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2020年1月14日 (火)

客層把握に特化して参考にしたくなる□字ックのアンケート

芝居ごとにもらうチラシ束のトップにはたいていアンケートが挟まっていて、書いてほしいだろう上演側の心中は察しても書いていません。芝居を観始めたころは頻繁にアンケートに書いていましたけど、感想をWebに投稿するようになり、さらにブログを書くようになってからはチラシは読んでもアンケートは無視していました。

そこから話は進んで、去年観た□字ックの公演「掬う」。私の感想はいまいちでしたけど、家でチラシを読んだときのアンケート用紙が、何か雰囲気が違ってたまたま手に取ったところ、今まで読んだアンケートと明らかに内容が違いました。選択肢は省略して設問だけ以下に載せます。

・□字ックの公演をご覧になったことはありますか?
・本日の公演はいかがでしたか?
・本日の公演を何によってお知りになりましたか。(複数回答可)
・ご来場いただいた理由を教えてください。(複数回答可)
・チケットはどちらで入手されましたか。
・チケット購入から公演までで困ったことはありましたか。(複数回答可)
・性別
・年代
・所属
・本日はどなたとお越しになりましたか。
・何人でお越しになりましたか。
・ご自宅(出発地)から会場まで、どのくらいの時間がかかりましたか。
・1年間で平均どれくらい舞台(公演)をご覧になりますか。
・ご意見、ご感想などをお書きください。(これだけ自由記述)
・□字ックからDMは届いていますか?
・ごんご、公演案内は希望されますか?
・□字ックでは月1回メールマガジンを配信しています。こちらの配信を希望されますか?
・案内を希望される方は書きにご記入ください。(すでに正しく届いている方はお名前のみでも結構です)

ご協力ありがとうございました。
頂いた個人情報につきましては公演案内の発送及び、今後の演目決定の参考など個人を特定できない統計データ目的以外には使用致しません。

よく見かける設問もありますが、見かけない質問が目立ちます。公演情報を知った先を訊くことはあっても、チケットの入手先や困りごとまで訊くことは普通はありません。これは販売施策に関係してくる情報です。同伴者情報は演目決めから座席販売方法まで広く関わりますし、会場までの時間は公演時間や上演時間の決定に関わります。回答者が一般人なのかマニアなのかを判別するために1年間に観る公演数を聞くのもしっかりしています。最後に統計データ目的を記載している抜かりのなさを考えると、ひょっとしてアンケートやマーケティングが本職の人が関わっているかもしれません。何より、芝居の感想を訊く欄がほとんどないのがすごいです。

目的があってこういう情報を集めたいという意識を持ちアンケートが作れる制作者と、それを受けて脚本や演出や上演時間の調整相談に応じられる主催者との関係があってのアンケートだと感じます。□字ックは10周年記念公演でしたが、だてに10年続いていないことがわかります。

このアンケートを読んで、他はどうかとしばらくアンケート用紙を集めていたのですが、他と違っていたのが神奈川芸術劇場です。これは「常陸坊海尊」のときにもらったものです。

問1 本日の公演についてうかがいます。
(1)本日の公演はいかがでしたか?
(2)個の公演をお選びになった理由は何ですか?
(3)本日の公演について、どのようにしてお知りになりましたか?(○をお付けください。複数回答可)
(4)*ご来場に当たり、KAATのホームページをご覧になった方におたずねします。ホームページの情報は、わかりやすいですか。
(5)公演のご感想をお願いします。(これは自由記述)

問2 お客様についてうかがいます。
(1)お客様の性別
(2)お客様の年齢
(3)お客様のお住まい(例:横浜市西区)
(4)芸術劇場への来場回数
(5)本日はどのようにして会場においでになりましたか?
(6)お客様のご職業
(7)お好きな芸術のジャンルはなんですか。(3つまでお選びください)
(8)今後の公演企画、出演者に関するご要望がございましたら、ご自由にお書きください。(これは自由記述)

問3 本日の公演鑑賞の前後についてうかがいます。(複数回答可)
(1)本日の公演鑑賞の前後をどのように過ごされましたか(過ごされますか)
(2)どの地域で過ごされましたか(過ごされますか)
(3)あったら良いと思うホール近隣情報はどのようなものですか。

問4 神奈川芸術劇場の運営や管理についてうかがいます。
(1)施設の運営や管理についての全体的な印象についてお聞かせください。
(2)入場時や場内案内スタッフの対応及び案内の対応は適切でしたか。
(3)芸術劇場の施設、サービス面についてなど、何かお気づきの点がございましたら、お書きください。(これは自由記述)

問5 神奈川県では、文化芸術の魅力で人を引きつけ、地域のにぎわいを作りだす、マグネット・カルチャー、略して「マグカル」の取り組みを推進しています。
(1)「マグカル」という言葉を知っていましたか。
(2)神奈川県の文化芸術情報を発信するポータルサイト「マグカル・ドット・ネット」を知っていますか。

