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2020年1月30日 (木)

新型コロナウィルスが流行して公演中止は起こるか

国内の感染者が見つかって、「国際オリンピック委員会(IOC)が世界保健機関(WHO)と連絡を取り合っている」という話からすわオリンピックが中止か、と思ったら誤報だった、と喧しくなってきました。中国の感染状態を見ていると、本当に流行るならオリンピックより前に流行しそうです。

感染経路は空気感染はなくて飛沫感染するタイプではないかと言われていますが、役者が大声を出すときにつばが飛ぶのが見えたりする芝居はその点の印象が悪い。しかも劇場みたいな閉鎖空間で、空間の狭い小劇場ならなおさら。客席だってマスクをしていても咳やくしゃみをした瞬間に周囲の顰蹙を買いそうな雰囲気です。

このブログでも台風(自然災害)の公演中止やインフルエンザについては何度か取上げました。本当に小規模な公演の場合は1ステージの中止でも死活問題なのですが、これらが原因の公演中止は数日、数ステージの中止で再開されていました。そこに、まさか外出禁止令はないと思いますが、外出自粛令でも出たらどうなるか。あるいはもっとありそうなシナリオとして、新型肺炎にかかった役者がひとりでもいたらどうなるか。

観察期間が14日間と言われているので、2週末10日間くらいまでの規模なら公演直前、小屋入り前くらいに発覚したらアウト、その役者と一緒に稽古していた他の役者や演出家たちも事実上アウトです。代役も立てられませんし、症状や受診結果を隠して出演する役者もいるかもしれませんが、それが発覚したら仕事どころか事務所ともども社会的に干されかねません(これは流行の程度によって左右されるところで、むしろおもいっきり流行して感染者数が一定割合を越えたら一転、同情票が集まる可能性はあります)。

そして丸ごととは言わなくとも、公演期間ほぼ全部が中止になるくらいなら、中途半端に上演せず丸ごと中止にしたほうがいいと制作者の算盤が出ることもありうる。そうなると今度は公演に関係する予定だった役者だけでなくスタッフまで影響が出る。

生舞台復権の可能性も考えられます」なんて昨日書いた筆でこんなことを書きますが、考えるだけならタダなので、関係者は公演中止になる可能性や条件や算盤を、頭の体操のつもりで一度考えてみてはいかがでしょうか。

<2020年2月25日(火)追記>

タイトルの「新型肺炎」を「新型コロナウィルス」に変更。本文も直そうと思いましたけど断念。なお最初に書いたときは新型肺炎という呼び方のほうが通っていたということも記録しておきます。

2020年1月29日 (水)

CG(かもしれない)映画対生舞台

「キャッツ」は長年上演されているのにまだ観に行ったことがありません。ミュージカルと劇団四季と、両方への偏見が理由です。そうしたら映画の「CATS」が公開されて、舞台も観ていないのに映画版を観てたまるか、と思っていたらこちらは不評の嵐。不評すぎてむしろ気になってくるほどです。

で、面白い感想を見つけたので紹介です。なお引用元ブログにはネタばれがあるので気になる人はご注意を。

ただ重要なことは、欧米の人たちはそういうツッコミを「もちろん『CATS』という物語そのものは最高なのだが」という前提のもとにやっているのではないかということである。あの人たちはたぶん、CATSがどういう話なのかを知っている。僕らが「ドラえもん」のストーリーを知っているように。これはいわば日本における鋼の錬金術師やジョジョのような「人気漫画の実写化」の時に起きた現象に近いのではないかと思う。
(中略)
もちろん、跡形もないほどに原作をアレしてしまって、原作を知らない一般人が見てもつまらないというケースはある。でも少なくとも、この映画『CATS』は、舞台の本質的なところ、魂みたいなものはちゃんと受け継いで映画になっていると思う。
(中略)
もっと言えば「CGの普及によって、映画はむしろ舞台にかなわなくなった」という興味深いジレンマも感じた。例えば劇中で猫たちが見事なタップダンスを披露するシーンがある。一糸乱れぬ見事なパフォーマンスで、これを舞台で生で見たなら拍手喝采だろう。ただ映画の観客はもはや不幸なことに「これCGや編集でいくらでも後から綺麗に揃えられるよね」と心の中で思ってしまう。実際にそうである。たとえそのタップダンスが加工なしの本物だとしても、生の舞台で目の前で見たら感動するものに、映画の観客は感動できなくなっている。それがCGという万能の魔法が「万能の代償として感動を奪い去る」という形で映画から奪っていったものなのだろう。まるで良く出来たおとぎ話の苦い結末のように。

