こまつ座「日の浦姫物語」紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
<2019年9月19日(水)夜>
夫婦子連れの説教聖が語るのは日の浦姫の物語。平安時代の奥州の豊かな庄。都から迎えた妻を愛する領主との間に双子の兄妹が生まれたが、産後の肥立ちが悪く妻は亡くなってしまう。そこから15年後、双子は順調に育ったが領主である父が亡くなる。その葬儀の晩、仲の良かった双子は交わり、妹である日の浦姫は身ごもってしまう。領主の弟の宗親は、兄を都へ遠ざけ妹を引取るが、兄は都への道中で亡くなり妹は元気な子を産む。このままではいけないと宗親は産まれた子を海に流すことに決める。
ちなみにここまでで前半。その後で助かった子が無事に育ち、というのが後半で、近親相姦モノというのはチラシからなにからネタばれだから書いていいとして、問題は仕上がり。説教聖夫婦の辻萬長と毬谷友子はいいとして、他の役者はエネルギー不足。特に前半は、収録用のカメラに合せて演技したかというくらい声に元気がなかった。初期の井上ひさしらしく、近親相姦という危ない設定と笑える台詞が同居した脚本で、それを御す勢いと切替が大事なはずだけど、そこも曖昧に進めて、笑うところで笑えず泣くところで笑いが起きる始末。最後の数場面で思い切り話が進むのでそこで少し持ち直したか、くらい。中日も過ぎてこの出来は、本当に鵜山仁が演出したのか疑われる。がっかりの一言。
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