シアターコクーンの3代目芸術監督に松尾スズキが就任
よく考えたら芸術監督制度の先駆けといってもいい劇場でしたけど、長塚圭史じゃなかったなと思ったきりノーマークでした。ステージナタリーよりまずは概要。
松尾スズキが、東京・Bunkamura シアターコクーンの芸術監督に就任することが明らかになった。
これは、本日9月9日に東京都内で行われたBunkamura シアターコクーン芸術監督就任記念会見で発表されたもの。同劇場では、これまでに串田和美、蜷川幸雄が芸術監督を務めており、松尾は3代目となる。松尾の芸術監督就任後第1弾作品は、12月に開幕する「キレイ―神様と待ち合わせした女―」だ。
そして会見レポートより。
松尾は、過去に同劇場の芸術監督を務めた串田和美と蜷川幸雄の功績を讃えながら、「いい意味で不真面目で、色気のある劇場にしていきたい。世の中が窮屈になっている時代に、劇場の中くらいは倫理や道徳から解放されてもいいんじゃないかと思うんです」と展望を述べた。
当面の主催公演のラインナップが以下。色気とはちょっと荒っぽい感じを狙ったものだということが伝わるメンバーです。主催でない月はシス・カンパニーとホリプロで埋めるのでしょう。
「キレイ―神様と待ち合わせした女―」
2019年12月 ※福岡・大阪公演あり。
作・演出:松尾スズキ
鄭義信新作
2020年2月
作・演出:鄭義信
松尾スズキ作品
2020年5月
作:松尾スズキ
演出:ノゾエ征爾
赤堀雅秋新作
2020年6月
作・演出:赤堀雅秋
「DISCOVER WORLD THEATRE」シリーズ
2020年8・9月
松尾スズキ新作
2020年10月
作・演出:松尾スズキ
三浦大輔新作
2020年12月
作・演出:三浦大輔
この話を初めて聞いた人はなるほどと思ったか意外だと思ったか、どちらだったでしょうか。私は意外だと思いました。この前の芝居で台湾公演まで行って、これから後期全盛期と思っていた松尾スズキが芸術監督とは思いませんでした。組織を引張る迫力と、観客を呼ぶ集客力と、両方とも備えた人ではありますが、芸術監督っぽいかと言われると何かイメージが違ったからです。ただ上演回数を含めた縁と、このご時勢に世の中の窮屈と正面切って戦える腕っぷしと言われると納得しないでもありません。
それでもイメージが違うのはなぜだろうと考えると、他の芸術監督と比べて一番国際色が薄い、日本ドメスティックな印象を私が松尾スズキに持っているからでした。もちろんフランスでも台湾でも公演していますが、それは純日本の小劇場芝居であるところに値打ちの何割かがありました。別にシェイクスピアでも演出すればいいかというとそんなことはなくて。幻想かもしれないけど、芸術監督にはローカルな芝居の向こうに世界の広さを見せてくれるような漠とした期待を持ってしまいます。松尾スズキのディストピアには日本の極限は見えても世界という印象は薄かったです。
しかし小劇場の雄たちがきれいに芸術監督に納まっていくのは、もちろん本人たちにはめでたいことでしょうが、何と言うか、ここまできれいに納まってしまうのかという感想を禁じえません。各方面に失礼を承知で観客の勝手な感想を述べれば、アフリカで動物を撮影していた岩合光昭がネコ専門撮影に落着いたような。でも蜷川幸雄が芸術監督をやっていてもそういう感想は持たなかったのですよね。さいたまゴールドシアターの設立を初めとして晩年まで開拓精神を発揮し続けた稀有な人だったと今さらながらに考えさせられます。
こんなところで床屋談義をしても何にもならないので、まずは2年ほど様子見です。だいたい本領発揮をできるのが就任3年目くらいなので、2022年のラインナップで改めて振返りましょう。
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