観客は作り手のエネルギーに反応するところがあって、その時代の粋を尽くしたものには反応してしまいます。今でも楽しめる昔の映画は、やっぱりある種のエネルギーが詰まっています。技術もそのエネルギーが欲する表現を実現するための手段のはずなのに、それが進化した挙句に「万能の代償として感動を奪い去る」ように作用するのだとしたら、やっぱり皮肉です。

そして見方を変えると、生舞台復権の可能性も考えられます。モノよりコトと言われてはや数年、原則同時には1箇所でしか上演できない、生身の人間が演ずるがゆえに表現にも制限がある、だけど生身の人間が同じ場所で演ずるがゆえのエネルギーや、制限が刺激する想像力が、映画を越えると広く認知される日が来るかもしれません。

ま、適当なんですけど。

トライストーン・エンタテイメント/トライストーン・パブリッシング主催「少女仮面」シアタートラム(若干ネタばれあり)

<2020年1月28日(火)夜>

宝塚にあこがれる少女と老婆は、宝塚の元スターが経営する地下にある喫茶店「肉体」をたずねる。おかしな客とおかしな店員にあしらわれながら、どうしても会いたいと懇願する少女を元スターは見初める。そこから繰広げられる「嵐が丘」の一節は演技指導か幻か。

唐十郎の1969年初演の岸田國士戯曲賞。女が男を演じる宝塚のお約束や、腹話術師と人形の主従関係といった「見て見ぬ振り」から、敗戦の焼け跡の記憶を「見て見ぬ振り」して地下鉄工事が進む世相を一刀両断させ、そこから満州まで話を飛ばす飛躍力はさすが元祖小劇場の唐十郎。適当なようではっとさせる台詞がたくさんあって、アングラと片付けられない説得力があるのはさすが受賞作。水道水を求める喫茶店の来店者の台詞を聞くと、野田秀樹の「パンドラの鐘」はこれが元ネタだったのではないかと思わされる。

この時代にこの脚本を選んだのは慧眼だけど、アングラ要素の多い脚本をそのまま演出してもつらいだろうし、かといって現代的に演出しすぎると脚本が死ぬ。結構頑張っていたけど、肉体と幻のほうに力点が置かれていた模様。あと、オリジナルはもっと猥雑だったであろうところ、ずいぶん上品に演出したなという感想。劇場がシアタートラムで上品さに輪が掛かったたのが惜しい。

伝説の宝塚の元スターに若村麻由美をキャスティングしたのが実にはまった1本。やけにそれっぽいので、真面目なのか笑うところなのか微妙に迷うところが「見て見ぬ振り」の脚本にはまる。もったいなかったのは腹話術師と人形を演じた武谷公雄と森田真和のパートが妙に上手なため独立したパートのように見えてしまったことで、もう少し本編に寄っていたらよかった。

ずいぶん台詞が多かったけど、これで1時間40分なのだから、昨今の長時間芝居の人たちは見習ってほしい。

2020年1月22日 (水)

2019-2020年冬もインフルエンザで公演中止発生

目に付いたもので今シーズン第一号は神奈川芸術劇場の「アルトゥロ・ウイの興隆」でした。とりあえず1月22日-23日の2日間3ステージで公演中止です。当日券が当日券専用ダイヤルの発売になるほどチケット販売が絶好調だったようで、しかも3時間5分と長丁場の公演で夜に追加公演も難しかったのか、振替公演なしの払戻です。なおこの間も劇場に行けばパンフレットは買えるそうです。どのくらい売れるのか。

2017-2018シーズン2018-2019シーズンのメモもリンクを載せておきます。

2020年1月16日 (木)

