世田谷パブリックシアター/エッチビイ企画制作「終わりのない」世田谷パブリックシアター
<2019年11月1日(金)夜>
中学生時代の「事件」から立直れず高校受験に失敗して以来、引きこもりになってしまっている悠理。両親と幼馴染と一緒に湖近くのキャンプに来たが、全員から立て続けに今後の進路を知らされて、気晴らしに湖で泳いだところを溺れてしまった、はずなのだが、目が覚めた場所はまったく見知らぬ場所だった。
オデュッセイアを原典にしたSFと言われて読んだこともないのに身構えていたけれど、終わってみればびっくりするほど直球のメッセージ。まったく見知らぬ場所に飛ばされる以上のイベントがあまりなくて、展開に緩急強弱が少なく、物語が淡々と進む。あと一応前振りはあったけど、飛ばされる設定の説明が後半に、しかも解説調で来てしまったので、若干言い訳がましく聞こえる。それで最後にメッセージが直球で来てしまうので、個人的には厳しかった。このくらい直球でないと今時は駄目なんだろうか。カーテンコールの拍手は刺さった人2に役者のファンで拍手している人3に戸惑った人5くらいの感触。
そこを役者でカバーするかというと、イキウメメンバーは抑え目、特に安井順平のくすぐりを封印して臨み、出ずっぱりの主役とその相手役に舞台経験の少ない若手を当てて、仲村トオルもバイプレーヤーになるという挑戦だらけのキャスティング。結果は村岡希美が孤軍奮闘の感。これがシアタートラムだったらまた印象は違っていたはずだけど、世田谷パブリックシアターの規模ではちょっと届いていないところが目立つ。スタッフワークが、とくに美術、照明、音響がよかっただけに、落差が目立つ。せめて演出でテンポだけでも上げられなかったか。
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6日に観てきました。刺さりました。というか脳が脱皮した感あります。前川さんの戯作としてもです。
イキウメ本公演だと主人公は永遠の少年の大窪さんが演じるんでしょうが、この公演は主人公が達者に演じては観客を時空を漂うような感じさせる目的にそぐわない。その為の主人公の役者の人選と思います。
イキウメ初観劇のお客さんは腑に落ちなかったでしょうが。前川さんは翻弄する目的は見事に達して、劃期を為す代表作となるでしょう。
投稿: 叡 | 2019年11月 8日 (金) 12時54分
叡さん:
どうも。確かにいつものイキウメとは狙いが違った感じは受けました。
今回は共同制作ですが、イキウメ本編も含めて、劇団員以外の役者との出会いも積極的に探しているなと思います。
投稿: 六角形(管理人) | 2019年11月 8日 (金) 21時56分