観たいものから観る方針
ナウシカの歌舞伎化なんて攻めすぎ、と思っていたら菊之助が怪我して12/8の夜の回が休演になりました。午前の部の終盤で花道から落ちてひじの骨にひびが入ったと。吉右衛門に続いて娘婿まで不運かと思いきや、次の日から復帰していました。日刊スポーツより。
新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」(25日まで、東京・新橋演舞場)の8日昼の部で左ひじの一部を亀裂骨折し、同日夜の部を休演した尾上菊之助(42)は9日、舞台復帰した。
主人公ナウシカを演じる菊之助は、トリウマという2足歩行の大型鳥類のキャラクターから転落し負傷したが、9日は昼夜とも予定通り出演した。昼の部の登場場面では、菊之助は観客の大きな拍手に迎えられた。立ち回りや宙乗りをなくすなど、一部演出を変更したが、菊之助からのコメントやせりふ変更は特になかった。
構想5年の新作歌舞伎で代役も難しかろうし、3日で流せないと根性の出演続行です。
それと並行して、公演期間中に降板になってしまったのが村井國夫です。公式が後で消えそうなのでステージナタリーより。
村井國夫が劇団桟敷童子「獣唄」を降板することが発表された。
これは、村井が軽度の心筋梗塞と診断されたことによるもの。12月3日から東京・すみだパークスタジオ倉にて上演中の劇団桟敷童子「獣唄」は、8日から10日の3ステージを休演し、11日からは配役を変更して上演を再開する。村井の代役は、原口健太郎が担当。公演は12月15日まで。
筆頭クレジットだったので演技に気合が入りすぎたのかもしれませんが、心臓はよくない。年齢も75歳と恒例なのでこれは大事をとるのもしょうがない。養生して復活してほしい。
かと思ったら同じ演出家が演出する来月公演の芝居で三田和代の降板が発表された。これもステージナタリーより。
こまつ座「イヌの仇討」に出演予定だった三田和代が体調不良のため降板し、代役を西山水木が務めることが発表された。
チケットの払い戻しについては、こまつ座の公式サイトで確認を。本作は、井上ひさしが独自の視点で「忠臣蔵」を見つめ直した“忠臣蔵異聞”。2017年に同作を演出した劇団桟敷童子・東憲司により、今回再び上演される。出演者には西山のほか、2017年版にも出演した大谷亮介、彩吹真央、植本純米、石原由宇、大手忍、尾身美詞らが名を連ねている。公演は1月17日から19日まで神奈川・横浜市泉区民文化センター テアトルフォンテ ホールにて。
あまり書くのも失礼だけど御歳77歳で村井國夫より年上。こちらは症状が書かれていないだけ心配度が高い。こちらも養生して復活してほしい。
別に舞台に限らないけど、生ものなだけにどうしてもこういう心配が起きる。しかも台風とか自然現象でも公演中止が起こりうる。何なら自分が体調不良で家で寝ている破目になる。
だから芝居が2本あって、片方がとても観たい場合。とても観たいほうを来週で調整すれば両方観られるような場合でも、とても観たいほうから観て、もう片方は見送るなんてこともある。当日券メインのスタイル、かつ本数をある程度観るようになったが故の悩みと言ってはなんだけど、やっぱり全部は観られない。
なんてことを考えさせられた直後にこんな記事が出るわけです。ステージナタリーより。
「『勝手に演劇大賞2019』第10回記念スペシャルトークイベント」が本日12月8日に東京都内で行われ、中井美穂と徳永京子、そしてゲストのいのうえひでのりと早霧せいなが登壇した。
(中略)
「今年は60から80本観劇できた」と言ういのうえ
(中略)
早霧は、今年観た約10本の中から
(中略)
11月末の時点で300演目を観たと明かし、会場をどよめかせた徳永
(中略)
中井は今年は200本程度の観劇に収まったと言い
中井美穂はたまに芝居のアフタートークで司会をやっていて、どういう縁で呼ばれているのだろうと思っていたけど、何のことはない、見物ジャンキーでした。「収まった」と言っているのでもっと多い年もあるのでしょう。
300本越えはもう評論家とか、言葉通り「観るのが仕事」の人たちの世界ですけど、世の中にはこんな伝説がある。観客発信メディアWL「【鼎談】ハードコア・シアターゴアーの世界」より。2017年3月の記事なので「去年」が2016年を表します。
WL:今日来て頂いた3人の年間観劇数は合計すると1000本を超えています。1000本というのは、千本ノックとか千人針とか『千夜一夜物語』とか、普通は象徴的な数字で「たくさん」の記号的表現なのですね。それがこの3人の1000本は象徴ではなく、実数で1000本です。今回の鼎談を通して、年間300本を超える観劇をしている観客だからこそ見える演劇の風景を語って頂きたいと思います。まず1年間の観劇本数をお聞きしたいのですが?