消防署の指導で庭劇団ペニノの東京公演が中止

公式サイトより。

先日、一般販売を延期とさせていただいた『蛸入道 忘却ノ儀』のシアタートラムでの公演に関しまして、中止とせざるをえなくなったことをご報告いたします。直前の段階での発表となってしまったこと、大変申し訳ありません。
本公演につきましては、舞台美術に関して世田谷区の消防署からの指導があり、劇場とともに調整を続けておりましたため、一般発売を延期とさせていただいておりましたが、最終的にこちらの希望の条件では上演許可がおりませんでした。苦渋の決断ではありますが、不完全な状態の作品を観客の皆様にお見せすることはできないと判断し、東京公演の中止を決めました。
今作は再演であるため、2018年夏に公演が決まった段階では当然、問題はありませんでした。ただ、そこから時間が経過し状況が変わり、2019年12月の段階で、現状の舞台美術では上演不可という第一報が届きました。そこから交渉を続け様々な代替案の提案を続けましたが、最終的に現状の舞台美術を維持したままでシアタートラムでの上演の許可を得ることはできませんでした。
すでに先行予約をいただいている方々をはじめ、シアタートラムでの公演を楽しみにされていた方々、関係者の方々にはご迷惑をおかけし、大変申し訳ありません。先行予約いただいた皆様には、全額返金いたします。

なお、福岡と三重での公演は予定通り行います。
また近い将来、東京で再演できるように劇場を探していく所存です。

タニノクロウ

「そこから時間が経過し状況が変わり」とは何を指しているのでしょうか。消防法には詳しくありませんが、他の劇場では公演できるようなので消防法改定されたという理由ではないはずです。

検索して見つけたネタばれサイトでは「舞台中央に設置された護摩壇には火が付き、部屋はどんどん暑くなる」とあったので、放火事件があったから本火を使う演出の条件が厳しくなったとか、そういう理由が推測されます。

前回見逃していたから観たかったけれど、残念。

2020年1月14日 (火)

客層把握に特化して参考にしたくなる□字ックのアンケート

芝居ごとにもらうチラシ束のトップにはたいていアンケートが挟まっていて、書いてほしいだろう上演側の心中は察しても書いていません。芝居を観始めたころは頻繁にアンケートに書いていましたけど、感想をWebに投稿するようになり、さらにブログを書くようになってからはチラシは読んでもアンケートは無視していました。

そこから話は進んで、去年観た□字ックの公演「掬う」。私の感想はいまいちでしたけど、家でチラシを読んだときのアンケート用紙が、何か雰囲気が違ってたまたま手に取ったところ、今まで読んだアンケートと明らかに内容が違いました。選択肢は省略して設問だけ以下に載せます。

・□字ックの公演をご覧になったことはありますか?
・本日の公演はいかがでしたか?
・本日の公演を何によってお知りになりましたか。(複数回答可)
・ご来場いただいた理由を教えてください。(複数回答可)
・チケットはどちらで入手されましたか。
・チケット購入から公演までで困ったことはありましたか。(複数回答可)
・性別
・年代
・所属
・本日はどなたとお越しになりましたか。
・何人でお越しになりましたか。
・ご自宅(出発地)から会場まで、どのくらいの時間がかかりましたか。
・1年間で平均どれくらい舞台(公演)をご覧になりますか。
・ご意見、ご感想などをお書きください。(これだけ自由記述)
・□字ックからDMは届いていますか?
・ごんご、公演案内は希望されますか?
・□字ックでは月1回メールマガジンを配信しています。こちらの配信を希望されますか?
・案内を希望される方は書きにご記入ください。(すでに正しく届いている方はお名前のみでも結構です)

ご協力ありがとうございました。
頂いた個人情報につきましては公演案内の発送及び、今後の演目決定の参考など個人を特定できない統計データ目的以外には使用致しません。

よく見かける設問もありますが、見かけない質問が目立ちます。公演情報を知った先を訊くことはあっても、チケットの入手先や困りごとまで訊くことは普通はありません。これは販売施策に関係してくる情報です。同伴者情報は演目決めから座席販売方法まで広く関わりますし、会場までの時間は公演時間や上演時間の決定に関わります。回答者が一般人なのかマニアなのかを判別するために1年間に観る公演数を聞くのもしっかりしています。最後に統計データ目的を記載している抜かりのなさを考えると、ひょっとしてアンケートやマーケティングが本職の人が関わっているかもしれません。何より、芝居の感想を訊く欄がほとんどないのがすごいです。

