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2020年5月 6日 (水)

12人の優しい日本人を読む会「12人の優しい日本人」YouTube

<2020年5月6日>

殺人事件の裁判の陪審員として集められた12人。審理に入って採決したら全員無罪を選ぶ。だがその結果に納得いかない1人が有罪に意見を変える。話し合おうという1人にほかの11人が様々な情報をぶつけていくなかで新たな発見が出てきて、陪審員たちの気持ちが揺らぐ。

「12人の怒れる男」を元にした三谷幸喜の名作芝居。今回は東京サンシャインボーイズ時代と同じ出演者を極力集めて、自宅からZoomで参加する企画。最初はライブと言って宣伝していたので見逃したと思ったら、(少なくとも)5月中はアーカイブを残すとのことで、追っかけて観られた。こちらから辿れます。無料です。

どうせネットで観るなら、舞台を撮影したものよりネット向けに企画されたほうがいいと思っていたところに見かけた企画だったので、どんな感じかと挑戦。自分が観たことがあるのは2005年のPARCO劇場版だけど、今回のキャスティングはWikipediaによると3演目に沿っている。演出に冨坂友を立てて、一応リーディングとは言っていたけど、台本は(あったとしても)見えない。登場人物が同じ部屋にいる設定で、投票用紙や地図など最低限の小道具は用意して、やり取りしているように見せるスタイル。途中、声の大きさが変わるところがあったけど、なにしろ元の脚本がよくできているので、多少のデコボコはあっても最後まで観られた。

内容は、無料だしまあ観てください、って感じなので、今回の企画の感想を順不同に。よかったところ。

・もっとネットワーク環境がグズグズになると想像していたけど、ほぼ大丈夫だった。これは時間帯が影響しているかもしれない。

・思ったより違和感がなかった。これはほぼ座った状態で進む会話劇を選んだところが肝。途中の喧嘩の場面に振りをつけていたけど、ああいう場面が難しい。

・後編は遅れてライブの時間内に観たけど、チャットは切った。私にはチャットのスクロールが目障りだった。

・団体名というか、上演団体企画名くらいはつけてほしい。付いていたのに気が付いていなかったので直しました。

・稽古期間がどのくらいだったかわからないけど、経験者と芸達者がそろって、やっぱり上手。特に声の距離感は、調整してきた感がある。

・元は2時間の芝居を前後半に分けたのは正解だった。2時間連続の視聴はきつい。前半は出だしで説明があるため1時間28分あるのだけど、最後10分くらいはダレた。たぶんこのスタイルだと連続は1時間が限界で、15分から30分くらいがちょうどよさそう。きちんと撮影された映像とはやはり違う。

・カメラ内に収まるように動きやカメラ位置も調整した感がある。挙手のところがいい感じ。

・ログインメンバーの名前に1号とか2号とかついているのが、今回の企画だとむしろ親切。ないと困る(後述)。

ここはなんとかならなかったというところ。次回があるなら対応を検討してほしい。

・Zoomの機能で自動的にログインメンバーの並びを変えられてしまうこと。本当は並び順が指定できるとよかった。前半と後半とで並び順が変わってしまうのが痛い。そこがログインメンバーの名前表示でカバーされていて助かった。

・ミリ秒を調整するような笑いはほぼできなかったけど、それよりは「全員がはっと気が付く」ような場面の演出が難しい。

・音の解像度というかレンジというか、とにかく音が揃っていないのがもったいない。手持ち機材で参加したのか、声にばらつきがある。あとオープニングやエンディングの音楽はだいぶ音が古い。こういうのは機材をそろえれば解決できるのか、専門家がマスタリングを行なわないとそろわないのか、どっちだろう。

・解像度低めとはいえ、カメラの画角が揃えられるとよかった。手持ちのカメラやスマホで参加したのかな。あと位置も、高さや前後が結構違った。今回の演目なら同じカメラで同じような位置(目の高さ)で揃えられるとよかった。

・照明は吉田羊だけリングライトを用意していたか? 人によってだいぶ違ったけど、照明はあったほうがいいのでいろいろ工夫してほしい。

・背景は自宅のままだったけど、部屋の背景画像を用意できたらよかった。そういう商売が出てくるかも。

・あまり直す暇もなかったか、梶原善が30代という脚本の設定は無理がある。そのほか何か所か調整したい。でもいっそ、陪審員を密室に閉じ込められないのでオンラインで参加してもらいました、という設定まで調整できたらベストだった。

・三谷幸喜がオープニングに出てくるけど、伊藤俊人は、とか余計なことは言わない。

・同じく三谷幸喜が後半に出てくるけど、三谷幸喜が一番稽古不足。試しに出てみたいのはわかるが、水準以上の役者に交じって水準以下の振舞をされるのはつらい。

まだこれからの手法で、いろいろノウハウが蓄積されたらいい線いけるようになりそうな予感はしました。

<2020年5月7日(木)追記>

企画名があるのを見落としていたので修正。

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