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2020年2月29日 (土)

新型コロナウィルスに対する相反する劇場のステートメント2つ

それにしても今回の新型コロナウィルスは、情報が出てくるほどに感心してしまいます。こういっては何ですが「タフ(プラスチックのような場所でも2時間程度長生き)で有能(必ず発症するとは限らず発症する場合も数日から2週間以上まで幅があることや、微妙な数値の致死率など、なかなか人間側に諦めがつかない)で粘り強い(一度直ったと思っても微量な残存菌で再発する)」と三拍子揃っています。これが天然自然の産物なら神様もよほど人間が嫌いになったとみえる。

大金の動いている商業演劇のほうが上演か中止かの判断に迷うかと思いましたが、総理大臣「要請」が出た後の動きは早かった。劇場が自前なので続行か中止かの判断指揮権が明確であり、中止する金銭的体力もあり、まさかの感染源になった場合の信用もあり、出演者も観客も年齢層が高めであり、これ以上無理するほうが損となったら中止一直線です。

国公立劇場も、すくなくとも主催公演については判断が早かった。総理大臣と東京都知事が「要請」したらさすがに対応しないといけない。そして、貸館公演については、大きいところは結構粘り強くサポートしています。「要請」だけでは断る理由として不十分なのか、関係者の努力の賜物かは外部からは不明ですが、関係者の努力は何がしか寄与しているのは間違いありません。ざっと挙げておきます。

・東京芸術劇場は、Pカンパニー「京河原町四条上ル近江屋二階」3月4日から3月8日を上演予定、KARAS「三つ折りの夜」3月6日から3月8日については特に公演中止の予定なし。(2020年3月5日追記:KARAS「三つ折りの夜」の公演延期が発表されました)

・世田谷パブリックシアターは、関かおりPUNCTUMUN「むくめく む」2月28日から3月1日をポストトーク中止して上演中、鈴木ユキオプロジェクト「人生を紡ぐように 時の流れを刻むように」3月6日から3月8日も上演予定。

・神奈川芸術劇場は、カンパニーデラシネラ「どこまでも世界」2月27日から3月1日を上演中、OrganWorks「HOMO」3月6日から3月8日は客席数3分の2に縮小、開場時間30分前から15分前に変更、トーク企画中止など「イベントの規模縮小」対策をして上演予定。

・さいたま芸術劇場は、劇団た組「誰にも知られず死ぬ朝」2月22日から3月1日を上演中、オフィス上の空プロデュース「共骨」3月7日から3月15日は特に公演中止の予定なし。

・国立劇場は、吉本興業企画制作「桂文珍 国立劇場20日間独演会」前半の2月28日から3月8日は上演中。(2020年3月4日追記:3月5日から3月8日の4公演を3月19日から3月23日に振替(順番どおりではない振替なので注意)、払戻も受付が発表されました)

・新国立劇場はちょうどよい芝居がない状態。ただしここはフジテレビ企画制作「脳内ポイズンベリー」が3月14日から3月29日までなので、テレビ局系の芝居としてどう判断をするのかちょっと注目しています。

・座・高円寺は、東京戯園館「飴玉☆爆弾」3月4日から3月8日、OFFICE SHIKA PRODUCE「罪男と罰男」3月11日から3月15日、どちらも特に公演中止の予定なし。(2020年3月5日追記:2つの芝居は変更なしですが、座・高円寺2で上演予定だった1日限りのイベントはほぼ中止になっていました)

・三鷹市芸術文化センターは、芝居はありませんが、3月1日のオーケストラ公演など上演予定です。

・吉祥寺シアターは、施設閉鎖のために貸館公演主催者と調整中で、結果は未定です。(2020年3月4日追記:コマエンジェル「未沙_Missa_」3月7日から3月8日までは公演中止が決定、MONO「その鉄塔に男たちはいるという+」3月13日から3月22日までは3月3日時点でも協議中)(2020年3月5日追記:MONOは当初予定通りに劇場開館時間を制限して当初予定通り公演実施が発表されました)

他に本多劇場グループや紀伊国屋ホール/サザンシアターTAKASHIMAYAなども、今のところ貸館の主催者次第、という対応です。(2020年3月4日追記:紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAでこまつ座「きらめく星座」が3月5日から3月15日までのうち3月5日から3月8日まで一部公演中止を発表しました)

こうなってくると、身動きの取りづらいのが小劇場です。そんな中、2つの劇場の関係者からそれぞれ意思表明が出されました。それが正反対だったので両方紹介します。

最初は大阪のインディペンデントシアター。2月28日付の「新型コロナウィルスの感染拡大防止について」から引用。こちらは公演続行の立場です。リンク先でぜひ全文ご一読を。

新型コロナウィルスの感染拡大防止に関連して、政府要請によるイベントや公演の中止、公立学校の休校など状況が動いていますが、インディペンデントシアターは民間劇場であり、主催者(利用者)の求めに応じて劇場と付随するサービスを提供するのが使命であり商いですので、劇場の運営を継続いたします。

当劇場に出入りした人に感染が見つかった場合や、現在政府から出ている曖昧な自粛要請レベルではなく、法的根拠のある明確な催事の中止命令などが出されない限りは、劇場自体を閉鎖する事はありません。これは、今回のコロナウイルスに限らず、台風等の自然災害時でも基本的に同様の方針です。

各公演の開催に関しては、それぞれの主催者と個別に相談対処してまいります。
主催者が、公演の開催に不安・危険を感じ中止・劇場使用をキャンセルしたいという希望には個別にご相談に応じます。
劇場の見解としては、感染予防の対策を取ったうえでの公演は実施可能と考えております。
(中略)
なお、この方針はあくまで現在の状況において決定したものです。今後の事態の推移によっては変更する可能性もあることを予めご了承下さい。