目的があってこういう情報を集めたいという意識を持ちアンケートが作れる制作者と、それを受けて脚本や演出や上演時間の調整相談に応じられる主催者との関係があってのアンケートだと感じます。□字ックは10周年記念公演でしたが、だてに10年続いていないことがわかります。

このアンケートを読んで、他はどうかとしばらくアンケート用紙を集めていたのですが、他と違っていたのが神奈川芸術劇場です。これは「常陸坊海尊」のときにもらったものです。

問1 本日の公演についてうかがいます。
(1)本日の公演はいかがでしたか?
(2)個の公演をお選びになった理由は何ですか?
(3)本日の公演について、どのようにしてお知りになりましたか?(○をお付けください。複数回答可)
(4)*ご来場に当たり、KAATのホームページをご覧になった方におたずねします。ホームページの情報は、わかりやすいですか。
(5)公演のご感想をお願いします。(これは自由記述)

問2 お客様についてうかがいます。
(1)お客様の性別
(2)お客様の年齢
(3)お客様のお住まい(例:横浜市西区)
(4)芸術劇場への来場回数
(5)本日はどのようにして会場においでになりましたか?
(6)お客様のご職業
(7)お好きな芸術のジャンルはなんですか。(3つまでお選びください)
(8)今後の公演企画、出演者に関するご要望がございましたら、ご自由にお書きください。(これは自由記述)

問3 本日の公演鑑賞の前後についてうかがいます。(複数回答可)
(1)本日の公演鑑賞の前後をどのように過ごされましたか(過ごされますか)
(2)どの地域で過ごされましたか(過ごされますか)
(3)あったら良いと思うホール近隣情報はどのようなものですか。

問4 神奈川芸術劇場の運営や管理についてうかがいます。
(1)施設の運営や管理についての全体的な印象についてお聞かせください。
(2)入場時や場内案内スタッフの対応及び案内の対応は適切でしたか。
(3)芸術劇場の施設、サービス面についてなど、何かお気づきの点がございましたら、お書きください。(これは自由記述)

問5 神奈川県では、文化芸術の魅力で人を引きつけ、地域のにぎわいを作りだす、マグネット・カルチャー、略して「マグカル」の取り組みを推進しています。
(1)「マグカル」という言葉を知っていましたか。
(2)神奈川県の文化芸術情報を発信するポータルサイト「マグカル・ドット・ネット」を知っていますか。

今後、(公財)神奈川芸術文化財団からのご案内をお送りしてもよろしいでしょうか。
よろしければ下欄にご記入ください。

ご記入いただいた個人情報は上記目的以外には使用いたしません。

芝居の感想を訊く設問もそれなりにありますが、ホームページの感想だったり、会場への来場方法だったり、前後の過ごしかただったり、施設やスタッフだったり、芝居以外の設問のほうが多いです。

ただ、記載内容をよく読むと、表記の揺れが目に付きます。劇場のことだけでも「KAAT」「会場」「ホール」「神奈川芸術劇場」「芸術劇場」と5種類です。最初は独自性の高い設問で、客から観た劇場認識を知りたいのかと思いましたが、どうも訊きたい内容がよくばりなだけでなく一貫性がありません。そのつもりで眺めなおすと、異なる部署のアンケート、それも劇場の各部門に加えて、横浜市の関係部署の分まで単純合体させたのではないかと疑われます。

それでも、劇場を借りて上演する劇団ではあまり気にしない内容で、劇場ならではの設問が多いです。特に、東京から時間がかかるため集客に苦戦気味の神奈川芸術劇場としては、来場交通手段を調べたり、観光スポットに近いことを生かして周辺と連携することは、重要な戦略のひとつなので、これは質問を続けてぜひ集客につなげてほしいです。新芸術監督になる長塚圭史が、ここら辺の設問と情報を整備して集客戦略を立てることを期待します。

