□字ック「掬う」シアタートラム
<2019年11月14日(木)夜>
父親が入院しており、ライターの娘が夫と離れて実家に泊まりこんで病院に通っている。母親はすでに離婚して家にはいないが、回復を祈願する母の奇行に巻込まれた兄夫婦はうんざりしている。叔母は介護に奮闘しているが、その娘の従妹はアイドルのコンサートのチケットが取れないことを気に病んでいる。みんな病院から引上げてはこの家に来て介護の愚痴をこぼす。そんなある日、父の知合いだという女子高生と高校時代の友人が転がり込んでくる。
劇団初見。声や音響にこだわりがありそうな印象だが、ちょっと疲れた状態で観に行ってしまったのでそれが裏目に。騒がしい場面のテンションの高さや場面転換中の音響が身体に堪える。そんな中でもこのテンションなら観られるという線を維持していたのは叔母役の千葉雅子や兄嫁役の馬渕英里何。
唐突にやってきた女子高生や友人を泊めてしまうところは演劇的な展開として受入れるとしても、家族の話といいつつ主人公の話からあまり飛ばないところが残念だし、その主人公を含めて登場人物の生活感が希薄。主人公からしてライター(小説家だったか?)の仕事をしている気配がない。何より登場人物の感情の描き方がしつこい。深いのでもなく濃いのでもなく、くどい。シアタートラムでこの値段を取るからには、より的確な台詞と適切な情報の出し方で磨き上げられた脚本を望む。
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