今後、(公財)神奈川芸術文化財団からのご案内をお送りしてもよろしいでしょうか。
よろしければ下欄にご記入ください。

ご記入いただいた個人情報は上記目的以外には使用いたしません。

芝居の感想を訊く設問もそれなりにありますが、ホームページの感想だったり、会場への来場方法だったり、前後の過ごしかただったり、施設やスタッフだったり、芝居以外の設問のほうが多いです。

ただ、記載内容をよく読むと、表記の揺れが目に付きます。劇場のことだけでも「KAAT」「会場」「ホール」「神奈川芸術劇場」「芸術劇場」と5種類です。最初は独自性の高い設問で、客から観た劇場認識を知りたいのかと思いましたが、どうも訊きたい内容がよくばりなだけでなく一貫性がありません。そのつもりで眺めなおすと、異なる部署のアンケート、それも劇場の各部門に加えて、横浜市の関係部署の分まで単純合体させたのではないかと疑われます。

それでも、劇場を借りて上演する劇団ではあまり気にしない内容で、劇場ならではの設問が多いです。特に、東京から時間がかかるため集客に苦戦気味の神奈川芸術劇場としては、来場交通手段を調べたり、観光スポットに近いことを生かして周辺と連携することは、重要な戦略のひとつなので、これは質問を続けてぜひ集客につなげてほしいです。新芸術監督になる長塚圭史が、ここら辺の設問と情報を整備して集客戦略を立てることを期待します。

ちなみに、ホームページのわかりやすさが設問にありますが、神奈川芸術劇場のホームページは、公演ページに上演予定時間や当日券情報を載せるだけでなく、複数会場を持つ劇場の公演カレンダーとしては一番見やすく、公演中止時の情報発表の早さ、丁寧さでも以前から優れた情報掲載をしている点で非常に好感度が高いです。Twitterも実用的な情報を多数載せています。さらにアンケート自体も、劇場でQRコードを配って後でも書けるようなトライアルもしています。この親切さと挑戦精神でよりよい情報提供につなげてほしいです。

他のアンケートについては、劇団公演だと芝居の感想に偏るものが多いのですが、劇場アンケートとしてちょっとひどいなと思ったのは新国立劇場のアンケートです。設問の最初で公演名を客に記載させています。アンケート用紙を演劇、バレエ、オペラで共通にしているためだと推測されますが、アンケートを回収した場所で公演名は自動的に決まるので、こんな余分なアクションを観客に要求したらアンケートの回収率が下がるだろうと他人事ながら心配になります。

さらに、裏面が新国立劇場友の会の申込用紙も兼ねており、劇場で直接申込む場合は劇場インフォメーションカウンターに持込むことになるので、これもアンケートの回収率が下がるのではないかと推測されます(QRコードが印刷されていて、そこから申込みできるようにもなっています)。よく見かけるアンケートのDM送付希望欄みたいなものだと思えなくもないのですが、これはどのくらい効果のあるやり方なのでしょう。本気でアンケート回収と友の会を募集するなら、コピー代が倍になるとしても別々の用紙にしたほうがいいのではないでしょうか。案外機能している可能性も否定できませんが、小川絵梨子を含む芸術監督陣3人も納得のアンケートなのでしょうか。知りたいです。

なお、新国立劇場では設問に「普段、どのような公演をご覧になりますか。○はいくつでもお付けください」とあって、「1 オペラ、2 クラシックコンサート、3 バレエ、4 ダンス、5 ミュージカル、6 演劇、7 伝統芸能(歌舞伎等)」と7項目を挙げているのですが、神奈川芸術劇場だと「お好きな芸術のジャンルはなんですか。(3つまでお選びください)」という設問に「1 演劇、2 ミュージカル、3 能・狂言・文楽・歌舞伎、4 その他伝統芸能/演芸、5 映画/映像、6 ワークショップ、7 講演/講座、8 バレエ、9 現代ダンス、10 その他舞踏全般、11 オーケストラ、12 室内楽、13 声楽、14 オペラ、15 パイプオルガン、16 吹奏楽、17 その他クラシック、18 現代音楽、19 ワールドミュージック、20 ポップス/ジャズ、21 演歌その他、22 絵画/版画/書/写真、23 彫刻/工芸、24 現代美術、25 その他展示、26 その他」と26項目なります。音楽や展示モノまで聞いているのはよいのですが、細分化すればいいってものでもないだろうとは思います。ポップスとジャズが合体するのかと驚きました。横浜だからジャズをやりたい、だけど真面目にアンケートしたら落とされる、という担当者の苦肉の策でしょうか。

もともとアンケートで何を訊くかは難しく、設問の仕方を変えると回答も変わるというやっかいな性質を持っているものです。観客も自分の情報より今観た芝居の感想を伝えたくてアンケートを書く人が一定数いるはずなので、設問を工夫したからと言って期待する情報を書いてもらえるかどうかの保証はありません。それでも制作関係者におかれては、多数の公演のアンケートを参考にしつつ、自分たちが知りたい情報を訊くためにどのようなアンケートがよいのか、再考してみてはいかがでしょうか。客席だけで単体アンケートを取るTriglavのような例もあります。

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