ちなみに、ホームページのわかりやすさが設問にありますが、神奈川芸術劇場のホームページは、公演ページに上演予定時間や当日券情報を載せるだけでなく、複数会場を持つ劇場の公演カレンダーとしては一番見やすく、公演中止時の情報発表の早さ、丁寧さでも以前から優れた情報掲載をしている点で非常に好感度が高いです。Twitterも実用的な情報を多数載せています。さらにアンケート自体も、劇場でQRコードを配って後でも書けるようなトライアルもしています。この親切さと挑戦精神でよりよい情報提供につなげてほしいです。

他のアンケートについては、劇団公演だと芝居の感想に偏るものが多いのですが、劇場アンケートとしてちょっとひどいなと思ったのは新国立劇場のアンケートです。設問の最初で公演名を客に記載させています。アンケート用紙を演劇、バレエ、オペラで共通にしているためだと推測されますが、アンケートを回収した場所で公演名は自動的に決まるので、こんな余分なアクションを観客に要求したらアンケートの回収率が下がるだろうと他人事ながら心配になります。

さらに、裏面が新国立劇場友の会の申込用紙も兼ねており、劇場で直接申込む場合は劇場インフォメーションカウンターに持込むことになるので、これもアンケートの回収率が下がるのではないかと推測されます(QRコードが印刷されていて、そこから申込みできるようにもなっています)。よく見かけるアンケートのDM送付希望欄みたいなものだと思えなくもないのですが、これはどのくらい効果のあるやり方なのでしょう。本気でアンケート回収と友の会を募集するなら、コピー代が倍になるとしても別々の用紙にしたほうがいいのではないでしょうか。案外機能している可能性も否定できませんが、小川絵梨子を含む芸術監督陣3人も納得のアンケートなのでしょうか。知りたいです。

なお、新国立劇場では設問に「普段、どのような公演をご覧になりますか。○はいくつでもお付けください」とあって、「1 オペラ、2 クラシックコンサート、3 バレエ、4 ダンス、5 ミュージカル、6 演劇、7 伝統芸能(歌舞伎等)」と7項目を挙げているのですが、神奈川芸術劇場だと「お好きな芸術のジャンルはなんですか。(3つまでお選びください)」という設問に「1 演劇、2 ミュージカル、3 能・狂言・文楽・歌舞伎、4 その他伝統芸能/演芸、5 映画/映像、6 ワークショップ、7 講演/講座、8 バレエ、9 現代ダンス、10 その他舞踏全般、11 オーケストラ、12 室内楽、13 声楽、14 オペラ、15 パイプオルガン、16 吹奏楽、17 その他クラシック、18 現代音楽、19 ワールドミュージック、20 ポップス/ジャズ、21 演歌その他、22 絵画/版画/書/写真、23 彫刻/工芸、24 現代美術、25 その他展示、26 その他」と26項目なります。音楽や展示モノまで聞いているのはよいのですが、細分化すればいいってものでもないだろうとは思います。ポップスとジャズが合体するのかと驚きました。横浜だからジャズをやりたい、だけど真面目にアンケートしたら落とされる、という担当者の苦肉の策でしょうか。

もともとアンケートで何を訊くかは難しく、設問の仕方を変えると回答も変わるというやっかいな性質を持っているものです。観客も自分の情報より今観た芝居の感想を伝えたくてアンケートを書く人が一定数いるはずなので、設問を工夫したからと言って期待する情報を書いてもらえるかどうかの保証はありません。それでも制作関係者におかれては、多数の公演のアンケートを参考にしつつ、自分たちが知りたい情報を訊くためにどのようなアンケートがよいのか、再考してみてはいかがでしょうか。客席だけで単体アンケートを取るTriglavのような例もあります。

Triglav「ハツカネズミと人間」神奈川県立青少年センタースタジオHIKARI

<2020年1月12日(日)夕>

大恐慌時代のアメリカ。農場で働くジョージとレニーだが、力は強くとも頭が弱いレニーが起こす問題で前に働いていた農場から逃げて、新しい農場にやってきた。幸い農場の社長には受入れられ、荷運び頭からも目を掛けられたが、社長の息子には絡まれ、その新妻は相手構わず色目を使っていつ問題を起こすか周囲を危ぶませる。自分たちの農場を持って独立するのが夢でも資金のないジョージとレニーだったが、事故で手を切落としたため仕事がままならない老人のキャンディが貯金をはたいて一口乗るという。少しだけ働けばもらった給金で夢がかなうと張り切る3人だったが・・・。

