新国立劇場主催「タージマハルの衛兵」新国立劇場小劇場
<2019年12月14日(土)夜>
タージマハルの建設中、建設が終わるまで誰も見てはならないという皇帝の命令で、囲いの壁の前で夜中の警備を担当する2人の兵士。方や父親が将軍で真面目な性格、方や庶民の出だが空想癖がありおしゃべりが止まらない性格、正反対の2人だが子供時代からの親友である。建設が終わって明日が公開の晩、建設家が皇帝に頼みごとをして逆鱗に触れたという噂を話し合う。
どんな芝居かわからないけどこの座組みで変なことにはならないだろうと観に行ったらとんでもない。笑える場面もありつつ、現代的かつ普遍的な広い分野のテーマを複数扱って、「スポケーンの左手」もびっくりの舞台効果を駆使して、どうしてこうなったと言いたくなる展開から、美しいラスト。「ことぜん(個と全)」のシリーズにふさわしい内容と、1時間40分の2人芝居でここまでできるのかという仕上がりだった。成河も亀田佳明も言うことなし。
スタッフワークだってレベル高いのに、すべてが役者と展開に集中して、観終わるまで気にならないのが素晴らしい。翻訳もこなれて、公式サイト(こことかここ)によれば役者の意見も聞きながら仕上げたとの事。最近だとKERAが翻訳芝居を上演するときに潤筆として言葉の調整をするのが見事だけど、今回も見事。というか、最近は翻訳のレベルが全体に高い。狙ったわけでもないけどいかにも翻訳、という芝居がない。
話は戻って、脚本の出来が素晴らしい前提で、この色々のどこに演出が関わっているのか、観ただけではさっぱりわからない。わからないけど、やっぱり演出の妙があってこその仕上がりなんだろう。小川絵梨子はやっぱりすごい。
平たい舞台であまり端も使わず、見切れもほとんどないので、時間があるならZ席でいいから観てほしい。
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