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2020年5月17日 (日)

劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインが出る

何かガイドがないかと探していたら、公益社団法人全国公立文化施設協会が「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を5月14日付で掲載していました。何だこの団体はと思ったら「国及び地方公共団体等により設置された全国の劇場・音楽堂等の文化施設が連絡提携のもとに、地域の文化振興と地域社会の活性化を図り、もってわが国の文化芸術の発展と心豊かな社会の実現に寄与する」とあるので、国公立の、文化会館とか文化センターとか名の付くような施設が参加する協会のようです。正会員が国立/新国立/東京芸術劇場から、近所の市立施設まで、おそらくほぼ網羅されているようです。1305施設だそうで、これだけ拠点があるってすごいですね。ほかに、該当する施設ではないけど参加しておきたい団体が準会員、施設と関係が深い舞台系の団体などが賛助会員、のようです。

具体的な対策は後半に出てきて、今回それは長くなるので引用しませんが、前半の、いろいろな考え方のところをいくつか引用します。

 今回お示しするガイドラインは、国の方針を踏まえ、劇場、音楽堂等の活動再開に向けて、新型コロナウイルス感染拡大予防対策として実施すべき基本的事項を整理したものです。
 全国の劇場、音楽堂等には設置主体や運営形態、施設の性格や規模の違いなど多様な施設があり、施設によっては本ガイドラインの詳細版が必要になることも想定されます。また、地域や施設の状況によって直ちに対応・導入することは難しい事項も含まれているかと思います。すべての項目の実施が活動再開の必須条件ではありませんが、基本となる感染予防策を実施した上で、より感染予防効果を高めるための推奨事項として、今後の取組の参考にしていただきたいと思います。
(中略)
 なお、劇場、音楽堂等におけるイベント等の開催について、対処方針においては、「特定警戒都道府県及び特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、(中略)特に、全国的かつ大規模な催物等の開催については、リスクへの対応が整わない場合は中止又は延期するよう、主催者に慎重な対応を求める。」こととされ、また、「特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、感染防止策を講じた上での比較的少人数のイベント等については、適切に対応する。ただし、リスクの態様に十分留意すること。」とされていることに十分留意する必要があります。
(中略)
 設置者及び施設管理者、公演主催者は、施設の特性や公演の規模や態様を十分に踏まえ、施設内及びその周辺地域において、当該施設の管理・運営に従事する者(以下「従事者」という。)、公演を鑑賞等するために施設に来場する者(以下「来場者」という。)、出演者及び公演の開催に携わるスタッフ(公演主催者を除く。以下「公演関係者」という。)への新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、必要となる負担を考慮に入れながらも最大限の対策を講じていただく必要があります。
(中略)
 施設管理者は、新型コロナウイルスの主な感染経路である接触感染(①)及び飛沫感染(②)のそれぞれについて、従事者、来場者及び公演関係者の動線や接触等を考慮したリスク評価を行うことが求められます。
 大規模な人数の移動や県境をまたいだ移動が惹起される公演については、集客施設としてのリスク評価(③)及び地域における感染状況のリスク評価(④)も必要となります。
 また、それらの公演や催物等については、各都道府県において示される対応とリスク評価(③④)に基づいて実施の可否について設置者とその影響と補償等も含めて協議し判断する必要があります。
 利用を回避すべきとの判断に至った場合は、できるだけ速やかに公演主催者に対して施設利用が困難になる旨を伝達する必要があります。

で、この後に具体策の話がたくさん出てくるのですが、一読した印象は「今後の取組の参考」という位置づけです。何を言っているかというと、劇場の協会が劇場向けに出しているアナウンスのため、劇場(「従事者」)が担当するであろう業務についてはかなり事細かに示しています。一方で、上演団体(「公演関係者」)が取るべき対策はほとんど触れられていません。それはしょうがないですね。国立/新国立/東京芸術劇場のように、自分たちで企画だけでなく製作まで行なう例のほうが少ないでしょうから。

それでも、劇場側がとる対策としては、全部できるかは別として、個々の対策は施設側で実現可能性のある案を盛込めるだけ盛込んだと思います。ここからどうやって実用に落としていくかの問題はあっても、だいたいの情報は入っているので。もうすこし具体的な数字がほしかったのは座席くらいですけど、これも国が出したら座席の工夫にかかわらずその瞬間に絶対縛りができるので、しょうがない。

ちなみに最初は、首相官邸の「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和2年5月14日変更)」を読みました。ガイドラインがまとめられた根拠の話が載っています。