インディペンデントシアター劇場プロデューサー 相内唯史

非常に力強い言葉です。普段から方針が決まっているうえで、公演可能を判断するための情報も集め続けているのでしょう。

もうひとつは東京の花まる学習会王子小劇場。2月29日付の「佐藤佐吉演劇祭2020 参加作品 上演中止のお知らせ」から引用。こちらもリンク先でぜひ全文ご一読を。

以下は、参加団体ではなく私たち演劇祭実行委員会ならびに劇場職員としての声明です。
(中略)
27日(木)夜の時点までは、新型コロナウイルスに関するニュースを追いながらも、参加団体に上演の意思があり座組内に体調不良者が出るなどの事情がない限り、なんとしてでも上演を遂行することこそが参加団体のためと思って演劇祭の継続を模索しておりました。
しかし、相次ぐ予約キャンセルの中、上演を続け金銭的損失が発生するのはもちろんのこと、万が一にでもコロナの感染源になってしまうことは、まだ評価が定まっていない段階の若い団体にとっては存続自体が危ぶまれる事態に直結するのではと考えました。

今回の演劇祭は日本の演劇の未来を託せる才能ある団体を選定し、実行委員会から直接参加依頼をして開催しているものです。
そのことから「演劇祭実行委員会ならびに劇場としては参加団体に上演中止の要請を行わない」としたスタンスは、団体の自主判断に任せることになり、団体が背負うであろうリスクや苦悩、失うかもしれない信用等を推察するに、非常に無責任であると思いました。
実際に劇場職員同士でも「なにが正しいのか」「どういう選択が結果的に参加団体を救うのか」議論を繰り返しました。ただ、今の状況下を思えばどのような選択をしたとしても様々なご意見が出るであろうと思います。それならば演劇祭を主催する劇場が中止の判断をし、すべてのご意見の窓口になるべきであると考えました。

非常に悔しいながらも我々としては「未来」のために「今」を諦めることが必要であると決断をいたしました。
中止の判断・対応に関しての一切のご意見はどうか参加団体ではなく、劇場までご連絡くださいませ。
(中略)
これは私たちなりの「未来」のための苦渋の決断です。
あくまで私たちの決断であり、今後も上演を続行すると判断された他の劇団さんに対しては対立しようという気持ちはなく、違う立場としてその判断を尊重したいと思っています。
正直、通常の貸館営業であれば私たちも判断を劇場利用団体に委ねていたと思います。
(中略)
最後に、これまでのようにアーティストが安心して上演し、観客が安心して観客席に座っていられるような当たり前だった日常が一日も早く戻ってくることを願っています。

佐藤佐吉演劇祭実行委員会 実行委員長
花まる学習会王子小劇場 芸術監督
池亀三太

中止判断にいたった経緯を書いて、読んで悩ましい文章です。略してしまいましたが、劇場費請求は放棄、参加団体支援のためのクラウドファンディング実施とのことです。「要請」から3日では中止判断が急すぎるから上演するとして、ではそれより後の公演ならどうするべきか。内部で悩んだことが伝わります。

ただし、このリンク先にはcolourという匿名のコメントが付いています。中止になった公演の関係者かもしれません。

首相が各自の判断と言い、直属の補佐官も自己の判断に基づき一番自粛すべき飲食を伴うパーティーを開催してます。

うがい、手洗い、マスク着用を全観客が劇場入場後に行い今日も公演をしている劇団もあります。

公演中止の判断材料は劇団側の対策が可能かどうかの筈です。

対策して公演すると言っているのに劇団に対して劇場側が中止判断出来る根拠を明らかにしていただきたい。

よそもやってるじゃん、を抜きにして「劇場側が中止判断出来る根拠」は、劇場契約の記載、あるいは演劇祭参加の契約次第ではないかと思います。もし劇場の判断で上演中止にできるとの一文があったら、劇団側の対策は関係ありません。ここは契約書を見ないとわからないところです。

今回の各劇場や団体の対応について、続行の場合の対応、中止の場合の対応については、それぞれ望ましい行動を定義できます。ただし大前提は、続行と中止とそもそもどちらが正解なのかはまだわからないこと、世の中にとっての正解が上演団体にとって正解とはかぎらないことの2つ。あえて言うなら、非常に演劇っぽい環境です。世の中全体が脚本なし稽古なしアドリブでぶっつけ本番で動いているなかで、複数の関係者に依存した芝居上演は、自分の意思だけで上演の続行中止を決められないことがある、という事実は、共通認識になってほしいです。

それと、ちょうどこのエントリーを書いていて記事が出てきましたが、大阪の100人規模のライブハウスで感染した可能性があるそうです。座って観る芝居と立って動くライブとでは違うと思いますが、東京都が示した500人より少なければいい、ということではなさそうです。新型コロナウィルスの正体がまだよくわからない中で試され翻弄される日はしばらく続きそうです。

<2020年3月4日(水)追記>

国立劇場「桂文珍 国立劇場20日間独演会」の一部公演振替になったのと、吉祥寺シアターのコマエンジェル中止になってMONO協議継続しているのと、紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAのこまつ座が一部公演中止になったのを追記。

<2020年3月5日(木)追記>

東京芸術劇場のKARASが公演延期になったのと、座・高円寺の単発イベントの中止情報と、吉祥寺シアターのMONOの公演実施が発表されたのを追記。

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