じべ:去年が360本、2015年が408、14年が379本。2012年には604本見ました。これはちょっとどうかしてましたね(笑)。
WL:年間で604本ですか! これは観劇の金字塔と言える数字ですね。
りいちろ:私はかわいいものですよ、確か去年は326本だったかな。
うめ:私は1日1本超えの366本ということでWLで公表しています。ホントはもうちょっと多いかも。
WL:なるほど3人で1000本、確かに超えていますね。
じべ:ちなみにこれはのべ本数で、同じ作品を3回見た時は3回とカウントしています。
うめ:細かいことなのですが、どう数えるかというのもちょっと問題なんですよね。
じべ:私の数え方は、例えば2つの劇団が2つの演目を一緒にやる、でも公演としては2本立てで3000円だよ、というのなら、1本としています。
WL:つまり劇場の入口に入って、出てくるまでで1本という考えかたですね。そのなかで何本の作品が上演されようと。
じべ:かつてニフティサーブに小劇場好きが集まるフォーラムがありまして、そこで出た説で年間観劇数が200本を超えるとダメ人間というのがありました。
WL:なぜ200本なのですか?
じべ:200本の根拠は、平日に1本も芝居を見なくても、土日祝日にマチ・ソワ(1)で観劇すれば200本ぐらいは見られるわけですね。あるいは逆に、土日祝日は芝居を見なくても、平日の夜、会社帰りに1本見て帰ると年間200本ぐらいは見られる。となると年間200本を超えるようになるともうダメ人間だね、というのがゴアー(2)のあいだでほぼ定説になっていたんですよ。
WL:なるほど、それは説得力がありますね。年間200本だったら芝居から離れて真人間に戻る日が確保できるわけですね。
じべ:そうそう別の趣味が入り込む余地があるわけですよ。
りいちろ:(ここで割り込んで)昔はそうだったんですよね、昔は。(一同・爆笑)
WL:なんですか、昔はというのは?(笑)
りいちろ:だってほら、今は平日多少見なくても、土日の3本回しというのがけっこう可能じゃないですか。作る方もだんだん考えてくれてきていて、朝昼晩というのができるようになっているんですよ。11時、3時、6時とか。そうすると200本ダメ人間というのは昔の話で、今は別に?。
じべ:待って、待って。一日3本見るというのがそもそも変なの(笑)。その時点でもうダメ人間だよ。(一同・爆笑)
WL:真人間との臨界点である年間200本を超えたシアターゴアーは都内でどれくらいいるのでしょうか?
りいちろ:週に複数回劇場で会ってしまうみたいな感じで、確実に200本は超えていると思われる人が10人はいます。
じべ:よく見かけるけれど話はしたことはない人を含めるともっと多いですね。10人どころではないですね。
うめ:演劇をなりわいにしていない方で200本以上見られるかたは、おそらく30人ぐらいはいらっしゃると思います。
りいちろ:でもそれはあくまで私たちが見ている範囲での話ですから。小劇場ではなく、大きな劇場ばかりで見られている方もいるはずですし。ミュージカルや歌舞伎を年間200本とか。あるいはダンスばかりを集中的に見られている方とか。
じべ:われわれ3人の見ているのは小劇場が中心ですが、それでも重ならない部分がありますし。
りいちろ:3人で年間1000本超えといっても、われわれは東京の演劇シーンのごく一部をカバーしているに過ぎません。
604本とかもはや都市伝説の領域なので、50本越えてみたかったとか言っている自分の小ささを思い知らされる。こういう世界があるのを知ると、観る順番とか全部は観られないとか考えること自体が馬鹿馬鹿しくなる。
趣味ではあるけど義務ではなし、やっぱり観たい順番に観ればいい。
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