まったくノーマークだったけどマニアたちが興奮していたので予定を変更して千秋楽を見物。農場を渡り歩く生活の厳しさ、白人と黒人との間にある差別、農業生活と都会生活との差。老いて耄碌した犬を臭い、役に立たないからと平気で殺す場面(これは後に効いてくる場面でもある)や、勝手に話をするレニーを相手に話を続ける登場人物たちの行動は、希望やコミュニケーションが足りない現代の世相に通じるところがある。大恐慌時代ということは1930年代が舞台だけど、100年前の殺伐さに、100年経っても変わらないどころか悪化しているのではないかと疑われる人間の悩みが織り交ぜられた、超硬派な脚本。ついでに書くと松尾スズキの「母を逃がす」の元ネタかもと想像してしまう。

その脚本がよく伝わってくるところまで仕上がっていたけど、役者によってややムラがあった。そんな中で、頭が弱いけどその中で何らかの判断基準を持っていることを実に絶妙な線で演じて伝えたレニー役は素晴らしかった。こちらによれば内藤栄一であっているかな。全体に、演じられている場面はおおむねいいのだけど、過去にいろいろあった設定の登場人物が多いので、そこがもう少し反映されているとなおよかった。粗探しではなくて、一定以上の水準で上演されていたため、逆に脚本の手ごわさが伝わってしまったという痛し痒しな結果。稽古すればするだけ良くなりそうな雰囲気を感じた座組だったので惜しい。

小動物は布を丸めてあらわし、ほぼ平台と箱馬の置き換えだけで進める場面転換は見事だったし、場面転換以外は効果音だけ使ってBGMを流さなかったのも好感。客席は3方向を囲んだコの字形の自由席で、自分はとても観やすい席だったけど、観やすすぎたので、他の席がどうだったかは気になる。たぶん外れ席があった。

そのコの字形客席について、劇団アンケートとは別紙でアンケートが用意されるという珍しいケースだったので、せっかくだから書いておく。

(1)劇場に入った第一印象はいかがでしたか?
どこに座ろうか迷った。

(2)「その席」を選んだ理由を教えてください。
観やすい席を推測して選んだけど、選んだ理由は企業秘密。

(3)「その席」から演者のほかに、観客も視界に入ることについてお聞きします。該当する番号に○をつけてください。また、理由なども記して頂け得ましたらと思います。
特に気にならなかった。演者に集中できれば観客は気にならない。なお囲み舞台は好き。

(4)「劇場空間の客席設定」全体について、改善すべき点、気がついた点などありましたら自由に記述してください。
一列が長い割に足元が狭いので、客入れ最後に真ん中の席に座ってもらうために客席案内担当が椅子を抜いて客に後ろから入ってもらっていた。上手下手の客席は中央に通路を取ったほうがよかったのではないか。あと階段の段差がもっとわかるように太い明るい色のテープを貼っておいてもらえると助かる。

(5)ご自身が坐られた席以外で気になる席ありましたら、気になる理由と共にお知らせください。
最前列にベンチシートがあったけど、椅子でそろえてほしい。どんなにいいクッションが用意されていたとしても、ベンチシート、かつ今回は座面が低いので、それだけで腰の痛さを想像して坐りたくない。

最後に制作陣に注文。ひとつ目、当日パンフには役者名だけでなく役名も併記してほしい。役名と役者名の関連がわからない当日パンフは価値半減。役名を載せることでネタばれになるのを避けるならわかるけど、今回の芝居ならネタばれの心配はなかったはず。ふたつ目、当日券の販売情報をWebのどこかに載せてほしい。本家サイトとTwitterを調べたけれど、価格は載っていても販売時間がいつかは見つからなかった。何分前に販売という情報と、枚数の余裕の両方を載せてもらえると助かる。今時は、ホームページにはTwitterに掲載の旨を書いておいて、Twitterで毎朝更新する方法が多い。みっつ目。上演時間の目安を載せてほしい。初日前に見込みで1回、初日終了時点で見込み時間に変更があったら更新、が望ましい。昨今は3時間越えの芝居も多々あり、終わった後の予定を事前に立てるのに必要。

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