2)催物(イベント等)の開催制限
 特定警戒 都道府県及び特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、クラスターが発生するおそれがある催物(イベント等)や「三つの密」のある集まりについては、法第24条第9項及び法第45条第2項等に基づき、開催の自粛の要請等を行うものとする。特に、全国的かつ大規模な催物等の開催については、リスクへの対応が整わない場合は中止又は延期するよう、主催者に慎重な対応を求める。なお、特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、感染防止策を講じた上での比較的少人数のイベント等 については、適切に対応する。ただし、リスクの態様に十分留意する。
(中略)
3)施設の使用制限等(前述した 催物(イベント等)の開催制限、後述する学校等を除く)
① 特定警戒都道府県は、法第24条第9項及び法第45条第2項等に基づき、感染の拡大につながるおそれのある施設の使用制限の要請等を行うものとする。これらの場合における要請等にあたっては、第1段階として法第24条第9項による協力の要請を行うこととし、それに正当な理由がないにもかかわらず応じない場合に、第2段階として法第45条第2項に基づく要請、次いで同条第3項に基づく指示を行い、これらの要請及び指示の公表を行うものとする。
 特定警戒都道府県は、法第24条第9項に基づく施設の使用制限等の要請を行い、また、法第45条第2項から第4項までに基づく施設の使用制限等の要請、指示を行うにあたっては、国に協議の上、外出の自粛等の協力の要請の効果を見極め、専門家の意見も聴きつつ行うものとする。政府は、新型コロナウイルス感染症の特性及び感染の状況を踏まえ、施設の使用制限等の要請、指示の対象となる施設等の所要の規定の整備を行うものとする。
 なお、施設の使用制限の要請等を検討するにあたっては、これまでの対策に係る施設の種別ごとの効果やリスクの態様、対策が長く続くことによる社会経済や住民の生活・健康等への影響について留意し、地域の感染状況等に応じて、各都道府県知事が適切に判断するものとする。例えば、博物館、美術館、図書館などについては、住民の健康的な生活を維持するため、感染リスクも踏まえた上で、人が密集しないことなど感染防止策を講じることを前提に開放することなどが考えられる。また、屋外公園を閉鎖している場合にも、同様に対応していくことが考えられる。また、特定警戒都道府県は、特定の施設等に人が集中するおそれがあるときは、当該施設に対して入場者の制限等の適切な対応を求めることとする。
② 特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、法第24条第9項等に基づく施設の使用制限の要請等については、感染拡大の防止及び社会経済活動の維持の観点から、地域の実情に応じて判断を行うものとする。その際、 クラスター発生の状況が一定程度、明らかになった中で、これまでに クラスターが発生しているような施設や、「三つの密」のある施設については、地域の感染状況等を踏まえ、施設の使用制限 の要請等を行うことを検討する。一方で、クラスターの発生が見られない施設については、 「入場者の制限や誘導」「手洗いの徹底や手指の消毒設備の設置」「マスクの着用」等の要請を行うことを含め、「三つの密」を徹底的に避けること、室内の換気や人と人との距離を適切にとることなどをはじめとして基本的な感染対策の徹底等を行うことについて施設管理者に対して強く働きかけを行うものとする。また、感染拡大の防止にあたっては、早期の導入に向けて検討を進めている接触確認アプリを活用して、施設利用者に係る感染状況等の把握を行うことも有効であることを周知する。特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、法第24条第9項に基づく施設の使用制限等の要請を行い、また、法第45条第2項から第4項までに基づく施設の使用制限等の要請、指示を行うにあたっては、国に協議の上、外出の自粛等の協力の要請の効果を見極め、専門家の意見も聴きつつ行うものとする。なお、特定警戒都道府県以外の特定都道府県は、特定の施設等に人が集中するおそれがあるときは、当該施設に対して入場者の制限等の適切な対応を求める。
③ 事業者及び関係団体は、今後の持続的な対策を見据え、5月4日専門家会議の提言を参考に、業種や施設の種別ごとにガイドラインを作成するなど、自主的な感染防止のための取組を進めることとし、政府は、専門家の知見を踏まえ、関係団体等に必要な情報提供や助言を行うこととする。

都道府県でよろしくやってくれ、ただし何かあったら都道府県のせいだから都道府県の責任で止めろ、関係団体でガイドライン作っておけ、ではほとんど丸投げですけど、しょうがないですね。個々に条件が違う上演を一律で決められないし、決めたら決めたで画一的だと上演団体側が非難するでしょうから。そもそも劇団四季の自前稽古場自前劇場上演と、名もなき劇団による駅前劇場上演とで同じ基準を決められるとは思えません。むしろ実務に近いところに決定権が任されたので、上演に向けて動き出せる主導権が自分たちのほうに来た、くらいに思ってほしいです。上演団体側も「公演実施可能な条件『ガイドライン』で示してほしい」などと言わず、上演に臨んで自分たちは稽古期間はこれだけの対策をとって、公演期間中もこうしているからと、言ってほしいです。せっかく「緊急事態舞台芸術ネットワーク」を作ったのだから。

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