じてバチカンの検邪聖省ににらまれる。穏便に済ませたいイエズス会総長の取計らいで、研究と講演を制限する誓約書へ署名すればよいところまで検邪聖省の担当者をなだめたが、神父は署名を拒否する。やむを得ず、かつて似た経緯を辿った先輩神父の赴任先兼研究先である北京に飛ばされるが、そこで発掘を続けた結果、北京原人の頭蓋骨を発掘し、進化論の欠けていたコマを埋めることになる。

パラドックス定数でおなじみの男5人芝居は、張出し舞台の後ろに大き目のオブジェだけのシンプルな舞台で、いつもよりは抑え目に、だけど答えのない会話が続く一本。神の存在について、信仰と信念が相反したときにどう行動するかについて、それまで当然とされていたことを疑い声を上げることについて、昔の実話を元にしているのに実に考えさせるタイムリーな話。ちなみに検邪聖省は異端審問所の後継部署で、そこの諮問官は神父の資格について生殺与奪の権を握っている。

ただ感想は、野木萌葱の台詞マジックに騙されている。格好いい台詞をそのまま受取ると奥行きが足りないので、それぞれの役に台詞とは違う秘する心情を持っていてほしいのだけど、素直に見えた役者多し。検邪聖省の近藤芳正でもぎりぎり、イエズス会総長の小林隆は最後まで蛇の狸で通してほしかったし、他の3人ももっと裏設定を工夫する余地はあった。

スタッフでは、ろうそくがあったとは言え、照明が美しかった。ごく普通っぽく、影をそこまで出していたわけでもないのにソリッドに見えた理由がわからない。ただ音響は効果音はともかく音楽はあんなにいらなかったんじゃないか。去年まとまった数のパラドックス定数を観たからなおさらそう思う。あと別に大掛かりな舞台転換があるわけでなし、休憩15分を含めて1時間55分なら休憩無しの100分一本勝負にできなかったか。

なんだかんだ言って飽きずに観られたのは演出がよくできていた証拠だけど、何か物足りない。統一感というか雰囲気というか息苦しいくらいの濃密さが足りない。まだまだ行ける一本。いつものことながら面白い脚本を面白く立上げるのは難しい。

<2019年7月17日(水)追記>

そういえば降板と代役の話があったのを忘れていた。でもそれで、というかその時期だったら、むしろ作品の方針には影響させる暇がないはずで、やっぱり台詞マジックに騙されていた感はある。

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